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コラム

第14回:企業価値を高めるステークホルダーコミュニケーション【後編】商品価値から企業価値へ~2030年の環境戦略の姿~

Some_rights_reserved_by_Cydcor.jpg2030年の社会状況や環境制約を見据えたときに、企業はどのような環境戦略・価値創出を行っていくべきかをお伝えする、本コラム。

前回は企業が海外進出をしていく際に、考慮すべき海外の環境リスクについてご説明しました。本連載最後となる第14回目は、企業の環境・CSR活動を経営戦略と絡めて効果的に発信し、企業価値を向上させる「環境・CSRコミュニケーション」について解説します。効果的な「環境・CSRコミュニケーション」のポイントをお伝えします。

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相手に認知されてこそ価値がうまれる~「コミュニケーション」のポイント~

「環境・CSR活動」を企業価値につなげるためには「実行」と「伝えること」の両方が重要です。活動内容について、顧客や株主、従業員など様々なステークホルダー(利害関係者)に認知してもらい、理解してもらうことで初めて評価機会が生まれます。そしてそれらがプラスに評価されることで、ようやく企業価値向上へと結びつくのです。商品力が高くてもその良さが消費者に伝わらなければ、売れないのと同じく、積極的な環境・CSR活動で社会課題を解決しても、それらが適切に相手に伝わっていなければ価値として認識されないのです。

現在、環境・CSR活動は企業価値を向上させるものとして重要視されている一方で、企業活動の中では十分なリソースがあるとは言えません。限られたリソースの中で行われる活動を企業価値に結び付けるためには、効果的な「コミュニケーション」が必要となります。このコミュニケーションのことをここでは「環境・CSRコミュニケーション」と呼ぶことにします。

下記で、効果的な「環境・CSRコミュニケーション」のポイントをお伝えします。

ポイント①:誰に伝えるのか

csr_pic4.png環境・CSR活動を伝えるターゲットの優先順位をつけて、具体的に想定しましょう。ターゲットが明確になることで、企業が伝えたい情報と相手が欲する情報の差異がわかりやすくなり、改善することで効果的なコミュニケーションにつながります。
図3→)

そもそも環境・CSR活動は非常に幅広く、誰に伝えるかによって、伝えたい活動の重点や最適なコミュニケーション手法が異なります。また、ターゲットの専門知識の有無や、従業員・顧客・株主・仕入れ先などの立場によって、知りたい情報や期待している情報は異なります(図3参照)。ターゲットを絞り込んで、その人が知りたい情報を伝えることが、効果的なコミュニケーションになり、相手にも理解されるようになるのです。

ポイント②:どんな環境・CSR活動を伝えるのか

次に伝、えるべき環境・CSR活動について見ていきましょう。企業価値を向上させるには「本業における環境・CSR活動」が重要だと前述しました。自社がどんな社会課題認識を持ち、自社の事業がどんな社会課題を解決しているかを理解して、各ステークホルダーに関連性が高い情報を中心に整理し、適切な形で伝えることが必要なのです。

例えば、本連載の第4回で解説した環境認証は「本業における環境・CSR活動」をコミュニケーションによって企業価値に結びつけるしくみの代表例です。企業にとって原料の安定確保や調達先の分散、社会的責任などを含めたサプライチェーン・マネジメントは、今後ますます重要になってくるでしょう。さらにサプライチェーンに関わる取引先の社会的責任をマネジメントすることも世界的に重要視されています。特定の環境対策基準や社会的基準を満たしていることを第三者が認証し、エコラベルにすることで、「環境に配慮している」という付加価値がつきます。さらに、この認証取得の前提となる社会課題認識と認証取得の効果などを、自社の経営戦略として発信することで、エコラベルに自社の独自性が付加されます。社内でも見過ごしている認証取得の社会的価値や自社の課題認識について、整理し発信することは重要なのです。

その他に、産業廃棄物の処理委託先を複数に変更することはどうでしょうか?処理委託先が受入停止になった場合のリスク対応の他に、廃棄物保管場所に制限があり、定期的に処理委託しなければ生産が止まってしまう場合において、委託先の複線化は製品の安定供給につながります。そして製品の安定供給は、商品・サービス力を向上させます。

さらにこういった取り組みと経営戦略や理念のつながりを関連させて伝えることで、自社の独自性が出てきます。例えば、自動車部品を作っている会社であれば、車が解決する社会課題に対し、安定供給で企業責任を果たすというような価値もあります。事実、東日本大震災時は車の部品供給先が被災し、自動車の生産に影響を与えました。自社がなくなったら社会にどのような損失を与えるかということから、自社の社会的責任(価値)を考える方法も有効でしょう。

さいごに

企業価値を高めるための付加価値として、自社の社会課題に対する認識や歴史、それらの背景にある哲学などをストーリー立てて(「ストーリーテイリング」という)うまく伝えることが重要です。また、情報発信から得られるステークホルダーの反応を経営判断に組み込むことは、社会的責任のガイドラインISO26000で推奨されるステークホルダーエンゲージメントにあたります。積極的なステークホルダーとの対話姿勢自体も企業価値向上につながるのです。それゆえに、自社の活動を戦略的に伝えていく「環境・CSRコミュニケーション」は非常に重要なことなので、ぜひ今後の環境戦略の1つにコミュニケーションを含めて考えていくことをお勧めいたします。

※本コラムは(株)ポスティコーポレーションの専門誌「ラバーインダストリー 2016年2月号掲載」記事を一部改編して掲載しています。

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執筆者プロフィール

inomata1.jpg猪又 陽一 (いのまた よういち)
アミタ株式会社環境戦略デザイングループ
シニアコンサルタント「CSR JAPAN」元編集長

1970年生まれ。1994年早稲田大学理工学部卒業後、株式会社ベネッセコーポレーション入社。教材編集やダイレクトマーケティングを経験後、外資系ネット企業やベンチャーキャピタルを経て株式会社リクルートキャリア(旧リクルートエージェント)で新規事業を軌道に乗せた後、アミタに合流。環境・CSR分野における戦略・実行、コミュニケーション、教育など幅広く従事。環境省「優良さんぱいナビ」、企業ウェブ・グランプリ受賞サイト「おしえて!アミタさん」、「CSR JAPAN」等をプロデュース。現在、企業や大学、NPO・NGOなどで講演、研修、コンサルティングなど多数実践中。共著に「CSRデジタルコミュニケーション入門」(2016年3月)がある。環境新聞「CSRの光と影」(2013年4月~2014年11月)連載他。

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