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コラム

企業とNGOとの協働による持続可能な漁業・養殖業への転換に向けた取り組みWWFジャパンが語る!企業に求められる水産サステナビリティ

水産資源に関わる企業の方に向けて、「水産資源の現状と企業に求められる行動」をテーマにお届けする本コラム 。前回のコラムでは、IUU(違法・無報告・無規制)漁業の現状とリスクについてご紹介しました。今回は、IUU漁業由来の水産物を排除する上でも重要となるサプライチェーン全体のトレーサビリティの確保とともに、自然環境、労働環境や地域社会に配慮した持続可能な水産物の調達にもつながる、「企業とNGO(非政府組織)との協働による漁業・養殖業の改善の取り組み」についてお伝えします。

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企業とNGOの協働による漁業・養殖業の改善

世界的な過剰漁獲や養殖拡大に伴い、水産資源の減少、自然環境の破壊や汚染、さらには労働問題や地域社会との不和などが問題視されています。そんな中、こうした問題に配慮した漁業や養殖業由来であり、トレーサビリティが担保された水産物であることを示すツールとしてMSC(海洋管理協議会 以下、MSC)・ASC(水産養殖管理協議会 以下、ASC)認証があり、これらの認証水産物を取り扱う日本企業も増加しています。さらに、水産物を調達する企業自身が、NGOと協働し、MSC・ASC認証の取得を目指して漁業・養殖業の現場で実施する改善プロジェクトへの参加を通じて、水産物の持続可能な水産物の調達に向けて取り組む事例も生まれています。

インドネシアで実施中!エビの養殖業改善プロジェクト

その一つとして、インドネシアのボルネオ島・北カリマンタンでの、ASC認証の取得を目的としたエビ(ブラックタイガー)の養殖業改善プロジェクト(AIP: Aquaculture Improvement Project)を紹介します。このプロジェクトでは、現地のエビ加工会社のPT. Mustika Minanusa Aurora(以下、PT. MMA)社が主体となり、PT. MMA社の最大の取引先である株式会社ニチレイフレッシュ、WWFインドネシア、WWFジャパンの4社・団体が協働し、持続可能なブラックタイガーの生産の実現に向けて取り組んできました。

この地域での大きな問題の一つが、急速なエビ養殖業の拡大によるマングローブの伐採です。ASCのエビ養殖の認証基準にはマングローブの再生も要件に含まれています。そのため、このプロジェクトでは、ASC認証の取得を通じて、北カリマンタンの豊かな自然環境や多様な野生生物の保全を目指してきました。さらに、エビ養殖池で働く労働者の労働環境の整備や地域社会との良好な関係の構築を行い、自然と人に配慮した養殖業への転換に向けて取り組んできました。具体的には、マングローブ再生のサポートや労働者への水質調査等のトレーニング、労働契約書の作成や労働者の住居の改善、また社会影響評価に基づいた地域社会とのコミュニケーションの促進などを実施してきました。こうした改善の取り組みが実を結び、2017年8月18日、ブラックタイガーの養殖としてはインドネシア初となるASC認証が誕生しました。

wwf201709_001.jpg(北カリマンタン沿岸部に広がるエビ養殖池) wwf201709_002.jpg(ASC認証を受けたブラックタイガー)
水産物の調達に携わる企業の参加がカギになる

MSC・ASC認証の取得を目指す漁業・養殖業の改善プロジェクトは、いま世界中で拡大しつつあります。そうした改善プロジェクトを実施する上で重要となるのが、水産物を調達する企業の参加です。調達企業が、責任をもって改善プロジェクトに関わるとともに、プロジェクトの目標となるMSC・ASC認証の取得後にその水産物を調達するというコミットメントを示すことは、現場の漁業者や生産者、現地の加工会社の改善に対する強い動機づけになります。これは、改善プロジェクトの促進だけでなく、将来的な改善規模の拡大にもつながります。

特に日本は水産物の一大輸入・消費国であり、世界各地の過剰漁獲や養殖拡大に起因する、水産資源の減少や自然環境の悪化、労働問題や地域社会とのトラブルと密接につながっています。そのため、このような問題の解決に向け、水産物を調達する日本企業が、改善プロジェクトへの参加や調達先への改善プロジェクトの実施促進を積極的に行っていくことが重要です。

さらに改善プロジェクトは、サプライチェーン全体のトレーサビリティの確保や、自然環境、労働環境や地域社会に配慮した持続可能な水産物の調達、ひいては長期的なビジネスの継続にもつながります。今後、インドネシアの事例のような、企業とNGOとの協働による持続可能な漁業・養殖業への転換に向けた取り組みが拡大していくことが期待されます。

次回は、企業の水産物の責任ある調達に関する国内外の現状や、企業に求められる対応について解説いたします。

執筆者プロフィール

wwf_mryoshida.jpg吉田 誠(よしだ まこと)氏
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)
自然保護室海洋水産グループ

2013年にWWFジャパンに入局。黄海エコリージョンでの保全プロジェクトを中心に、海洋保全活動に従事。2016年より、チリ、インドネシア、中国での漁業・養殖業改善プロジェクトの支援、および日本での持続可能な水産物の促進に携わる。

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