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内部監査で、「汚泥」と「廃油」の2つの種類にチェックの入ったマニフェストを見つけました。これは問題ないのでしょうか?

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油が混ざった汚泥のマニフェストの場合、その方法で基本的には問題ありませんが、「含油汚泥」などの具体的名称を書く方法も考えられます。

複数種類の廃棄物の混合物を排出する際の考え方

マニフェストは「当該産業廃棄物の種類ごとに交付すること」(施行令第8条の20第1項第1号)とされていますが、一体不可分の混合物であれば1種類の廃棄物として扱って差し支えありません。下記の通知はその根拠の一例となるものです。

通知「産業廃棄物管理票制度の運用について」(平成23年3月17日環廃産110317001号)(抜粋)例えば、シュレッダーダストのように複数の産業廃棄物が発生段階から一体不可分の状態で混合しているような場合には、その混合物の一般的な名称を記載して差し支えない。

この場合、マニフェスト(全国産業廃棄物連合会推奨フォーマットの場合)には、
①複数の種類にチェックをいれる
②種類の空欄に「含油汚泥」など一般的な名称を記入し、チェックを入れる

という2パターンの記載方法があります。基本的には①で問題ありませんが、この部分は交付等状況報告書にどう記載するかにも係ってきますので、自治体のHPで記載要領を確認したり、直接問い合わせるのが間違いない運用であると言えます。

産業廃棄物の種類に迷う場合の対応方法については、次の記事も参考ください。
▼関連記事
「産業廃棄物の種類(品目)の判断に迷う場合はどうしたらいいですか?」

また、特に油分を含む汚泥については、下記通知も参照してください。
通知「油分を含むでい状物の取扱いについて」(昭和51年11月18日環水企181、環産17)

内部監査で判断に迷う、マニフェストの記載

マニフェストの記載については、内部監査時などに判断に迷うものが多くあります。
特に迷いやすい事例をご紹介します。

    • 「交付担当者」欄に押印がない。⇒法定記載事項ではありません。(氏名は法定記載事項)
    • 項目が空欄になっている。
    •  「産業廃棄物の名称」 ⇒法定記載事項ではありません。  「有害物質等」 ⇒法定記載事項ではありません。  「処分方法」 ⇒法定記載事項ではありません。  「電話番号」 ⇒法定記載事項ではありません。 「照合確認」 ⇒法定記載事項ではありません。

ただし、これらの項目は、委託状況の把握や、緊急時の連絡の迅速性、回収管理の徹底等に役立つ項目です。より良い運用のために必要な項目であれば、社内ルールとして記載を徹底されて良いと思います。

  • A票の「最終処分の場所」が空欄になっている。

⇒法定記載事項ですので、問題があります。交付時点で記載が必要です。実際に最終処分の場所を記載するのではなく、「委託契約書記載のとおり」にチェックを入れることができます。

  • 「最終処分を行った場所」がA票にも印字されている。

⇒E票で実際に最終処分した場所を書く欄ですので、あらかじめ印字する運用は誤りです。誰が、どの段階で、どの欄に、何を書いて、誰に返送するのか、という流れを理解したうえで、返送されたマニフェストを確認すると、おかしな運用かどうかが分かります。全国産業廃棄物連合会のマニフェストの<ahref="http://www.zensanpairen.or.jp/disposal/02/06/chokkou.pdf">記載要領も参考に、マニフェストの流れを確認してみてください。


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執筆者プロフィール(執筆時点)
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堀口 昌澄 (ほりぐち まさずみ)
アミタ株式会社 環境戦略支援グループ
東日本チーム 主席コンサルタント(行政書士)



産業廃棄物のリサイクル提案営業などを経て、現在は廃棄物リスク診断・廃棄物マネジメントシステム構築支援、廃棄物関連のコンサルタント、研修講師として活躍中。セミナーは年間70回以上実施し、参加者は延べ2万人を超える。環境専門誌「日経エコロジー」に2007年6月から2014年6月までの7年間記事を連載。環境新聞その他記事を多数執筆。個人ブログ・メルマガ「議論de廃棄物」も好評を博している。2014年より現職。日本能率協会登録講師。

<著書>
 「改訂版 かゆいところに手が届く 廃棄物処理法 虎の巻」 日経BP社
 「廃棄物処理法のあるべき姿を考える」 環境新聞社

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