
粉塵爆発(ふんじんばくはつ)とは空気中に浮遊する微粒子が爆発的に燃焼することを言います。砂糖や小麦粉といった一般的に危険な物質と認識されていないものでも起こり得ますので、注意が必要です。粉塵爆発の原理を踏まえ、微粉状の廃棄物の安全な処理方法や委託先選定のポイントまで分かりやすく解説します。
※この記事は2014年に執筆されたものを加筆・修正しています。
そもそも、粉塵爆発とは
粉塵爆発とは空気中に浮遊する微粒子が爆発的に燃焼することを言います。微細な粉体は体積に対して空気との接触面積が大きくなるため、酸化反応が促進され連続的な燃焼を引き起こします。粉塵爆発の発生する条件としては以下の3点が挙げられます。
- 粉塵の粒子が微粉の状態で、空気中に一定の濃度で浮遊(粉塵雲)
- 発火源(エネルギー)の存在
- 空気中の酸素
粉塵爆発のリスクを判定するには
粉塵爆発を起こしやすいかどうかは主に以下4つの指標で判定されます。
| 指標 | 概要 |
| 爆発限界濃度 | 発火源があれば爆発が起こる粉塵濃度の範囲。薄すぎても濃すぎても爆発は起こらない |
| 粒子径 | 最も着火しやすい濃度における、着火に必要なエネルギーの最小値。小さいほど静電気等でも発火しやすい |
| 最小着火エネルギー | 最も着火しやすい濃度における、着火に必要なエネルギーの最小値。小さいほど静電気等でも発火しやすい |
| 発火温度 | 直接火気を近づけなくても発火する温度。酸素と反応しやすい物質ほど低い傾向にある |
粉塵爆発の起こりやすい廃棄物|自社からの排出を要確認!
上記の指標に加え、空気中に長く滞留する粉塵は爆発の危険性が高い場合が多いです。トナー粉や研磨粉などの工業由来のものだけではなく、木屑や砂糖、小麦粉といった身近な物質での爆発事例もあります。以下は、貴社の製造・加工・オフィス活動の中で日常的に発生しうる廃棄物です。自社から次のような廃棄物が出ていないか、まず確認してみてください。
- 第2類危険物(可燃性固体:赤リン、硫黄、鉄粉、マグネシウム粉等)の粉末
- フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂等のプラスチックの粉末、研磨粉
- 医薬、農薬類の廃棄品
- 飼料、穀物粉類の廃棄品
- 研磨粉、ブラスト粉等切削金属粉が含まれる廃棄物やその掃き寄せ品
- トナー粉、粉体塗料、カーボンブラック
- 木くず、木粉、紙粉
これらは、いずれも「微粉末であるがゆえに受け入れを断られやすい」廃棄物でもあります。粉塵爆発のリスクを理由に処理委託先や受入れ量・頻度が限られ、結果として自社内で滞留してしまうケースもあります。該当する廃棄物がある場合は、委託先がどのような処理環境(密閉受入設備等)を整えているか、確認しておく価値があります。
安全な処理方法、委託先選定のポイントは?
粉塵爆発は可燃性の微粒子が空気中に一定の濃度で浮遊することから発生するため、空気中に滞留(粉塵雲)させなければ爆発リスクを大きく下げられます(可燃性固体等は、空気や水等への接触に起因する発火の可能性はあります)。もちろんすべての場合に当てはまるわけではありませんが、「微粒子を空気中に浮遊させない設備対策」や「作業員が直接触れずに処理できる環境」を整えることが、安全性と処理品質の両面で重要であり、委託先を選ぶ際にも、この観点を確認材料にすることができます。
粉塵の飛散リスク、人為接触を抑える設備が備えられているか
粉塵の発生リスクが高いのは、まず処理施設における受け入れの工程です。微粉末を密閉状態で受け入れるサイロなどの専用設備があるかどうかは、リスク把握の具体的な着眼点の一つです。
労働安全の観点からも粉塵対策は欠かせません。近年は人的資本経営やサプライチェーン人権デューデリジェンスの観点から、自社の従業員だけでなく、製造委託先や下請け工場における労働環境・人権侵害リスクの把握と改善が求められるようになっています。処理委託先も自社が影響を及ぼすサプライチェーンの一部であり、自社の廃棄物に由来する粉塵により委託先従業員の労働安全が脅かされているとすれば、委託先と連携してそのリスク把握・改善に努めることは排出事業者責任の範囲とも言えるでしょう。
受入れ頻度や処理品質が安定しているか
粉塵爆発のリスクを伴う微粉状の廃棄物のような難処理物は、処理工程が滞りがちになります。特に人手による処理は、作業にばらつきが出やすく、上述したとおり従業員の粉塵への暴露といった観点からもできるだけ避けられるべきです。処理工程が粉塵対策のために最適化され、かつ機械化・非接触化されている委託先であれば、粉塵の発生を抑えつつ処理の速度や品質も安定しやすいと言えます。
まとめ
微粉状の廃棄物の取り扱いには、粉塵爆発のリスクが伴います。「微粒子を空気中に浮遊させない設備対策」や「作業員が直接触れずに処理できる環境」の整備が、安全性と処理品質、さらにはサプライチェーン全体の人権・労働安全リスクの管理を左右します。
廃棄物処理業界も、近年は大きく変化しています。再資源化事業等高度化法の施行にも象徴されるように、AIやDXの活用に加え、自動化・機械化といった技術への投資を進め、従来の処理体制を見直す動き、それを後押しする動きが広がっています。排出事業者としては、こうした業界の変化を踏まえた上で、委託先がどのような処理体制・技術投資を行っているかを把握しておくことが、リスクを抑える実務的な一歩になります。
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