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インタビュー

グンゼ株式会社 CSR推進室 室長 金森様、吉川様社員を巻き込むCSR活動のポイント
~社員にレポートを読んでもらうコツ~
初心者向け

今回はCSR JAPAN2012年1月~3月期の生物多様性ページで最も多く読まれたグンゼ株式会社CSR推進室 室長の金森 弘様と吉川 智美様に、従業員を巻き込むCSR活動のポイントをうかがってきました。グンゼでは従業員にCSRレポートを読んでもらう秘訣として、グンゼCSR博士という取り組みをされています。さてどんな博士なのか?ぜひご覧ください。

CSR博士の始まりは「CSRレポートを従業員に読んで欲しい」という想い

蝦名:御社のwebサイトにCSR JAPANで1位になった件を掲載していただいてありがとうございます。あらためまして、生物多様性アクセスランキング1位になったご感想をお聞かせください。

吉川氏:とても光栄でありがたかったのですが、実は社内ではどよめきが起きました。なぜわたくしどものこのページが1位なのかと(笑)

蝦名:確かに専門的な観点から見れば、他の企業でも先進的な取り組みや、開示情報が明確な報告書はたくさんあるかもしれません。しかし、読みやすさ等も影響するため読者が多かったのだと思います。本日は御社がCSRをどのようにして伝えているのかについて教えてください。御社のCSR推進室はいつどのように発足したのですか?

吉川氏:CSR推進室の前身は環境戦略室です。活動報告としては2001年より環境報告書を発行していました。CSR推進室は2004年7月に発足し、最初のCSRレポートは2005年に発行しています。

蝦名:CSRレポートの表紙デザインが2010年から急に変わっていますね。

吉川氏:2010年で大きく変わったのは、グンゼCSR博士が登場したためです。CSRレポートを従業員一人ひとりに読んでもらうために、初めは「読む会」を実施していましたが、2009年からグンゼグループCSRレポート検定を始めました。報告書の端から端まで読まないと答えられないクイズを用意し、全問正解者をCSR博士と認定しています。

蝦名:確かにCSRレポートは配っただけではまず読んでもらえませんからね。やはりステークホルダーに読んでもらうには、デザイン、表現だけでなく、媒体の選定や発信方法等もきちんと企画していく必要がありますよね。

仕事以外でCSRレポートを囲んで議論するって中々ない

金森氏:CSRレポートはコミュニケーションツールでもあります。CSR検定実施にあたって複数人で協力しての回答もOKです。そこでCSRのことを話し合う機会にもなっています。

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CSRレポートは会社案内以上に企業の取り組みや方針が盛り込まれています。わたくしどものCSRの基本は「やってはいけないこと、やらないといけないこと、やったほうがいいこと」であり、それが報告書に掲載されています。だからこそ、従業員一人ひとりに読んでほしいのです。

CSR検定の目的は、CSRレポートを読んでもらうこと。報告書2010年の表紙に掲載された博士のなかには、人文字で「CSR」としてくれた者たちがいました。それに気づいて欲しいがために、報告書の表紙にCSRという言葉が何回出てきたか、という問題を設置したこともあります。報告書をとにかく楽しく読んでもらいたい。

蝦名:各ページに博士のコメントが入るのが素敵ですね。博士になるインセンティブは何か設けていますか?

金森氏:CSR博士には、認定書のほかに2,000円の図書券が贈呈されます。様々な職場で一致団結して、社内イベントの足しにしようと応募してくれることもある。それで交流が深まるなら尚いいと思っています。それに仕事以外でCSRレポートを囲んであれこれ話す機会って、なかなかないと思うんですよ。

蝦名:博士は全部で何名いるのですか?

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吉川氏:博士の人数は最初の2009年度は1,787名が挑戦し、117人が博士に認定されました。2010年度は3,438人挑戦して46人。 2回目の博士が減ったのは質問の難易度を高くしたことと、楽しんでもらうためにちょっとひねった問題を入れたためです。2011年はそれを反省してとにかく真面目に質問を作りました。その結果、3,255人が挑戦して29人でした。2012年度は、報告書を読めば分かる初級編とCSRの深い理解に主眼を置いた博士挑戦編に分けようと思っています。

蝦名:おもしろいですね。将来的には従業員以外も参加できるようになっていくのですか?

吉川氏:受けたい人がいれば歓迎します。賞品はお出しできませんが博士の称号ならお渡しできます。

蝦名:将来ステークホルダーからCSR博士が出てきたらすごいですよね。本日は貴重なお話ありがとうございました。やはりCSRレポートは作るだけでなく、伝えることが重要で、そのためにはご担当者様の並々ならぬ努力があるということが改めて実感できました。

関連情報
(聞き手)プロフィール
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蝦名 裕一郎 (えびな ゆういちろう)
アミタホールディングス株式会社
経営統括グループ 共感資本チーム

神戸大学大学院国際協力研究科修了。アミタ株式会社に入社後、コンサルティング部門にて、企業の環境教育活動のプロデュース、省庁との地域活性化支援事業の運営等に携わる。ソーシャルビジネスに関する新規事業部門を経て、現在はCSRレポートの横断検索サイトCSR JAPANの運営とCSRコミュニケーションの分析、コンサルティング業務に従事。

■ブログ: CSRが当たり前になる世の中に

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