今年1月、中国の環境保護法が改正され、罰則規定が強化されたと聞きました。現地の廃棄物管理リスクに巻き込まれないための心構えはありますか? | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載!

環境戦略・お役立ちサイト おしえて!アミタさん
「おしえて!アミタさん」は、未来のサステナビリティ経営・まちづくりに役立つ情報ポータルサイトです。
CSR・環境戦略の情報を情報をお届け!
  • トップページ
  • CSR・環境戦略 Q&A
  • セミナー
  • コラム
  • 担当者の声

Q&A

今年1月、中国の環境保護法が改正され、罰則規定が強化されたと聞きました。現地の廃棄物管理リスクに巻き込まれないための心構えはありますか?

Some rights reserved
by baselactionnetwork

はい、あります。
本記事では、中国における環境保護法改正後の罰則や廃棄物管理リスクの実例を解説するとともに、現地での廃棄物管理の心構えについてお話します。

中国の環境保護法改正による罰則強化

2015年1月、中国の環境保護法が25年ぶりに大幅改正、施行されました。

深刻な環境汚染への懸念が広がる中、今回の法改正では、政府の監督管理責任が強化され、違法に環境汚染物質を排出した事業者への罰則が厳格化されるなど、全体的により厳しい内容となっています。

汚染を引き起こした企業は、改善完了まで原則上限の無い罰金が科せられる他、違反企業名が公表され、大きな社会的ダメージを受けることになります。改善命令に従わなかった場合は、企業幹部の身柄拘束や、違反事業所の閉鎖、資産凍結が執行されるケースもあり、中国政府が厳しい法令を基に環境汚染に取り組んでいこうとする姿勢が伺えます。

これまで政府系団体のごく一部に認められていた環境汚染関連訴訟の提起条件が緩和された他、企業内部告発者の保護も盛り込まれるため、社内外問わず環境汚染に対する目がより厳しくなると考えられます。

自社の中国拠点における廃棄物管理状況や廃棄物に関わる法的要求事項、リスクを知り、よく分からないうちに汚染問題に巻き込まれる事態を未然に防ぐよう準備を進めておくことが、これまで以上に重要になってくるでしょう。

環境保護法改正後の罰則

改正環境保護法では、環境汚染行為や違反行為に対する罰則が厳しくなっています。下記はその一例です。

china03.png※2014年開催「中国の廃棄物リスクと関連法の基礎を知るセミナー」資料より抜粋

※上記、地方によってはより厳しい罰則が科される可能性もあります。

廃棄物管理におけるリスク事例

中国では、環境汚染の深刻化にともない、都市・地方を問わず住民の環境意識が大きく高まっています。以下は、実際に発生したリスク事例の一部ですが、(被害者の立場であっても)これらに関わった企業に対するイメージの低下は大きく、計り知れない損失につながっています。

  • 事例1 外資系企業下請会社が汚染水を川へ不法投棄。現地監督局の調査結果は、故意の投棄として報道される。
    (結果:外資系企業の社名公表により、企業イメージ低下)
  • 事例2 現地の委託処理会社が、空き地で不法に焼却処理を行なった結果、有毒煙により、近隣工場作業員数名が中毒症状を発症、その工場の生産活動妨害につながった。
    (結果:重大環境汚染事故容疑で処理会社の責任者6名が逮捕)
  • 事例3 日系製紙会社の排水管設置中止を求める大規模な住民デモが発生。
    (結果:工場建設計画の遅れが発生し、企業イメージ低下)

※2014年開催「中国の廃棄物リスクと関連法の基礎を知るセミナー」資料より抜粋

廃棄物管理リスクに対する心構え

中国では、地域によって異なる法令が多く存在します。先ず、その地方の法令を含む廃棄物管理制度の把握や、現地の状況を理解することに、非常に多くの労力と時間を要することを認識する必要があります。また、環境関連規制は強化される方向で見直されており、改正の動向を注視しておかないと、以前は合法であったことでも問題に巻き込まれるリスクが常に存在することを理解すべきです。

廃棄物管理に掛かるリスクを回避するための心構えとしては、自分達が認識していない多くの情報を持つ現地関連企業(協力会社)、及び地方行政当局と関係性を構築、強化することが大切です。現地において、自ら情報収集、社内で蓄積することは勿論必要ですが、それが十分ではないことを理解することが、まずはじめの重要な一歩になるのではないでしょうか。

関連情報

haikan1.png



執筆者プロフィール

mr.ito.jpg伊藤 健一
アミタ株式会社

海外事業チーム

アミタに合流後、FSC(R)COC認証の国内第一号のプロジェクトに参画、取得支援を実施する。その後、国内外のリサイクルサービスの営業、およびマーケティング業務に携わる。現在は、海外事業グループに所属し、海外でのリサイクル支援や、主にアジア圏における環境関連調査事業および新規事業の立ち上げを行う。

このページの上部へ