処理会社のデータベースサイト「さんぱいくん」と「優良さんぱいナビ」とは~前編~ | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載

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インタビュー

公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団 企画調査部 部長 改田 耕一 様処理会社のデータベースサイト「さんぱいくん」と「優良さんぱいナビ」とは~前編~


今回は産廃処理業者の底上げを図ってきた公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団の改田氏に、処理会社のデータベースサイトである「さんぱいくん」と「優良さんぱいナビ」を構築してきた背景や今後の展開についてアミタの堀口がインタビューしました。

堀口:さんぱいくんと優良さんぱいナビが作られた背景をお聞かせください。

改田氏:処理業界が不透明な業界であるということに懸念があり排出事業者が優良な処理業者をまずは許可の有無等で選択できるように、平成12年に許可情報の検索システムが構築されました。そして構造改革の一環として平成17年から優良性評価制度がスタートし、さらに、この評価制度におけるインセンティブが少ないという声を受けて平成23年から優良産廃処理業者認定制度が始まり、それに合わせて「さんぱいくん」という愛称に変わりました。

さんぱいくんは、国が定める優良基準に則って処理業者の皆さんが客観的なデータを公表できる場となっています。一方優良さんぱいナビは、リサイクルや適正処理に取組む優良認定業者が事業の特徴などをより情報発信しやすく、排出事業者からもそのような視点で選択しやすいよう作られました。

堀口:産廃情報ネットが構築される前も民間企業が処理業者の情報を検索するサイトがありましたが、財団が主導する事で登録者が集まると思ったということでしょうか。企業の反応はいかがでしたか。

改田氏:インターネットやパソコンの文化がまだ浸透していないこともあり、情報をWeb上に掲載したらもうそれでいいだろう、という感じで、当初はなかなかデータの更新がされませんでした。その点、優良性評価制度と現在の優良認定制度では情報の更新頻度が決まっているので、データベースの命ともいえる最新情報が公表されるという状況になり、排出事業者の皆さんからもご評価いただいています。

堀口:情報の集約の場という意味では、さんぱいくんや環境省のWebサイト等が挙げられますが、知名度はやはり産廃情報ネットが一番高いです。今のお話のように処理業者が古い情報を掲載しっぱなしでそのまま放置している状況にあったようですが、さんぱいくんや優良さんぱいナビでは、情報が更新されていくだろうという期待がありますね。

改田氏:さんぱいくんも優良さんぱいナビもより積極的にPRしようという方々にご利用いただいているので、情報の更新はしていただけるのではないかと思っています。逆に言うと、やらされ感で取組むのはもったいないです。排出事業者に自社のことをわかってもらうインフラとして、経営理念のような自社のポリシーなども積極的に発信してもらえればと思っています。

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堀口:産廃情報ネットに情報が掲載されていない処理業者は心配ですね。そもそも、そのような業者はホームページすら持っていないので、裾切りの要因のひとつになっていたと思いますね。

改田氏:情報を掲載していない企業はお客さんと一定の信頼関係を前提にお仕事をされており、それ以上 仕事を広げようという考えはお持ちではないのかなと思います。固定客で安心だという感じでしょうか。しかし、せっかくのインフラだから自由に活用いただければと思うのですが。

堀口:産廃情報ネットは知られていても、優良さんぱいナビ自体はまだ知られていないのが現状ではないでしょうか。

改田氏:優良さんぱいナビは2年前にできたばかりで、徐々に登録は増えています。活用メリットを知っていただくことでさらに普及していくでしょうし、我々ももっと努力しなければと思っています。

堀口:ところで、効果的な活用方法や使い方においてさんぱいくんと優良さんぱいナビはどこが違いますか?

改田氏:さんぱいくんは、処理業者の情報を排出事業者が客観的なデータで比較するので、委託先選定の際の一次スクリーニングとして利用したり、委託後は継続的に処理の状況を確認する目的で使うのに適していると思います。いずれも排出事業者にとって注意義務を履行する要素として考慮されます。

これに対して、優良さんぱいナビは、さんぱいくんで一次スクリーニングした後の詳細検討で利用したり、優良認定業者が情報を公表していることはわかっているので、より処理業者の事業活動への理解を深めるために直接優良さんぱいナビで検索してもらえればと思います。

堀口:さんぱいくんと優良さんぱいナビの情報量の違いはありますか?

改田氏:さんぱいくんは国の優良基準をもとに作られているので、会社や許可の概要、そして施設および処理の状況などの情報が蓄積されています。

一方、優良さんぱいナビは、検索しやすさや見やすさなどについて工夫がされており、使いやすさを追求して排出事業者にメッセージが届きやすいつくりになっています。特に臭気のある廃棄物の受け入れ方法や受け入れ可能な特殊な廃棄物といった有害物質等が明示されているので排出事業者は便利だと思います。

また、写真を多用してビジュアルに訴えており、事業所設備や車両の様子はもちろんのこと、処理前後の廃棄物の写真も掲載されており、現地確認に行って、見たいと思わせる要素がありますね。CSRや地域コミュニケーションの取組みについても写真のほか記述もあり、地域と密にコミュニケーションを取れている様子はお互いに有意義な情報だろうと思います。

処理業者自身がお持ちのホームページもありますが、このようなデータベースを利用すれば、一箇所に情報がまとまっていて、比較がしやすいということですね。

ありがとうございました。

次回は、今後の展開についてお話を伺います。
処理会社のデータベースサイト「さんぱいくん」と「優良さんぱいナビ」とは~後編~

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左:堀口 右:改田氏

セミナー情報
語り手

改田 耕一 (かいでん こういち)
公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団
企画調査部 部長

東京大学工学部卒業、日産自動車入社後、コンサルティング会社を経て、2005年4月より財団勤務。優良産廃処理業者認定制度の普及啓発、産廃経営塾などの人材開発を通して業界の健全な発展に注力して取組む。

聞き手

堀口 昌澄 (ほりぐち まさずみ)
アミタ株式会社
主席コンサルタント(行政書士)

早稲田大学卒業後、廃棄物のリスク診断・マネジメント構築支援、廃棄物関連のコンサルタント、研修講師として活躍中。最近では、廃棄物処理業者の評価/選定システムの 構築も行っている。個人で運営しているブログ「議論de廃棄物」も好評を得ている。『日経エコロジー』にて廃棄物処理法に関するコラムを連載中。

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