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産業廃棄物・副産物の肥料化によるリサイクル!事例は?

Image by katsuwow from Pixabay

食品リサイクル法の施行以来、廃棄物・副産物の肥料化に関する関心が高まっています。今回は、食品系の廃棄物に限定せず、どのような廃棄物や副産物が肥料化に向いているかご紹介します。

基礎知識:植物にとって、必要な成分とは?

植物の生育になくてはならない成分(必須元素)やその割合は、植物の種類によって異なりますが、これらは主に大気や土壌等の自然界から供給されます。(表1)しかし、中には自然界からの供給のみでは不足してしまう、植物の種類に応じて必要量が変わる成分があります。そこで、これらの成分を補完するために供給されるのが肥料です。代表的な成分としては、窒素・リン・カリウムが肥料の三要素が挙げられます。また、土壌改質剤等の効果をもつカルシウムやマグネシウムを含み、五要素と言われる場合もあります。廃棄物や副産物の肥料化においても、これらの成分を多く含むものが適している傾向があります。各成分の主な働きは表2のとおりです。
また、鉄、マンガン、ホウ素など、乾燥した植物体中の含有量0.01%以下を下回る元素は微量元素として呼ばれています。特定の植物において、または植物を生育する土壌の含有成分においては、不足分を補う必要があります。そのため、これらの成分を含む廃棄物・副産物も肥料として有効になる場合があります。

表1 乾燥した植物体に含まれるおおよその含有成分と、その供給

乾燥植物の含有成分% 供給源および備考
炭素※1 50 二酸化炭素・水・土壌
酸素※1 40
水素※1 6
窒素 1~3 土壌から供給されるが、国内の土壌では不足している。
カリウム 0.3~6 土壌から供給されるが、国内の土壌では不足している。
カルシウム 0.3~3.5 土壌から供給されるが、国内の土壌は少ない場合があるため、土壌が酸性化しやすい。
硫黄 0.05~1.5 土壌には一定量含有されているが、特定の植物においてはそれ以上に求められる。
リン 0.05~1 土壌から供給されるが、国内の土壌では不足している。
マグネシウム 0.05~0.7 土壌から供給される。植物の種類ごとに必要な成分量は異なる。
0.0003~0.0075 土壌には一定量含有されているが、特定の植物や土壌においては、それ以上に成分が求められる。
塩素
マンガン
亜鉛
ホウ素
モリブデン
ニッケル

※1:植物の基本骨格となる必須成分
出典:[1]をもとにアミタ(株)作成

表2 五要素の植物生育の働き

元素名 働き
五大要素 三大要素 窒素 植物体内のタンパク質の構成成分となり細胞を生成する
リン 細胞の原形質である核酸や各タンパク質の構成成分となる
カリウム 細胞液の酸度調整、浸透圧の調節を行うことで細胞を一定の状態に保つ
カルシウム 土壌改質の効果がある
マグネシウム 緑色植物の葉緑素構成成分となる

出典:[1]をもとにアミタ(株)作成

廃棄物・副産物の肥料化事例

肥料は、大きく分けて「有機質肥料」と「無機質肥料」の2つに分けられます。それぞれの肥料において、利用される廃棄物・副産物の例は下記になります。

▼利用される廃棄物・副産物の例

有機質肥料
有機性の廃棄物・副産物について、発酵などによって製造されるもの
  • 食品工場や下水処理施設から発生する排水処理汚泥・グリストラップ汚泥
  • 食品工場における廃棄製品、廃棄原料、食品かす
  • 家畜ふん
  • 油脂メーカーの油かす
  • もみがら、米ぬか etc...
無機質肥料
無機質原料から化学的な工程を経て製造されるもの
  • 化学メーカーの製造工程における廃棄物・副産物のうち、窒素、リン、カリウムを多く含むもの
    (尿素、硫安、リン酸、硝安、アンモニア水等)etc...

よくあるご質問として、「肥料化するに当たって、忌避される成分はありますか?」とのお問い合わせをお受けする場合がありますが、肥料の種類によって規格は様々であり、受け入れ先と相談するのが良いと考えられます。ただし、植物は根や茎から養分を吸収するため、水で容易に分解ができない廃プラやゴム屑、大きな金属くず、がれき類等は難しいでしょう。それに伴い、異物混入は避けた方がよいです。例えば、作業用手袋や道具類、ビニール袋などがうっかり混入しないように気を付けましょう。

アミタは、廃棄物・副産物の肥料化に関して、有価物化・リサイクルに関する実績があります

弊社では肥料の副資材としてリン酸や尿素の肥料メーカーへの販売実績や、下水汚泥や食品工場の製品廃棄などのリサイクル提案の実績がございます。お気軽にご相談ください。

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参考情報

[1]知っておきたい土壌と肥料の基礎知識 肥料のいろいろと施肥の基本 P50-102:加藤 哲郎、2012

執筆者プロフィール(執筆時点)

佐藤 拓磨(さとう たくま)
アミタ株式会社 地上資源マネジメントグループ

山形大学大学院理工学研究科機械システム工学専攻博士前期課程修了。大学では農業系副産物の工業分野での利活用に関する研究を行う。現在は、廃棄物リサイクルの品質管理に従事。

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