大手酒造メーカーが取り組む、効果的かつ継続的な環境活動とは。 | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載

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インタビュー

宝酒造株式会社 環境広報部環境課 課長 中尾 雅幸 氏大手酒造メーカーが取り組む、効果的かつ継続的な環境活動とは。

外部のステークホルダーと環境活動を実施する際にカギとなるのが、その運営方法や活動内容です。
今回は、本業を活かした環境活動を展開されている宝酒造株式会社環境広報部環境課長の中尾様に、CSR活動実践の秘訣を伺いました。

宝酒造だからこそ取り組む「自然保護」と「空容器問題」

岩藤:宝酒造株式会社様は平成26年度リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰で内閣総理大臣賞を受賞されたそうですね。

中尾氏:ありがとうございます。当社の商品であるお酒やみりんは、ガラスびんやペットボトルなどの容器に詰めて販売することがほとんどです。消費後に発生する空容器は、家庭から出るごみの6割くらいを占めており、社会に対して大きな環境負荷を与えていたことから、この空容器問題に長年にわたりいろいろと取り組んで来たことをご評価いただきました。

岩藤:貴社では、主にどのようなCSR活動を実施されているのでしょうか?

中尾氏:当社では、下図にあるように、事業活動と関係が深い「自然保護の取り組み」と「空容器問題への取り組み」を環境活動の2本柱と位置付けてきました。「田んぼの学校」や「エコの学校」といった環境教育活動を始め、種々の取り組みを展開しています。

▼宝酒造の環境活動(『緑字企業報告書2015』 p20より)

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「田んぼの学校」は、「自然保護の取り組み」のひとつで、小学生とそのご家族を対象にした環境教育&食育プログラムです。5月~12月にかけて、稲作体験や自然観察、料理教室などの授業を年間4回行っています。

一方、「エコの学校」は、「空容器問題への取り組み」のひとつで、ごみの削減をテーマにした環境教育プログラムです。環境学習施設で、地域のごみ問題の現状や、マイバッグの利用などごみを減らす方法を学ぶほか、あまりリサイクルが進んでいないアルミ付き紙パックのパルプを使って紙すき体験をするなど、子どもたちを対象に楽しく学べる内容になっています。

岩藤:「田んぼの学校」や「エコの学校」等、企画される中で工夫された点はありますか?

中尾氏:「田んぼの学校」は、2004年に開始して以来、NPO法人や地域の農家さんなど、多くの方々のご協力いただきながら実施しています。このため、家族間はもちろん子どもたちがいろいろな人とコミュニケーションがとれるよう気を配ってきました。一方で、田んぼが京都にあるので、参加できるのは京都、大阪、兵庫などの地域に在住の人に限られるという課題がありました。また、開催期間が春の田植えから冬の料理教室まで長期間にわたり、運営に携わる人も大勢になることから、どうしても開催の負担が大きく多地域での開催が難しくなります。

そこで2012年より開始した「エコの学校」の企画にあたっては、全国のいろいろな地域で開催できるよう、1回の開催が数時間程度で少人数の運営となるよう工夫しました。

更に、「田んぼの学校」「エコの学校」とも、改善ポイントを整理し、新たな企画を盛り込むなどして毎年内容が向上するよう努めています。

環境活動のポイントは、継続的であること、社内の協力を得ること

岩藤:「エコの学校」が始まったことで、宝酒造の環境活動がより充実したのですね。環境活動に取り組まれる上で大切にされていることはありますか?

中尾氏:環境活動で重要なことは、継続的であることだと思っています。そのためには、活動内容に磨きをかけていくことと、社内の理解を得ることが大切だと思います。社内の理解を得るには、社員に活動の意義をしっかり伝えることが重要だと考えています。

岩藤:活動内容を磨くとは、どのようなことでしょうか?

中尾氏:参加者の方の声を活かすことが大切だと思います。「田んぼの学校」では、はじめは授業の締めくくりに工場見学をしていましたが、参加者アンケートで、実際に自分たちの口に入るところまで体験したいといった声が多く寄せられたので、みんなで育てたもち米やもち米から造られる本みりんを使った料理教室に変えました。また、当初は参加者に配る記念品として収穫米(うるち米)からお酒をつくって各家族に配布していたのですが、これでは大人だけしか楽しめないため、子どもたちも料理として味わえる本みりんにするなど内容の改善を重ねています。takara2_amita_new.jpg

NPO法人や自治体など外部のステークホルダーと連携しているのですが、こちら側の要望を出すだけではなく、一緒にプログラムをつくる姿勢を大事にしています。たとえば「エコの学校」は今年、京都市、神戸市、江東区(東京都)で開催したのですが、各地域で自治体のごみ問題への取り組み方に違いがあったので、各地域に合わせた内容を適宜変えたりしてきました。

岩藤:どのように変えられたのですか?

中尾氏:例えば、マイバッグの利用について、江東区(東京都)ではリフューズにあたるけども、京都市と神戸市ではリデュースにあたるといった違いがあったので、授業で使うマイバッグのパネルを変更しました。また、京都市と神戸市は3Rに取り組んでいますが、東京都ではリフューズとリペアを加えた5Rを推進しているので、そちらにも対応させるなど、子どもたちに伝える内容が地域の案内と食い違っていないか確認しています。

岩藤:連携するステークホルダーの意見を大切にして細かく改善していくことが、活動が継続するポイントなのですね。もうひとつ、社員にも理解してもらうことが大切と仰いましたが、そちらはどのような工夫をされているのでしょうか。

中尾氏:環境活動の内容が、当社の事業に関連していることを丁寧に説明するように心がけています。イベントの手伝いをしてもらう社員に対しては、運営を手伝ってもらうだけではなく、なぜこの活動を行っているのか、取り組む意義について説明する時間を取っています。

岩藤:社員の理解を得ることは、活動が継続することにもつながりますね。中尾さんは今後、環境活動をどのように展開したいとお考えでしょうか?

中尾氏:今後も社外の多くの方々と連携した活動を展開していきたいと思っています。「田んぼの学校」では、昨年から京都府立大学の学生さんにも参加してもらい食育の講師をして頂きましたが、「田んぼの学校」に限らず、多くの方と協力し合いながら、充実した環境活動を企画し実施していきたいです。

岩藤:貴社の環境活動の範囲がさらに広がりますね。

中尾氏:はい。外部セクターとの連携は、活動内容の幅が広がりますし、社内だけでは生まれないアイデアも出てきます。それに、内容を変えて付加価値を付けていき、マンネリ化を防ぐことは運営側のモチベーションを上げることにもつながりますね。

岩藤:活動内容に変化を持たせることも、活動を充実される秘訣なのですね。本日は大変勉強になりました。ありがとうございました。

宝酒造株式会社から学ぶ環境活動のポイント まとめ
  • 現状の環境活動における運営上の課題点を整理し、不足要素を補う
  • 関係者の声に都度耳を傾け、内容を継続的に改善させることで、マンネリ化を防ぐ
  • 連携するステークホルダーの活動方針を尊重し、一緒に作りあげていく姿勢をもつ
  • 社内のスタッフに環境活動の意義を理解してもらえるような場づくりを行う
話し手プロフィール

nakao_amita.JPG中尾 雅幸 氏
宝酒造株式会社 
環境広報部環境課 課長 


大阪大学大学院工学研究科(修士課程)を卒業後、1986年に寳酒造株式会社(現宝ホールディングス株式会社)に入社。バイオ研究所(現タカラバイオ株式会社)、広報、IR、監査室を経て2007年より環境広報部環境課長として現行業務を担当。 CSR報告書(緑字企業報告書)の制作やISO14001に基づく環境活動の推進、環境教育や食育などの社会貢献活動を実施している。

聞き手プロフィール

iwado_amita.JPG岩藤 杏奈
アミタホールディングス株式会社
経営戦略グループ カスタマーリレーションチーム 

岡山県出身。神戸大学卒業後、アミタ入社。学生時代、カンボジアでのボランティア活動を通してエネルギー循環型社会の大切さに気付く。現在はカスタマーリレーションチームにて、アミタの各種サービスの提供、セミナー企画等を担当。

自社の環境活動をより効果的・継続的にするために

社外との環境活動をより充実したものにするためには、今の取り組みを評価し、再構築することが必要です。また、環境活動を継続させるためには社内の協力を得ることも欠かせません。アミタは環境活動の構築や社員向けの教育研修活動をお手伝いします。

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