北九州市対談インタビュー|産学官民連携でSDGsを推進!先進モデル都市の取り組み 後編 | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載

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インタビュー

北九州市 企画調整局 SDGs推進室 次長 上田 ゆかり氏 / アミタホールディングス株式会社 専務取締役 佐藤 博之北九州市対談インタビュー|産学官民連携でSDGsを推進!先進モデル都市の取り組み 後編

SDGsを活用した街づくりで国内外から高い評価を受ける、先進モデル都市・福岡県北九州市。同市SDGs推進室次長の上田ゆかり氏とアミタホールディングス専務の佐藤の対談インタビューから見えてきたのは、「地域の課題を解決する」街づくりのヒントです。後編では、市内での実践事例や、市民や企業の活動を引き出すプラットフォームについて、お話を伺いました。

      
      【写真】左から北九州市上田氏、アミタ佐藤

前編はこちら

SDGsを産学官民連携で

アミタ佐藤:前編では、「SDGsの街づくり」が、「市民の生活の質」の向上につながるという点、また、本質的な活動としてどのような取り組みが考えられるかという点を伺いました。また「産学官民連携」が貴市の強みであるとのことでしたが、SDGの分野においても産学官民連携の取り組みを進められていますよね。

上田氏:はい。 2018年に、「北九州SDGsクラブ」というものを立ち上げました。貴社にも早速参加いただいていますね。産学官民が連携してSDGsを推進するための会員型プラットフォームです。会員同士が連携し、地域課題を解決するプロジェクトチームが発足しており、現在5つのチームが進行中で、今後新たに3つのチームが発足する予定です。

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図:北九州SDGsクラブについて(クリックで拡大)

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図:北九州SDGsクラブプロジェクトチームについて(クリックで拡大)

上田氏:市は、事務局として、情報交換のための交流会を運営したり、Webサイト上で、会員企業の取り組みを紹介したり、といった支援を行っています。企業へのサポートで言えば、金融機関からのお声がけもあって、「SDGs経営サポート」という取り組みを進めています。具体的には、市内の金融機関18社と「SDGs達成に向けた協力に関する協定」というものを結んでいます。会員企業は金融機関に「自社でどのようにSDGs経営を進めるか」、経営について相談することができます。相談先の金融機関は18社の中から選ぶことができ、SDGs経営だけでなく、働き方改革、女性活躍、ビジネスマッチング、健康経営など、幅広い悩みについても相談できます。日頃、市内の企業の方から、SDGs経営のご相談をいただいても、私たち行政はビジネスのプロではないので、お答えするのが難しい場合もあり、とても助かっています。

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図:SDGs経営サポートについて(クリックで拡大)

interview3.pngアミタ佐藤:市内の企業が業績を伸ばすことができれば、それは金融機関にとってもメリットになりますね。協力できる関係性が生まれているのですね。アミタでも、現在、九州サーキュラー・エコノミー・パートナーシップ(K-CEP)という産学官民連携の取り組みを発足しています。資源循環の分野で言えば、使用済み製品や空き容器を回収して、再度、商品にする循環の仕組みに関心が高まっているのですが、1社だけで回収と再生の仕組みをつくることはかなり難しいことです。しかし、同じような悩みはどの会社も抱えていることですので、複数の企業や関係者が集まって協力して、回収のプラットフォームをつくることを目指しています。少子高齢化も進んでいく中、他社としのぎを削ってビジネスを続けるという競争の姿勢だけでは、いずれ疲弊してしまいます。自社の利益だけでなく、社会の利益を考え、それぞれの強みを活かしながら、新しい価値を共に生み出していくという姿勢が必要になると思っています。オープンイノベーションや連携はますます重要となります。

上田氏:おっしゃる通りですね。

アミタ佐藤:その点、貴市のSDGsクラブの会員数は、1,100を超えていますし、市民の方の関心の高さが伺えますね。また、先ほどおっしゃっていた行政に企業の方から、SDGs推進に関する相談が集まるという点も、なかなか珍しいと思うのですが、何故、市にご相談があるのでしょうか。

demae_2135.jpg上田氏:そうですね。北九州市は長年「出前講座」というものを行っていまして、その影響が大きいと思います。行政は市民があっての行政なので、市の施策で知りたいことがあればいつでも出張して講演をします。市民センター、企業などであらゆるお話をします。長年、続けていまして、声をかけやすいという環境ができていると思います。

アミタ佐藤:なるほど、以前からの取り組みがあるんですね。

上田氏:はい。SDGs推進室では、2019年に103回出前講座を行いました。時には厳しいご意見もいただきますが、皆様の生の声が聴ける貴重な機会となっています。各課は、そこから得た気付きを次の取り組みに活かしてます。
(写真:出前講座の様子)

市民の力で地域の課題を解決する

市民センター.png上田氏:また、市民の方に主体となって、SDGsに取り組んでいただいています。「市民センター」が小学校区(130区)ごとに設置されている地域の市民活動の拠点施設があるのですが、館長が地域住民と話し合い、その地域ごとにSDGsの目標に関する1年間の活動計画を立て、それらに基づいて活動を進めていただいています。館長の皆さんは一般公募で選ばれた地域の方です。ただ、いきなり、SDGsに即した目標を立ててくださいとご依頼しても難しいので、その点は、私たちSDGs推進室が、館長の方に向けたSDGsの研修を実施し、活動を考えるサポートを行っています。同じ研修を受けていただいても、取り組まれる活動は様々です。都市部の市民センターと郊外の市民センターではテーマが全く異なるんですよ。地域のことを一番よく知っているのは、地域の方なので、市民センターを通じて、活動を広げることで、本質的な課題の解決につながるのではと考えています。
(写真:市民センター)

interview2.pngアミタ佐藤:市民の皆様が、自ら計画されているというのは素晴らしいことだと思います。アミタでも、地域の課題について市民の方が主体となって、取り組んでいただける仕組みづくりを目指しています。例えば、宮城県南三陸町でのバイオガス施設を通じた循環の街づくりや、奈良県生駒市での地域コミュニティ向上モデル事業が挙げられます。生駒市でのモデル事業は、有人のごみ回収拠点を設置し、資源回収を行うというものですが、ただのごみ回収拠点ではありません。居心地の良い空間になるように工夫し、老若男女を問わず多様な地域住民が集まるコミュニティの場づくりを行っています。薪ストーブを囲んでコーヒーを飲みながら団欒したり、子供たちが放課後にやってきて宿題をしたりする空間になりまして、最終的には、地元の農家の方による朝採れ野菜の販売や、子育て支援のイベントも行われるようになりました。これらの拠点をステーションと呼んでいますが、誰もが行う「ごみ出し」という日常的な行動をきっかけに、これまで地域コミュニティとの接点がなかった人の参加を呼び込み、交流を促す取り組みにしています。顔の見える関係性が生まれるこのステーションを通じて、市民の方が、「自然に・楽しく・当事者として」参画・協働できる持続可能な街づくりを目指しています。

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図:地域コミュニティ向上モデル事業について(図はクリックで拡大)

上田氏:「ごみ出し」を通じて、自然に参画できるというのはいいですね。

アミタ佐藤:資源の回収についても、住民の方の意識が変わり、分別の向上などの効果があります。実はただ、分別を促進するというだけであれば、機械を導入して分別することも可能なんです。しかし、市民の方と共に、課題を解決するということが重要だと思っています。ステーションでのごみ出しについては、NECソリューションイノベータ株式会社の方と連携して、ICTを活用した工夫を行っています。「ごみ出し」時に、利用者ごとに発行されたQRコードをかざして回収量を記録することで、自身がどのくらいCO2排出量の削減に貢献したか、スマートフォンアプリを通じてわかるようになっています。同時に、「ごみ出し」や「地域貢献」をすると「感謝ポイント」がたまる仕組みとなっています。これらのポイントは、地域活動への寄付に使える他、地元のお店のクーポン券とも交換できます。また、住民の方同士でポイントを贈り合うこともできます。自らの手で分別を進めることでやりがいを感じたり、人間関係が豊かになったり。環境保全だけでなく、「心の豊かさ」や「生活の豊かさ」、福祉や健康という領域にも貢献できると考えています。

コミュニティバス.png上田氏:なるほど。課題を解決するだけでなく、そのプロセスも大切ですね。また、地域での活躍の場づくりは非常に重要ですね。北九州市では、「いきがい活動ステーション」という取り組みを通じて、高齢者の方が参加しやすいボランティア活動、生涯学習講座、仲間づくりに関する情報を収集・提供する支援を行っています。また、地域コミュニティについても市内でご紹介したい取り組みがあります。地元のタクシー企業が中心となり、地域や行政と連携しながら進めている、「枝光お出かけ交通」というコミュニティバスの取り組みです。枝光地区は、高齢化率が非常に高く、地形として急な坂が多い地域です。買い物に出かけるのが、難しい住民の方も多くいらっしゃいました。しかし、コミュニティバスによって、高齢者の方々は、地域の商店街や病院を頻繁に訪れることができるようになり、結果的に、経営が厳しかった商店街や病院の持続経営にもつながっています。また、CO2排出量の削減という効果もあります。
(写真:枝光お出かけ交通 バス停の様子)

アミタ佐藤:移動販売で地域を回ったり、買い物を代行したりすることも課題の解決につながると思いますが、高齢者の方が自ら移動して、買い物を楽しむことができるという点が非常にいいですね。

上田氏:はい。私たちは、「SDGsの街づくり」を皆様と進めながら、子どもから大人まで住みやすい街づくりを目指しています。ただ、住みやすいというのは、インフラや制度が整っているということももちろんですが、市民の方が自ら生活を楽しみ、活躍できる場づくりも重要だと改めて思いますね。生産年齢人口が、日本ではどんどん減少しています。あらゆる年代の方が生き生きと活躍できる場が、市民の方にとっても、行政にとっても必要だと思います。

今後の取り組みについて

アミタ佐藤:今後はどのような活動を重視されていきますか?

上田氏:はい。今年度は特に「未来人財の育成」を重視しています。2030年の世の中で主役になる次世代に、SDGsを起点に、北九州の課題解決や世界の課題解決を考えていただきたいと思っています。2019年にすでに「北九州市教育大綱」に、「SDGsの視点を踏まえた教育の推進」を盛り込んでおり、SDGsの地域教材資料集を市内公立小学校の3年生に全員配布しています。来年度は、市内公立中学校においてSDGsの要素を盛り込んだ教材が配布されます。また、市内の約半数の高校がSDGsを学習に取り入れており、その成果発表の場として「高校生SDGs選手権大会」というイベントも企画しました。(Webで配信中。詳細はこちら

アミタ佐藤:お話を伺っていると、協働の場づくりと言いますか、つながりの場、発表の場を設けられているのが印象的ですね。様々なステークホルダーの関わりの場をうまく生み出されていると感じました。私たちも参考にしたいです。本日は、ありがとうございました。

話し手プロフィール(インタビュー時点)

201021_profile.png上田 ゆかり(うえだ ゆかり)氏
北九州市
企画調整局 SDGs推進室 次長 

1995年北九州市に入職。到津の森公園の再整備、北九州学術研究都市の管理運営などに携わった後、2008年北九州市観光協会へ出向。環境の街という強みを活かしながら、観光振興に努める。2011年、産業経済局観光コンペティション課環境ものづくり観光担当課長に就任。2019年4月、同市のSDGs推進室立ち上げと共に次長に着任。

mr.sato100.jpg佐藤 博之(さとう ひろゆき)
アミタホールディングス株式会社 専務取締役
アミタ持続可能経済研究所 代表取締役

グリーン購入ネットワーク専務理事、世界エコラベリングネットワーク総務事務局長などを経て、現職。持続可能な循環型社会の実現に向けて、宮城県南三陸町をはじめとする国内外の地域循環システム構築や企業のサステナビリティ戦略の支援に取り組む。グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン理事。著書:『SDGsビジネス戦略』[共著](日刊工業新聞社)

執筆者プロフィール(執筆時点)

石田 みずき(いしだ みずき)
アミタ株式会社
サステナビリティ・デザイングループ マーケティングチーム

滋賀県立大学環境科学部を卒業後、アミタに入社。メールマガジンの発信、ウェブサイトの運営など、お役立ち情報の発信を担当。おしえて!アミタさんへの情熱は人一倍熱い。

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