全産廃連|CSR2プロジェクト~地域に根差すCSR~【後編】 | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載

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インタビュー

全産廃連青年部協議会 会長 兼 加山興業株式会社 代表取締役 加山 順一郎 氏 / 加山興業株式会社 経営企画室 室長 田畠 真一 氏 全産廃連|CSR2プロジェクト~地域に根差すCSR~【後編】

産業廃棄物業界では、業界団体が主体となって会員企業のCSRを推進する取組みを行っています。特に、青年部が中心となり、4年前から「CSR2プロジェクト」を実施しております。この2年間プロジェクトを牽引してこられた、青年部協議会会長 加山順一郎様に、その成り立ちと取組み後の変化について伺うことができました。
また加山様が代表取締役を務める加山興業株式会社でCSRを先導してこられた田畠様も同席いただき、産業廃棄物処理業界を代表する企業のCSRの取組みについてお話いただきました。今回のインタビューは、排出事業者※の産業廃棄物処理業務に関するコンサルティングを行っているアミタ株式会社堀口と、編集長猪又の4名での対談形式で行いました。(CSRJAPAN副編集長=高橋泰美)

前編はこちら
CSR2プロジェクトとは?

※産業廃棄物 ... 企業の事業活動から発生する廃棄物。
※産業廃棄物処理業者 ... 焼却、埋立、再生利用など、産業廃棄物の処理を行っている企業。
※排出事業者 ... 産業廃棄物を出す側の事業者。産業廃棄物の処理をお願いする側の企業。

地域とのコミュニケーションのために

2nd_csrreports.bmp猪又:御社は業界団体のリーダーとして、率先して取り組まないといけないプレッシャーがあるのではないかと思いますがどのような取組みをされていらっしゃいますか?

田畠氏:取組みを整理する意味も含めて、2年前からCSR報告書を作っています。コストを抑えるため、冊子は部数を抑え、残りはWEBサイトでの案内としています。工場見学等お客様の来社時にレポートを差し上げると、レポートに記載した活動に協力してくださったり、「真似してもいい?」と問合せがあったりして、社外コミュニケーションのきっかけにもなっています。やはり伝えることは大事ですね。

猪又:CSR報告書を作成される際は何を参考にされましたか?ガイドラインなどあると思いますが...


田畠氏:ガイドラインも見たのですがよく分からなくて...来社される排出事業者さんのCSR報告書や業界他社のものを主に参考にしました。パンフレットサイズだと重たいので、小さくし、写真や図を多く取り入れ読んでもらえるレポートを意識しました。

加山氏:人のやっていることの真似からのCSRでいいと思うんですよ。うちもできそうと思うところからお客様に良いことの取組みが広がるのであれば、それでいいと思います。

猪又:その他にどのような取組みをされていますか?

加山氏:警察 の方に来ていただいて安全講習会を行ったり、社員とその家族、協力会社様との交流のためにBBQを開催したりしています。たまに警察官が来ると雰囲気が締まっていいですよ(笑)。BBQは社員やその家族、協力会社様に安全で衛生的な職場環境であることを知っていただくために開催しており、約200名の規模で行っています。社員が会社のことをどのように家族に伝えているかが分かりますので、社内の結束力が伺える機会になっています。

独自の取組みとしてはミツバチによる環境測定でしょうか。ミツバチから取れるはちみつは花の種類により味が変わります。ミツバチの飼育箱の近くに栗の木があるのですが、栗の花が咲く時期には、蜂蜜も栗の味がするんですよ!色も通常より濃いんです。

田畠氏:またミツバチは受粉を助けるため、地域の農家さんからは農産物の育ちがよくなったと聞きます。昨年は取れた蜂蜜を従業員や地域の方、お客様に配布し喜ばれましたよ。この取組みは昨年環境省カーボンオフセット認証を取得しました。今後は蜂蜜採集活動に対してカーボンオフセットをしていき、「百花はちみつ」として販売予定です。

画像イメージ:加山興業株式会社 CSR報告書2014

業界のイメージアップ、将来の人材確保のために

2nd_1_kayama_1.jpg堀口:業界内での流行の取組みってありますか?

加山氏:環境教育ですね。人気の理由は「ごみ」に対する負のイメージを払拭したいという意図があるからでないかと思います。人口が減る中で優秀な人材獲得が難しくなる中、業界のイメージが悪いといい人材も来てくれない。当社でも近隣の小学校に出前授業も行っていますが、小学生のうちに「ごみ」を正しく理解してもらうことで、社会でのイメージ向上と未来の人材確保にもつながればと思っています。

人が生きている限り「ごみ」は必ず出てきます。適正処理して再資源化して良い取組みをしていれば、必ず残っていける業種だと思っています。その中でトップリーダーになり、お客様や地域の方から愛される会社になっていきたいと思います。この業界は静脈産業といいますよね。人間は動脈と静脈がどちらもないと生きていけない。人間と一緒で、社会も動脈産業があるのなら静脈産業もないといけない。工場からの廃棄物が処理されないと製造ラインも詰まってしまう。動脈産業の方が立場が上というイメージですが、本来は同等、または静脈産業の方が重要かもしれない。静脈産業の意義を社会に認めてもらわないとごみ屋の社会的イメージが向上しないですし、何らかの形で続けていきたいと思っています。

猪又:それは業界で働く方にとってもいいことですね。イメージが上がると社員も誇りを持って仕事できます。また、排出事業者の処理先の選定基準になるなど、企業のCSRが事業にもつながるといいですよね。

画像:業界のイメージ向上のために尽力される加山氏

より広く発信するために

2nd_2_tabata_smile.jpg堀口:産業廃棄物処理業者の優良認定制度のような形で、CSR2プロジェクトをやっているかどうかのデータベースがあるのではないでしょうか。それが処理会社と契約をする時の一つの判断基準になると、なおいいなと思いました。プロジェクト自体はどのように排出事業者にPRしているんですか?

加山氏:現在は排出事業者に限らず、それぞれの地域でPRはしています。表彰もやっているのですが、表彰されるのはごく一部なので、各社の取組みをまとめて発信し、お互いがよいところを真似することで、今後もCSRの取組みが発展するといいなと思っています。

堀口:普段、排出事業者側から処理会社を見ていますが、こんなによい取組みなのに、残念ながら顧客である排出事業者伝わっていません。CSR2プロジェクトは一過性のものでなく継続して行っていることを伝えられるといいですね。

猪又:発信の場としてCSR JAPANを活用いただけると私共もありがたいです。本日はお時間をいただきありがとうございました。今後のご活躍も期待しています。

画像:加山興業株式会社でCSRを推進される田畠氏

プロフィール

prof_kayama.jpg加山 順一郎 (かやま じゅんいちろう) 氏
全国産業廃棄物連合会青年部協議会 会長
加山興業株式会社 代表取締役

同志社大学工学部を卒業後、化学メーカーに就職、その後加山興業へ入社、平成22年に代表取締役就任。愛知県産業廃棄遺物協会青年部会会長、全国産業廃棄物連合会青年部協議会副会長、統括幹事の後、第5代会長に就任。産業廃棄物処理業界の認知の向上と会員各社の資質の向上を目指し、「CSR2プロジェクト継承と進化」を実践中。趣味は激辛食べ歩き。

prof_tabata.jpg田畠 真一 (たばた しんいち) 氏
加山興業株式会社 経営企画室 室長

(特別管理)産業廃棄物のリサイクル提案営業などを経て、現在は許認可申請、広告やWEBなどの制作や基幹システムの構築などの業務に従事。ミツバチプロジェクトなどCSR活動の立案と管理を担当し、環境省実施「国内排出量取引に関わる試行スキームの認証採択」や「カーボンオフセット認証取得採択」など排出権やカーボンオフセットに関しても取り組んでいる。趣味はアウトドア

インタビュアー

prof_horiguchil.jpg堀口 昌澄(ほりぐち まさずみ)
アミタ株式会社 主席コンサルタント(行政書士)

産業廃棄物のリサイクル提案営業などを経て、現在は廃棄物リスク診断・廃棄物マネジメントシステム構築支援、廃棄物関連のコンサルタント、研修講師として活躍中。セミナーは年間70回以上実施し、参加者は延べ2万人を超える。環境専門誌「日経エコロジー」に2007年より2014年6月まで執筆記事を連載。環境新聞その他記事を多数執筆。個人ブログ・メルマガ「議論de廃棄物」も好評を博している。日本能率協会登録講師。

<著書>
 「改訂版 かゆいところに手が届く 廃棄物処理法 虎の巻」 日経BP社
 「廃棄物処理法のあるべき姿を考える」 環境新聞社

prof_inomata.jpg猪又 陽一(いのまた よういち)
アミタ株式会社 CSRプロデューサー

早稲田大学理工学部卒業後、大手通信教育会社に入社。教材編集やダイレクトマーケティングを経験後、外資系ネット企業やベンチャーキャピタルを経て大手人材紹介会社で新規事業を軌道に乗せた後、アミタに合流。環境・CSR分野における仕事・雇用・教育に関する研究。環境省「優良さんぱいナビ」、企業ウェブ・グランプリ受賞サイト「おしえて!アミタさん」、「CSR JAPAN」等をプロデュース。現在、企業や大学、NPO・NGOなどで講演、研修、コンサルティングなど多数実践中。

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