統合報告が今、企業に求められているワケ | 企業の環境・CSR・サステナビリティ戦略に役立つ情報が満載!

環境戦略・お役立ちサイト おしえて!アミタさん
「おしえて!アミタさん」は、企業のCSR・環境戦略をご支援する情報ポータルサイトです。
CSR・環境戦略の情報を情報をお届け!
  • トップページ
  • CSR・環境戦略 Q&A
  • セミナー
  • コラム
  • 担当者の声

コラム

統合報告が今、企業に求められているワケ企業の持続性を高める!統合報告活用のすすめ

Some_rights_reserved_by_jakeprzespo.jpg本コラムは、近年、企業報告の実務として広がりを見せている統合報告について連載します。今回は「統合報告とは何か」、そして「なぜIIRCが統合報告を提唱することとなったのか」、統合報告の背景をグローバルな目線と企業の目線から、ご説明します。

Some rights reserved by jakeprzespo

統合報告とは何か?

統合報告は、国際統合報告評議会(IIRC:International Integrated Reporting Council 以下 IIRC)が提唱した企業報告の形です。

IIRCは2013年に国際統合報告フレームワークを公表し、統合報告を「組織の長期的な価値創造能力を伝えるコミュニケーション」と定義しました。財務と非財務、経営とESG、多様な経営課題など、異なる要素を効果的に結びつけ、企業の価値創造能力の全体像を伝えることが提唱されています。

「価値創造」がキーワードとなるのですが、これは、企業が多様な資本(財務資本や製造資本だけでなく、知的資本、人的資本、社会・関係資本、自然資本を含む6つの資本)をもとに、それらの資本を高めていくプロセスを意味しています。

IIRCのビジョンについて

IIRCは、その長期的なビジョンについて、以下のように説明しています。

IIRC の長期的なビジョンは、統合報告が企業報告の規範となり、統合思考が公的セクター及び民間セクターの主活動に組み込まれた世界が実現されることにある。統合思考と統合報告の循環によって、効率的かつ生産的な資本の配分がもたらされ、それによって金融安定化と持続可能性につながる。

(出典:国際統合報告フレームワークより)

統合報告の最終目的は、金融安定化と持続可能性です。
ここでの金融安定化とは、長期視点での投資家行動が主流となり、資本市場における資源配分が効果的・生産的に実現される状況を意味しています。統合報告には、企業の長期的な価値創造に焦点を当てることによって、長期的な視点での投資行動をサポートしていく狙いがあります。

一方、持続可能性については、より広く社会全体のサステナビリティへの貢献を意味しています。企業を、多様な資本(資源)に依存しつつ、多様な価値を創造する主体として捉え、投資家に対して中長期的な課題を包括的に伝達することを通じて、持続可能性を反映した投資行動を促していくことが狙われています。

統合報告が求められるようになった、より現実的な背景

現実的な背景として、企業の開示情報が膨大かつ複雑になってきていることがあげられます。従来は、財務情報を中心に開示していればよかったのですが、様々な制度改革によって、コーポレートガバナンス、リスク、その他様々な情報開示が求められるようになりました。また、近年は、CSR報告やサステナビリティ報告といった報告も広がっています。本当に重要な情報を、簡潔かつ体系的に報告するニーズが高まっていったのです。

統合報告書は企業にとって、どのように役立つか

また、こうした統合報告がグローバルに求められる背景を、企業の目線の課題に置き換えてみると、次のように整理できるはずです。

  • 長期志向の投資家に響く企業報告の実現:
    多くの企業は、投資家の短期志向に悩まされています。一方、近年、特に年金基金や運用者を中心としたスチュワードシップを高める活動も活発化しており、責任投資も広がりを見せています。企業は、こうした長期志向の投資家に響く企業報告に取り組むことによって、長期志向の株主層を広げるとともに、投資家の行動変化を促していくことができるはずです。

  • 統合思考による生産性の高い経営とサステナビリティの同時実現:
    近年、日本でも生産性革命と言われるように、財務的な生産性を高める経営が強く求められるようになっています。企業が自社の価値創造プロセスやビジネスモデルを問い直し、幅広い視点から効果的な資源配分を戦略に落とし込むことによって、社会に対する自社の価値を高めつつ財務的な生産性を向上させていくことができます。

  • 簡潔で体系立った報告の実現:
    膨大で複雑な情報開示は、投資家との効果的なコミュニケーションにつながらないだけでなく、企業実務にとっても大きな負担となります。情報をそぎ落とし、つながりを見出し、体系立てていくプロセスを通じて、効率的・効果的な情報開示を実現することは、企業にとって大きなメリットとなるはずです。

企業における統合報告の重要性は増しています。今後は、統合報告の実務を、情報開示と経営の両面から効果的に進めていく上で鍵となるポイントをお伝えします。次回のテーマは、「長期投資家に向けた情報開示」です。

執筆者プロフィール

iirc_mr.mori.jpg森 洋一 (もり よういち) 氏
公認会計士
国際統合報告評議会(IIRC)統合報告フレームワークパネル
(<IR>Framework Panel)メンバー

一橋大学経済学部卒業後、監査法人にて会計監査、内部統制、サステナビリティ関連の調査研究・アドバイザリー業務を経験。2007年に独立後、政策支援、個別プロジェクト開発への参加、企業情報開示に関する助言業務に従事。日本公認会計士協会非常勤研究員として、非財務情報開示を中心とした調査研究を行うとともに、国際枠組み議論に参加。

企業の持続性を高める!統合報告活用のすすめ の記事をすべて見る

無料メールマガジン登録はこちら

ご依頼・ご相談はこちら

このページの上部へ