浜松から発信、「天竜FSC(R)森林認証の家」に込められた想いとは? | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載

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インタビュー

天竜国産材事業協同組合 野村 氏、内山 氏 / 三立木材株式会社 河島 氏浜松から発信、「天竜FSC(R)森林認証の家」に込められた想いとは?

静岡県浜松市、人口約80万人の日本有数の大都市の中に、江戸時代から林業で栄えた土地がある。「天竜地域」だ。名古屋・東京を中心に良質の木材を提供する名産地として知られている天竜を含む浜松市は、現在、地域活性や、天竜木材の活性のために様々な取り組みを行っている。

その取り組みの一つがFSC森林認証(詳細はこちら)の取得だ。地域全体で認証を取得し、木材に付加価値をつけて販売をしている。2012年4月12日にはFSC COC認証(詳細はこちら)規格に適合した「天竜FSC森林認証の家」(以下FSC認証の家)を完成させた。FSC認証の家は国内でまだ事例が少なく、家を建てる際どの部位が認証材でなければならないか不明確な部分があった。そのため、イギリスの認証機関(ソイルアソシエーション)やFSC本部に確認することから始めたため、構想から完成まで1年間を要した。

なぜ、そこまでして「FSC認証の家」を建てたのか。FSC認証材を調達・製材している天竜国産材事業協同組合(以下、天竜国産材組合) 野村氏、同協同組合 内山氏、そして、その材を使って家づくりを行った三立木材株式会社河島氏の3名に想いを聞いた。

「FSC認証の家」を建てた経緯について教えてください
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野村氏:FSC COC認証を取得した当初から、もっと一般の人にFSC認証材を知ってもらって、普及させたいという想いがありました。

天竜地域の林業に関わっているメンバーでその話をしていたら、「モデルハウスを作ってFSC認証材をPRしよう。そして最近よくある立木のほんの一部(構造材のみ)を使うだけの家造りではなく、FSC認証の家は"余すところなく木を使う家造り"にしよう」という話になり、トントン拍子で進んでいきました。


河島氏:きっかけは、「FSC認証材で住宅を建てましょう」という提案を天竜国産材組合のみなさんからもらったことです。

三立木材は不動産業兼工務店なので、売り出し中の土地もあるし、家を建てることもできます。当初から、同じ林業に携わっている人たちの動きがあれば一緒にやりたいという想いがありましたので、話があった際、まずはモデルハウス的に一軒建ててみましょうという流れになりました。

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内山氏:行政の影響も大きいと思っています。

浜松市は、平成17年に12市町村が合併して、市域の68%の広大な森林を保有することになりました。そこで、浜松市が作成し運用を始めたのが森林政策の基本方針となる「森林林業ビジョン」です。森林と都市、生産地と消費地が一つの圏域にある浜松市は、行政と民間が一体となってFSCを盛り上げていこうとしています

「FSC認証の家」を普及させていくポイントを教えてください


野村氏:想いもそうですが、まずは「FSC認証の家」が購入されて、お金が循環することが大切だと思っています。

そのために、今回の家は特定の趣味・好みの人を対象としたデザインにせず、オーソドックスな仕様にしました。このモデルハウスをPRすることで、「FSC認証材で家を建てていきたい。」という協力工務店を増やしたいと思っています。

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河島氏:「FSC認証の家」は、販売価格を相場の価格にして、付加価値としてFSC COC認証がついているということに意味があると思っています。

「FSC認証材を使った住宅を作って、人が住む」というビジネスモデルを完結させるために、まずは「FSC認証の家」第一号の購入者を見つけたいです。


内山氏:「FSC認証の家」は内装に杉や檜を使っています。杉は密度の関係で空気を含みやすく、非常に温かい材料です。手で触ってもらえたらすぐにわかりますよ。このような木が持つ機能もしっかりと伝えて、普及させていきたいと思っています。

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今後FSCに期待することを教えてください
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野村氏:「天竜」というブランドに付加価値をつける目的でFSC森林認証を取得しています。「昔から信頼される良質な天竜材」に「適切に管理された山林から切り出されたFSC認証材」という価値が合わさることが大切です。

荒廃林はまだまだたくさんありますが、FSC認証材が普及されれば、その分、山へ還元できます。林業家から製材所、工務店までつながった「TEAM天竜」は、FSCをきっかけに、少しずつでも林業を取り巻く状況をよくしていきたいと思っています。


河島氏:FSCをきっかけに一般消費者の方がものを選ぶ時の意識をもってもらえるといいなと思っています。自分もそうでしたが、一つの材料でも、その背景や調達先、環境等が関係しているという観点や意識を持ってもらえたらうれしいです。

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内山氏:一般消費者の方がFSC認証材を選んで買ってもらうことで、FSCのネームバリューが上がるとうれしいです。そうなると、FSC COC認証を取得した製材所等にFSC認証材は販売先があるんだと感じてもらえる。FSCを通じて、みんなが夢をみられるようになっていきたいです。

プロフィール

野村 洋一 氏
天竜国産材事業協同組合

昭和21年に創業の株式会社フジイチ山林部所属。フジイチは天竜国産材組合の組合員である。フジイチは立木仕入~製材~製品販売までを一貫して行う。野村氏は、前職時代に山に関わる仕事がしたいと思い立ち、天竜への移住を決意。現在は、山林部にて原木仕入を行う。

内山 忠彦 氏
天竜国産材事業協同組合

株式会社フジイチの販売部所属。地元天竜出身。天竜材の良さをより多くのお客様に知っていただくため、販売業務だけでなくフジイチが定期的に実施する植林や下草刈りのボランティア活動等にも積極的に関わっている。

河島 由典 氏
三立木材株式会社

三立木材株式会社専務取締役。木材事業、不動産事業及び住宅販売等を行っている三立木材では、「地産地消」をテーマに地元材の積極的な活用を行っている。木材を住宅に使うことの意義や仕組みをお客様に分かりやすく伝え、天竜材のファンの拡大に努めている。

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