
2020年9月29日から30日に、Sitraが開催した世界循環経済フォーラムのオンラインイベント(WCEFonline※)にて、サーキュラーエコノミーの優良事例として、39企業の事例が発表されました。日本企業からは、小田急電鉄株式会社、日本環境設計株式会社の取り組みが選定されています。
本記事では、これらの取り組みをご紹介します。
※世界循環経済フォーラム(WCEF)とは…フィンランド・イノベーション基金「Sitra」が運営するグローバルイニシアチブ。サーキュラーエコノミー推進のための活動を続けており、年に1度、世界中のビジネスリーダー、政策立案者、専門家が集い、サーキュラーエコノミーの好事例の紹介や議論を交わすフォーラムを開催している。現在、その参加者は2,000名を超える規模となっています。
※2020年9月に予定されていたフォーラムは、新型コロナウイルス感染症拡大によって、2021年9月に延期され、これらに代わり、今回、オンラインイベントが開催されました。
「世界を変える39のサーキュラーエコノミーソリューション」とは?
Sitraは、サーキュラーエコノミーを推進するため、2016年から2019年までの間、フィンランドのサーキュラーエコノミにーに取り組む企業をリストアップし、発表してきました。しかし、2020年からは、その対象を世界に広げています。これが、2020年9月に発表された「世界を変える39のサーキュラーエコノミーソリューション(39 circular economy solutions to inspire the world)」です。
39の事例は、公募と選定チームの調査によって集められた世界の事例の中から、「他社の参考になるか」「実行可能性が高く、ポテンシャルがあるか」などの観点から選定されています※。事例は、6つの分類に分けられており、Sitraが提唱する5つのビジネスモデルに関する取り組みの他「他社のサーキュラーエコノミーの取り組みを促すソリューション(サーキュラーエコノミーイネーブラ)」もリストアップされています。本記事では、分類ごとにその一部を紹介します。
※リストの選定にあたっては、上述の観点の他、5つのビジネスモデルごとのバランス、業種や地理的多様性なども配慮されているとのことです。
「世界を変えるサーキュラーエコノミーソリューション」39社の事例
39社のすべての事例について、
詳細をまとめたダウンロード資料をご覧いただけます。
- 1.サービスとしての製品(Product-as-a-service)
(全3件中、3件)
| 製品に代わって、サービスを提供するビジネスモデル |
| 会社名 | 国 | 取り組みの概要 |
| Blendhub | スペイン | 食品廃棄を減らすためのフードプラットフォームを世界初のサービスとして開発 |
| BSH Hausgeräte | オランダ | 家電製品を使用後の回収、修理なども含めたサービスとして提供 |
| Tamturbo | フィンランド | 産業施設向けのオイルフリーコンプレッサーサービスの提供開始 |
- 2.再生可能性(renewability)
(全7件中、4件)
| 製品の設計製造段階で、再生可能かつリサイクル可能な原材料と再生可能エネルギーを利用するビジネスモデル |
| 会社名 | 国 | 取り組みの概要 |
| BC-Materials | ベルギー | 通常、廃棄される掘削土を建設用原材料へ再利用 |
| CCI BioEnergy | カナダ | 有機廃棄物を再生可能エネルギーと土壌改良製品に変換 |
| Kotkamills | フィンランド | 既存のリサイクルプロセスで取り扱い可能な生分解性食品包装用の素材を開発 |
| Safi Organics | ケニア | 農家が自ら農業廃棄物を利用して肥料を生産できる仕組みづくりを構築 |
- 3.共有プラットフォーム(sharing platforms)
(全4件中、3件)
| レンタルや売買、シェアリング、再利用のためのデジタルプラットフォームの使用により、商品やリソースの効用を最大化し、ライフサイクルを延長させるビジネスモデル。 |
| 会社名 | 国 | 取り組みの概要 |
| Excess Materials Exchange(EME) | オランダ | 企業のための余剰原材料の交換マッチングプラットフォームを提供 |
| FLOOW2 | ルクセンブルク | 活用されていない機器や材料などをシェア、交換、販売できるマーケットプレイスプラットフォームを提供 |
| Second Harvest | カナダ | 地元企業と地域の非営利団体や社会福祉団体とをつなげ、売れ残った食品の廃棄を防ぐプラットフォームを提供 |
- 4.製品寿命の延長(product-life extension)
(全5件中、3件)
| 製品を(本来の目的に沿って)可能な限り長く使用できるようにする。もしくは、メンテナンス、修理、改修などの手段を通じて何度も繰り返し使えるようにするビジネスモデル |
| 会社名 | 国 | 取り組みの概要 |
| Compugen Finance | カナダ | 耐用年数を経て廃棄される電子機器を回収し、再販、寄付、リサイクルを実施 |
| 小田急電鉄株式会社 | 日本 | 旧社宅を環境面への影響を考慮した賃貸住宅にリノベーションし、循環可能なライフスタイルをサポート。地域コミュニティを活性化 |
| Rype Office | イギリス | イギリスで毎日埋立られる300tのオフィス家具に対応するため、再生品と廃棄物からデザインした持続可能な家具を提供 |
- 5.資源の効率性とリサイクル(Resource efficiency and recyclability)
(全12件中、6件)
| 原料とエネルギー効率性向上ソリューション。および、ライフサイクルの寿命を迎えた製品・原材料の再利用と回収に関するビジネスモデル |
| 会社名 | 国 | 取り組みの概要 |
| Aakar | インド | 生分解性生理用ナプキンの開発・製造 |
| 日本環境設計 株式会社 (JEPLAN) | 日本 | 古着のリサイクル技術を開発消費者行動の変化に重点を置きながら、ファッション業界の循環の仕組みづくりを推進 |
| Cambrian Innovation | アメリカ | 廃水を再生可能エネルギーに変換し、温室効果ガスの排出量を削減する世界初の廃水処理ソリューションを開発 |
| Li-Cycle | カナダ | これまで有害廃棄物として処理されてきたリチウムイオン電池のリサイクル技術を開発 |
| Renewcell | スウェーデン | ヨーロッパ 世界初、工業規模の使用済み繊維のケミカルリサイクルプロセスを確立。ファッション産業に貢献 |
| TECO² | ブルキナファソ | プラスチック廃棄物を教室のベンチやエココンポジット材料に変換 |
- 6.サーキュラーエコノミーイネーブラ
(Circular economy enabler/ circular data management)
(全8件中、4件)
| 他社のサーキュラーエコノミーへの転換を促すビジネスモデル。 (データ管理手法を開発したり、サーキュラーエコノミーによって生み出された付加価値を拡散することで、他社の取り組みを促す。) |
| 会社名 | 国 | 取り組みの概要 |
| Circular IQ | オランダ | 持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)と共同で開発されたCTI(Circular transition indicators)ツール企業の温室効果ガス排出量、廃棄物量、水の使用量などバリューチェーンへの影響を計測 |
| Ghost Island Media | 台湾 | ポッドキャスト(インターネットラジオ)を通じて、一般市民にサーキュラーエコノミーのアイデア・知識を普及 |
| Inchainge | オランダ | 企業や学生を含むユーザーがサーキュラーエコノミーを学べるWeb教育ツールを提供 |
| Optel Group | カナダ | サプライチェーン上でどのような原材料が利用されているのか、データ収集が可能なサプライチェーンマネジメントのためのプラットフォームを提供 |
「世界を変えるサーキュラーエコノミーソリューション」39社の事例
39社のすべての事例について、
詳細をまとめたダウンロード資料をご覧いただけます。
さいごに:サーキュラーエコノミー推進のヒントは”協働”と”デザイン”
いかがでしたか。サーキュラーエコノミーを推進することで、未活用の資源を自社の新たなビジネスチャンスとして捉え、将来の気候変動リスク、水リスク、資源枯渇リスク、海洋プラスチックの課題など、様々な社会課題の解決と自社のサステナブル経営推進につながっていきます。一方で、サーキュラーエコノミーに取り組みたくても、一企業のノウハウや事業規模では実現が難しいという声も多く挙げられています。他企業・自治体・大学・NGO・NPOなど様々なステークホルダーと連携して、それぞれのノウハウや強みをいかしながら、取り組んでいくことが必要です。どのような取り組みを行えるのか。見直してみましょう。
関連記事:移行戦略のすすめ 第6回 社会実装の仕方
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また近年では、サーキュラーエコノミーの考え方に沿って、素材や製品、ビジネスモデル(モノ売りからコト売りへなど)、さらには社会システム全体をより循環型にしていくための一連のデザインである「サーキュラーデザイン」が注目されており、循環型のビジネスモデルを設計していく上では、ぜひ踏まえておきたいアプローチです。
関連記事:モノ・動機性(気持ち)・情報の循環 -資源価値以上のものを巡らせるデザイン
JCEPのご紹介
ジャパン・サーキュラー・エコノミー・パートナーシップ(略称:J-CEP)は、持続可能な社会の実現を目指す企業等が参加し、住民・行政・大学等と連携して、サーキュラーエコノミーの推進に取り組む新事業共創パートナーシップであり、アミタも参加しています。お気軽にお問い合わせください。

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アミタは受け入れた廃棄物を100%リサイクルします。またアミタが製造するリサイクル資源(サーキュラーマテリアル)は、納品先であるユーザー企業で天然資源の代替原燃料として利用され、その残さも含めて100%利用されます。まずはご相談ください。

持続可能なまちづくり
アミタは「循環」と「関係性」をキーワードに、地域が抱える課題に統合的にアプローチし、地域住民・自治体・企業が三位一体となって進める持続可能なまちづくりを全国各地で支援しています。
執筆者情報
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おしあみへんしゅうぶ
おしアミ編集部
アミタ株式会社
おしえて!アミタさんの編集・運営担当チーム。最新の法改正ニュース、時事解説、用語解説などを執筆・編集している。
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