身近なエコ|環境認証でモノの見方・選び方が変わる!【第2回】 | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載

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身近なエコ|環境認証でモノの見方・選び方が変わる!【第2回】身近なエコ|環境認証でモノの見方・選び方が変わる!

eco-friendly_2-001.jpg前回、ロンドンオリンピックに関してのコラムをお届けしました。今回またイギリスの話ですが、今度は動物園の取り組みのお話です。様々な視点で、またいくつかの組織が協力して、教育、実行、発信をしている例です。ビジネスや個人の行動への何かのヒントをつかんでいただくきっかけになれば嬉しく思います。

※写真出典:Jennifer Garrett

【身近なエコ】環境認証でモノの見方・選び方が変わる!全6回はこちら
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選択を変えるとゴリラが幸せ

eco-friendly_2-002.jpgさてみなさん、動物園を訪れたことはありますか。そこで、何を見て、何を経験したか、覚えていますか。これからご紹介する動物園でのキャンペーンは、動物の生態だけではなく、動物たちが生息する地球環境を考え、購買習慣を変えるための取り組みです。

舞台はイギリス西部の町、ブリストル。FSC® UKとブリストル動物園が協力し、2014年夏にキャンペーンを実施しました。キーワードは台所用品。動物園と台所用品とは、ちょっと意外な組み合わせだと思いませんか。この動物園の保護運動マネージャーであるジェニファー・ガレット氏がそのしくみを教えてくださいました。

まず、動物園の中に、スーパーマーケットならぬ「ズー(zoo)パーマーケット」と命名した仮設スーパーを、FSC®認証材を使用して建てました。その中で、FSCマークのついた認証製品を販売しました。台所用品は、来場者の多くが日々身近に使用している物です。それらを買うときにFSC認証製品を選択する意味をここで学び、積極的にFSC製品を生活に取り入れることを推進しているのです。

来場者のあるお母さんのほほえましいコメントをご紹介しましょう。「動物園の取り組みのおかげで、家族みんながFSCのマークをすっかり覚えたわ。3歳になる娘はスーパーに行くとFSCマーク付きの商品を見つけては『これを買おうよ!』と言ってくれるのよ」子供のころからFSCに親しんでいるこの子たちが大人になる頃には、認証製品がもっともっと増えていることでしょう。

ではなぜ「ゴリラが幸せ」なのか。実は、このブリストル動物園が購買習慣に働きかけるキャンペーンを始めたのは、この動物園の見どころであるウェスタンローランドゴリラの生態保護のサポートのためでした。適切に管理された森林からの原材料で作られたFSC認証製品を選択することは、すなわちゴリラの生息地に影響しない消費ができることです。動物を目にしながら、彼らの生きる場所を想像しながらFSC認証製品を購入することで、その行動とその時の気持ちを日々の生活に結び付けてもらいたい、という考えからです。最初のキャンペーンは2013年で、この時の鍵はバーベキュー用品でした。

キャンペーンを始める前は、FSCのロゴやその意味、またどんな認証製品があるのかも知られておらず、FSC認証製品は一般の製品と比べてとても高価だとも思われていたようです。そこで、この動物園では、もっとその認知度を高め、人々に積極的に認証製品を選択してもらえるように、身近なものと結び付けたキャンペーンを行ったとのことです。

動物園のまとめによると、2013年のキャンペーンによってロゴマークの認知度が大きく向上し、このマークが重要な購買理由と認識されたとのことです。2014年のキャンペーン中には、12,000人もが動物園を訪れ、3,800もの「FSC製品購買の誓い」(上記写真参照)が貼り出されました。実際にどれだけ購買習慣に影響を与えることができたか、これから調査をするそうです。結果が楽しみですね。

写真出典:Jennifer Garrett 「FSC®製品購買の誓い」

動物も人も食べて貢献

この動物園は、森林のみならず海洋環境にも配慮した取り組みをしています。実は、FSCのキャンペーン実施前の2008年から2010年に、MSCと協力して持続可能な漁業と海洋保全に関して、認知度アッププロジェクトを実施しました。動物園内の水族館を、MSCを取り入れて持続可能な漁業について情報発信する演出にリニューアルし、消費者製品も展示をしました。

さらに注目すべきは、動物たちと人間たちの食べ物です。まず、この動物園がMSC COC認証の認証取得者である事。MSC認証の魚を購入し、動物のエサに使っています。つまり規格に基づき、MSC認証水産物であることを確認した上で受け取り、それを他と混ぜることなく動物のエサとして提供する管理を行っているのです。また、動物園内にあるカフェのメニューの魚料理も、MSC認証の材料を使っています。このカフェでは、料理を選ぶ人たちが並ぶ際に必ず目にするところに、MSCのマークとMSC認証についての説明が掲げられています。

水族館での展示とカフェのメニューは、MSCロゴの認知度アップに大きく貢献したようです。動物園がプロジェクトの実施前後に行った調査では、カフェを利用した人たちのMSCロゴ認知度が上昇。カフェと水族館の両方を訪れた人たちの上昇率はさらに大きかったとのことです。展示で海洋環境について学び、適切に資源管理されたエサで元気にしている動物たちを愛で、またカフェでは海洋環境に配慮した選択ができる。様々な場でMSCとの接点が増えることで、MSCロゴの認知度、そしてMSCについての理解も高まったものと思います。

教育と実行と発信の可能性

eco-friendly_2-003.jpgブリストル動物園は、1835年に設立された世界で5番目に古い動物園です。古くから社交やレクリエーションの場であったと同時に、研究や教育にも力を入れてきました。自ら環境配慮の選択を実践し、また学びと体験の場を提供しています。多様な機能を発揮させている動物園と言えるでしょう。動物園には多くの子供たちが訪れますが、動物だけではなく、動物を取り巻く世界、そして自分たちの選択や行動の意味、さらにはFSCやMSCのマークも一緒に記憶に残すことでしょう。

今回は動物園の例を挙げましたが、「教育と実行と発信」は、様々な場での展開が考えられると思います。その一手、一歩が、いろいろなところから芽吹くと嬉しいですね。

写真出典:Jennifer Garrett

参考情報

- FSC website: https://ic.fsc.org
- MSC website: http://www.msc.org
- ブリストル動物園: http://www.bristolzoo.org.uk/
- Business in the Community:
 http://www.bitc.org.uk/our-resources/case-studies/bristol-zoo-gardens-towards-truly-sustainable-zoo
- British & Irish Association of Zoos & Aquariums:
 http://www.biaza.org.uk/news/1179/211/Sustainable-Fishing/

- アミタ株式会社は、FSCに認定された認証機関Soil Association Woodmarkと
 SCS Global Servicesの日本パートナーです。
- FSC®N001887
- ACC-MSC-020

■この記事はCSRJAPANに2014年11月11日に掲載されたものです

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