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社内の産業廃棄物の管理規定を見直す際、リサイクルの定義が問題となりました。 どう考えたら良いでしょうか。

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リサイクルは、廃棄物処理法や通知では明確には定義されていません。一般に廃棄物に何らかの加工を加えて原料や燃料といった資源として利用することと考えて良いでしょう。しかし、現場にこれを当てはめようとすると様々な疑問が発生します。

今回は、産業廃棄物の一般的なリサイクル方法として、マテリアルリサイクルとサーマルリサイクルについて取り上げます。

マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルとは、一般的には再生利用(循環資源の全部又は一部を原材料として利用すること:循環型社会形成推進基本法第2条第6項)のことを指します。マテリアルリサイクルか否かの定量的な判断基準はありません。 よって、何をマテリアルリサイクルと考えるかは、ある程度排出事業者で決める必要があります。

例えば、汚泥をリサイクルして残渣が全く出なかったとします。この汚泥の含水率が80%の場合、固形分の20%は有効利用されたとしても、80%の水分はどうなったのでしょうか。リサイクルされた製品に残っているのでなければ、焼却などで水蒸気となったか、排水処理されて放流されたと考えられます。

分解してリサイクルするものは、リサイクルできる部分と、焼却、埋め立てされる部分を別でカウントしていることが多いのですから、(一般的な考え方ではありませんが)汚泥中の水はリサイクルではなく焼却や減容とすべきである、と考えることもできます。

この考え方を取るならば、リサイクル率の向上より埋立率の削減を目標としたほうが良いかもしれません。

サーマルリサイクルについて

サーマルリサイクルとは、一般的には熱回収(環資源の全部又は一部であって、燃焼の用に供することができるもの又はその可能性のあるものを熱を得ることに利用すること:循環型社会形成推進基本法第2条第7項)のことを指します。

サーマルリサイクルか否かの定量的な判断基準は、食品リサイクル法の上ではあります(*1)が、対象が特定の食品循環資源に限定されたものですので、その他の産業廃棄物には明確な基準はありません。

そのため、サーマルリサイクルについても、自社なりの定義・判断基準を設けることになります。

実態としては厳格な基準を設ける会社もあれば、処理会社の「排熱を有効利用しています」や「燃料化しています」という言葉を鵜呑みにして、サーマルリサイクルとカウントしている場合もあります。

しかし、排熱の有効利用や燃料化といってその質も手法も千差万別です。処理会社が「有効利用しています」と主張している場合でも、例えば、燃料化したものの品質基準があるか、製品の製造工程の燃料として使われているか、発電・売電されているかなどを確認するべきでしょう。

サーマルリサイクルの残渣の扱い

サーマルリサイクルされた後の残渣が埋め立てになっている場合はどうでしょうか。この場合、投入した廃棄物全体がリサイクルされたとカウントするケースと、埋め立てされる分を除いているケースがあります。これは、どちらか片方が正解というわけではなく、あくまでそれぞれの会社の判断だと言えます。

もし「埋め立ては持続不可能な処理方法で、長期的なコストアップ要因である」と考えるのであれば、埋め立てに回る分をリサイクルからはずしておくことで、埋め立てをしないリサイクル方法への切り替えを促すことができるでしょう。

環境負荷の低減が最終的な目標であり、リサイクルはそのための指標のひとつであることを認識し、運搬、処分時にかかるエネルギー使用量などの他の指標の導入も考慮して、廃棄物管理を総合的に評価できるようにすると良いでしょう。

*1:食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律第二条第六項の基準を定める省令

【参考】産業廃棄物のサーマルリサイクルや埋め立てを外部委託する際のCO2のおおまかな発生量は、アミタエコブレーン株式会社の「廃棄物CO2シミュレーター」で把握できます。処分方法の比較に、ぜひお使いください。

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