クラシエに聞くサステナビリティ 前編|K-CEP参加企業インタビュー | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載

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インタビュー

クラシエに聞くサステナビリティ 前編|K-CEP参加企業インタビュー

地球環境を持続可能にし、限られた資源を未来に還すためには、より高度な資源循環の技術と仕組みを構築することが必要です。
本インタビューでは、九州サーキュラー・エコノミー・パートナーシップ(K-CEP)へ参画している企業にお話しを伺い、サーキュラーエコノミーの構築をはじめとするこれまでのサステナビリティの取り組みや、K-CEP参画への意気込みなどを語っていただきます。
第8回は、クラシエホールディングス(株)代表取締役 社長執行役員 岩倉昌弘氏(写真)と、Sustainability Leadership MTG(以下、SLM)メンバーの皆様にお話を伺いました。

九州サーキュラー・エコノミー・パートナーシップとは?
サプライチェーンに連なる産官学民が連携し、それぞれの課題・強みを持ち寄り、暮らしと産業の持続可能性とサーキュラーエコノミー市場の創出を目指す新事業共創プラットフォームです。K-CEPが手掛ける使用済みプラスチックボトル等の回収実証実験「MEGURU BOX プロジェクト」は、10社以上の日用品メーカーが連携する日本初の取り組みであり、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、各社が互いに手を結びあって未来への扉を押し開こうとしています。
※現在は、2021年10月20日に旗揚げしたジャパン・サーキュラー・エコノミー・パートナーシップ(通称:J-CEP)のプロジェクトとして取り組んでおります。

クラシエグループの企業理念とサステナビリティの取り組み

中村(アミタ):本日はよろしくお願いいたします。最初に、御社のサステナビリティに関する取り組みや考え方、企業理念などについて伺えますでしょうか。

岩倉氏:弊社は2005年1月に、事業活動の原点でもある基本理念を「人を想いつづける」と定めました。そして、世界を夢中にする100年企業を目指し、2020年1月より新しくコーポレートスローガンに「夢中になれる明日 Kracie」を掲げています。このスローガンには「クラシエの商品をきっかけに夢中になれる未来を見つける人が増えることで、続いていく明日に役立つ企業でありたい」という想いが込められています。

▼クラシエWebサイト「事業活動概要pic1.png

私たちは「人を想いつづける」という理念に関した商品やサービスを提供することを通じて、この先100年続く企業になれると考えています。"明日"も"100年"も全て未来のことで、未来を創造するためには、常に先を見る必要があります。その意味で、サステナビリティは私たちが掲げている基本理念そのものと言えると思います。
また、世界では多発する自然災害、格差拡大など、多くの社会課題を抱えていますが、未来に不安を抱いていたら「夢中になれる明日」とはいえません。誰もが「夢中になれる明日」をつくるため、私たちは事業活動を通じて社会課題を解決していくことを目指し、クラシエのサステナビリティ目標を設定しました。

▼クラシエWebサイト「くらしの夢中pic2.png

具体的にはより良い未来の暮らしと社会を創るための重点3領域として「循環型社会の実現と天然資源の保護」「心と身体・暮らしの安心の向上」「知の共有と地域経済活性」を定めています。さらに、2030年までの中期経営計画サステナビリティ目標を策定し「温室効果ガス」「水使用」「資源循環」「プラスチック」「持続可能な調達」の5つの分野において数値目標を定めました。これらの達成に向けては一人一人ができることを積み重ね、挑戦を続けなければなりません。

▼クラシエWebサイト「2030年環境目標pic3.png中村:未来に向けたメッセージを強く感じますが、未来に対してそこまで想いの強い行動がとれるのはなぜでしょうか?

岩倉氏:今、世の中がものすごい勢いで変動している中で事業を継続していくためにはどこに目線を合わせるかが重要だと考えます。これまで企業は短期的な視点で利益追求を行ってきた側面がありますが、今後は「未来を見据えて自分の行動をどのように変えていくのか」を考えるべきではないかと考えるようになりました。
また、お客様の価値観も変化していると感じています。安い製品が売れる時代は終わり、値段に関係なく質の良いものが求められているように思います。今後は、お客様から選ばれる存在であり、潜在的なニーズまで応えることができるような企業が存続していくのではないでしょうか。
株主や投資家も企業のサステナビリティの取り組みを重視するようになっています。環境やサステナビリティへの取り組みはコストとして認識される時代もありましたが、今では投資という見方をする株主がほとんどです。
私たちの扱っている製品は、漢方をはじめとして自然由来のものが多く、安定調達のために環境を守ることは必要不可欠です。こうした商品と自然とのつながりからも、当たり前のようにサステナブルな行動を起こさなければならないと感じています。

中村:製造部門の管轄をされている堀口様、角江様は、製造現場におけるサステナビリティの捉え方の変化などを感じることや、苦労などはありますか?

堀口氏:時代の変化に応じて、コストだけでなく、サステナビリティの観点が重要になってきたことは私自身も感じているところではあります。一方で、完全にコストを無視することは出来ません。コストとサステナビリティのバランスをどのように取っていくのかは日々悩みながら取り組んでいます。
例えばK-CEPの実証実験では、シャンプーなどが入っていたパウチは消費者の方に洗浄してから持参いただいています。しかし、現状のパウチの構造では洗いやすさよりも詰め替え易さが優先されています。パウチを洗いやすさも考えた製品設計に転換した場合、生産設備も変更しなければならずコストアップや生産性の低下が起こり得ます。
このように何を選択すべきか迷うこともありますが、工場の製造現場やサプライヤーと一緒にディスカッションをしながら進めていくしかないと感じています。私も長く現場を経験してきましたので、現場から否定的な意見が挙がったとしても「こうすればできるのでは?」と提案することもあります。現場経験者が相手だと現場もやりづらいかもしれませんね(笑) 。現場から本社に移りようやく1年が経ちますが、現場と本社の双方の立場となって考えることにやりがいを感じています。

角江氏:私は購買業務と生産管理業務を担当していますが、製造原価にサステナビリティの考え方をどのように盛り込むかは日々悩んでいます。具体的には、新しい製品を創るにあたってサプライヤーから環境負荷の低い素材についても伺うのですが、そうした素材には通常の1.5倍程の費用がかかることもあります。どの部署もサステナビリティの重要性は理解しているものの、売上目標がある中、コストとのバランスをどのようにとるかは簡単ではありません。サステナビリティの要素を日々の業務や目標に対してどのように落とし込めば良いのかという点や、関係者の意識改革をどのように行うべきか、という点が重要だと思います。

中村: CSR・渉外部の上原様はいかがでしょうか。

上原氏:私は製品に直接関わることはありませんが、工場での取り組みについて業界団体に共有する業務にも携わっています。その際、会社としての方針や結果については伝えていますが、実際、工場で環境負荷を下げるために具体的にどのような対応を行っているのかなど「現場のリアルな課題を知らない」という焦燥感があります。SLMでは、他事業部や他部署の方と共同で活動しており、そこで初めてCO2や廃棄物の排出量など、社内の実情を知ることができ非常に重要な機会だと感じます。

▼インタビューの様子pic4.jpg

プロセスを経験したメンバーがリーダーになる、SLMとは?

中村: SLMについては弊社も関わらせていただいておりますが、御社の環境目標達成を牽引するための部門横断型の会議体ですよね。今年から開始されたということですが、設立背景などお聞かせいただけますでしょうか。

大上氏:サステナビリティを意識した取り組みはこれまでも脈々と実施してきましたが、2020年に「世界を夢中にする100年企業」を宣言したことをきっかけに、私たちだけではなく社会そのもののサステナビリティも高めなければならないと大きく意識が変わったと感じています。同年には2030年までの中期経営計画サステナビリティ目標を公表し、2021年からはグループ全体の環境取り組みをコーディネートするためにSLMを開始しました。また、ネーミングにもこだわりました。先ほどの話にもあったように、なにか変革を起こす際には現場とのやり取りや悩みが生じることも多々あると思います。それでもゴールに向かって失敗を恐れず、あきらめないリーダーであって欲しいという願いを込めて「リーダーシップミーティング」という名称にしました。

末次(アミタ):企業のサステナビリティの取り組みに対して、これまでは高い目標を掲げることが重要でしたが、現在は目標達成に向けたプロセスや実行力がより重要視されるようになっていると感じます。社内外を俯瞰し、現場と何度もやり取りをしてサステナビリティを推進するSLMは、まさにこれを実現しようとされていると思います。メンバーの皆さんはSLMに参加されて感じたことや、ご自身の変化などはありますか?

堀口氏:これまで以上に部署横断での連携が必要だと感じました。今回Scope3の算定をするに当たり各部署からデータを集める必要がありましたが、経理や人事部などこれまでサステナビリティと直接には関わりがなかった部署にも協力をお願いする必要がありました。こうした部署に対して、なぜデータ収集が必要なのかという説明から行う必要があり、誰もが納得して進めていくことが重要だと思います。加えてデータ収集の面において一元化を進める必要性も感じています。

角江氏:マーケティング担当者との会議において環境対応の包材利用の重要性を話していたところ、次の新商品では可能な限りFSC認証紙を採用してもらえることになりました。自身の言動をきっかけに、サステナビリティに対する周囲の理解が深まったり、意識が変わったりするきっかけになったと思うと嬉しいですね。

上原氏:SLMに参加したことで、サステナビリティ関連の情報に主体的に関心を持つようになり、自分の身の回りでできることは積極的に実施するようになりました。例えば、環境について発信されている方のSNSをフォローし、紹介される取り組みを実践するなどです。また、近々会社の近辺でNPO主催のごみ拾いイベントがありますが、参加を決めたこともSLMがきっかけになっていると思います。

大上氏:取り組みを継続的に実施していくには、人が変わることが重要だと思います。DXなど外部から仕組みを導入することも有効だと思いますが、結局、属人化やブラックボックス化してしまっては本質的ではないと思います。社員自身がそれぞれの体験を通じて改善の要素を見つけ、周囲を巻き込みながら変革させていくというプロセスを大切にしたいと考えています。また、個々人の環境意識の変化というのは押し付けで変わるものでもないと思いますので、今メンバーが話してくれたように、プロセスを経て自発的に変化が生まれていることは非常に嬉しく思います。
後編へ続く)

話し手プロフィール(執筆時点)

profile_iwakura.jpg岩倉 昌弘(いわくら まさひろ)氏
クラシエホールディングス株式会社
代表取締役 社長執行役員

兵庫県出身 関西大学社会学部卒業。
1985年カネボウ入社。営業、人事、新規事業担当などを経て、2007年クラシエホームプロダクツ(株)社長就任。2018年1月よりクラシエホールディングス(株)代表取締役社長。同年8月に、つぎの100年へ進むためにクラシエのありたい姿「私たちの明日(あした)」「CRAZY KRACIE」を発表。自ら社員向けに、社内改革のための情報発信を毎日行っている。

profile_SML.jpgSustainability Leadership MTG
メンバーの皆様

(写真左から)
角江 俊一郎(かくえ しゅんいちろう)氏 
クラシエフーズ株式会社 課長 生産技術室OEM・購買グループ 兼 生産技術グループ

上原 千佳(うえはら ちか)氏 
クラシエ製薬株式会社 係長 薬品事業管理室CSR・渉外部

大上 夏子(おおがみ なつこ)氏 
クラシエホールディングス株式会社 課長 経営企画室企画部

赤木 元貴(あかぎ もとき)氏 
クラシエホールディングス株式会社 課長 経営企画室購買統括部

堀口 茂樹(ほりぐち しげき)氏 
クラシエホームプロダクツ株式会社 技術部長 ホームプロダクツ技術部 兼 生産・購買部

聞き手プロフィール(執筆時点)

suetsugu.jpeg末次 貴英(すえつぐ たかひで)
アミタ株式会社
代表取締役

アミタグループへ合流後、自然産業領域の立ち上げに関わり、その後、京丹後循環資源製造所所長、 西日本営業所所長等を経験。2017年以降は、ESG経営の統合支援サービスの責任者として、事業開発、顧客開拓等に従事。新たなことに挑戦し続けるフロンティアスピリッツと、企業理念を軸に組織を束ね従業員の積極性を引き出すマネジメント力を活かし、アミタ(株)の企業経営に取り組む。

nk.png中村 こずえ(なかむら こずえ)
アミタ株式会社
社会デザイングループ 社会デザイン緋チーム

高知県出身。鳥取大学大学院終了後、環境問題に関心があり、アミタの「無駄なものなどこの世にない」という理念に共感して入社。現在は社会デザイングループにて企業向けのサステナビリティコンサルティングを担当。

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