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低炭素から脱炭素社会へ世界的に転換することで、企業はどのような影響をうけるのでしょうか?リレーコラム

Some_rights_reserved_by_wissenschaftsjahr.jpg地球環境制約をCSRの一部としてのリスク対策ではなく、企業戦略の中心として取り組む必要がでてきます。また今後は環境制約を「コスト」でなく「利益」を生み出す機会としてとらえる企業が増えるでしょう。情報開示では、地球環境制約に対して事業戦略との関係性、中長期的なリスクへの課題認識と達成目標などの開示が求められています。今後、ESG投資の企業評価軸はSDGsのフレームをもとに構築が進んでいくと考えられます。(※本記事は(株)大和総研 主席研究員 河口 真理子様 のご講演概要を報告する記事です。)

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脱炭素社会に向けて具体化する企業動向|RE100発足や石炭ダイベストメント

2016年11月4日にパリ協定が発効され、11月3日現在、世界で約100の国・地域が批准しています。 背景にあるのは低炭素社会から脱炭素社会へという変化であり、そうした流れは投資市場における石炭ダイベストメント(※1)などにも如実に表れています。グローバル企業中心に脱炭素に対応する事業戦略へのシフトはすでに始まっており、そのバリューチェーンすべてに環境・CSR調達の影響がおよぶでしょう。

(※1)ダイベストメント(Divestment)は、投資(Investment)の対義語で、既に投資している金融資産を引き揚げることを指します。

海外では2014年にRE100(再生可能エネルギー100%にコミットする企業イニシアチブ)が発足しました。このイニシアチブには世界で最も影響力のある企業群が含まれており、2016年9月現在で世界を代表する企業81社(※2)が再生可能エネルギーへの完全シフトにコミットしています。残念ながら、2016年11月11日現在で日本企業の参加はありません。

(※2)アップル、イケア、グーグル、コカコーラ、ゴールドマン・サックス、ジョンソン&ジョンソン、スターバックス、タタ、ナイキ、ネスレ、バンクオブアメリカ、フィリップス、フェイスブック、マイクロソフト、ユニリーバ、BMW、GM、P&Gなど

ESG投資で影響力を強めるCDP気候変動レポート

近年、ESG投資家への影響力を強めているCDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト) の調査から、日本と海外の企業の、地球温暖化に対するスタンスの違いを見ることができます。

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出所)CDP 'Global 500 Climate Change Report 2013'及び「CDP ジャパン 500 気候変動レポート 2013」 より
(株)大和総研作成

グローバル企業の場合「異常降雨や干ばつ」が5大リスクにあげられていますが、日本の企業では、気候変動関係は、逆に機会項目の中に「平均気温変化」があげられています。これは、空調機器・飲料・農産物などの製品やエネルギー管理のサービスでプラスになると考える企業が少なくないことを示していると言えるでしょう。

米国企業が気候変動問題のリスクをどれくらい重大に捉えているかについては、CDPの別の報告書からも読み取れます。

  • 「降雨や干ばつのパターン変化は綿花収穫減とコスト増をもたらす。加えて、ハリケーンや大雪を含む激しい風雨は、2010年に米東海岸の多くで我々のビジネスに影響した」(GAP)

  • 「平均気温の変化は、光熱費の増加となりコストアップにつながる。わが社では2035年までに温暖化による空調費用は冷房で170%、暖房で11%増えると予測している。これは年間1~2千万ドルのコスト増となる」。(スターウッドホテルチェーン)

  • 「平均気温の変化は、サプライヤーに直接影響を与える。収量とコストが変化するだけでなく、調達先の場所と物流と入手可能性も影響する」(キャンベル)

  • 「ハリケーンカトリーナによって200店舗の一時閉鎖を余儀なくされた。そのうち110店舗は物理的損害を受け、少なくとも6店舗は3か月以上閉鎖せざるを得ず、2店舗は廃止した。2004年から2012年までの9年間で、米国ウォルマートが異常気象による停電による被害で請求した保険料支払いは年間300万ドル。異常気象による被害は平均で、年間2千万ドルに及ぶ」(ウォルマート)

出所)CDP 報告書'Major public companies describe climate-related risks and costs'2014.5より (株)大和総研作成

日本と海外におけるこうした企業の危機意識の差が、地球温暖化問題に対する取り組みの質やスピードの違いとして現れてくる場合、ESG投資への関心が高まる現在の情勢の中では、海外企業に後れを取る、一つの企業リスクとなるかもしれません。

国内でも急速に拡大するESG投資

欧米と比べてESG投資の規模が小さかった日本も市場が急速に拡大しています。JSIFの調査によると日本のサステナブル投資合計額は約56.2兆円で前回調査時の約26.6兆円の2倍以上と急速に拡大しています(※3)。背景にあるのは国連責任投資原則(PRI)への署名がようやく日本国内にも広がったことです。

(※3)JSIF(日本サステナブル投資フォーラム)の調査より 2016年11月8日に発表

2015年9月16日に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が署名したことで国内の投資機関などの署名が加速しました。さらにGPIFは投資運用先に運用実態についてアンケートを送って確認するようになったため、国内投資機関においてESG投資の重要性は高まりました。国内でも金融庁が2014年に日本版スチュワードシップ・コード を、2015年にはコーポレート・ガバナンスコードを確定させたことで、少しずつ企業と投資家が長期的企業価値を対話する土壌の養成が進んでいると言えます。

その結果、日本のPRI署名機関は2015年8月時点で33機関だったのが、2016年9月には50機関と急増しました。国連環境計画(UNEP)並びに国連グローバル・コンパクト(UNGC)が推進するPRIが誕生したのが2006年なので、10年で33機関だったものが1年で17機関も増えた計算になります。

今後予想される企業価値の評価|SDGsのフレームが活用される

ESG投資などを含む今後の企業価値評価の指標は現在策定が進んでいる段階です。その中でフレームとして活用されているのはSDGs(Sustainable Development Goals)です。金融機関は企業評価のために、企業がSDGsの17項目に対して何ができるのかをヒアリングし、評価軸を作っている段階です。ただし、質問に対して企業としての課題認識、計画策定への着手状況、該当する取り組み事例などの説明ができない場合は、投資先選定から外されるなどの厳しい状況におかれるでしょう。

関連情報
講演者プロフィール

河口 真理子(かわぐち まりこ)氏
株式会社大和総研 調査本部 主席研究員

一橋大学大学院修士課程修了後大和証券入社。外国株式、投資情報部を経て大和総研に転籍。アナリスト業務をへてCSRおよび社会的責任投資の調査研究に従事。2010年4月より大和証券グループ本社CSR室長~広報部CSR担当部長。2011年7月より大和総研に帰任、2012年4月より調査本部 主席研究員。担当分野はサステナブル投資/ESG投資、CSR/CSV、ソーシャルビジネス、エシカル消費。

国連グローバル・コンパクト・ジャパンネットワーク理事、NPO法人・日本サステナブル投資フォーラム共同代表理事、アナリスト協会検定会員、サステナビリテイ日本フォーラム評議委員他

著書「ソーシャルファイナンスの教科書」生産性出版、SRI 「社会的責任投資入門」日本経済新聞社 (共著)、「CSR 企業価値をどう高めるか」日本経済新聞社(共著)など。

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