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サーキュラーエコノミーとは? 3Rとの違いや取り組み事例まで解説!

Image by Arek Socha from Pixabay

本記事ではサーキュラーエコノミーが注目されている理由から、リニアエコノミーや3Rとの違い、サーキュラーエコノミーの3原則や5つのビジネスモデル、取り組み事例について解説します。

※この記事は2022年に執筆されたものを再編集しています。

目次

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サーキュラーエコノミーとは

サーキュラーエコノミー(循環経済)とは、資源の効率的な循環利用の仕組みを構築し、資源やエネルギー消費を抑え、新しい価値を生み出そうとする社会経済システムです。2015年にWaste to Wealth(無駄を富へ)という考えのもとで生まれ、欧州の経済政策として発表され広まった概念で、日本語では、循環経済または循環型経済と訳されます。欧州連合(EU)では各国で規制・政策化によるサーキュラーエコノミーへの転換が進み、産業界や消費者の意識変化が加速しています。
サーキュラーエコノミーと一般的な経済モデルの違いは、バリューチェーンにおいて廃棄物の発生を前提としているかという点にあります。一般的な経済モデルはリニアエコノミー(直線型経済)と呼ばれ、原材料・製品・利用・廃棄物といったバリューチェーンの流れが直線となっている点が特徴です。一方で、サーキュラーエコノミーの考え方では、資源の回収や再利用が前提とされているため、廃棄物という概念がなく、一度消費された製品も再資源化され循環します。

▼リニアエコノミーとサーキュラーエコノミーの違い

CE2.png

出典:環境省

サーキュラーエコノミーの定義

サーキュラーエコノミーには明確な定義はありませんが、環境省は以下のように定義しています。


▼サーキュラーエコノミーの定義

従来の3Rの取組に加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指す、さらには新しい産業や雇用の創出等、新しい付加価値を生み出す経済活動

出典:環境省

サーキュラーエコノミーが注目されている理由

サーキュラーエコノミーが世界的に注目されている理由として、気候変動や資源枯渇をはじめとした深刻化する環境問題への解決手段であることが挙げられます。これまでのリニアエコノミーは、経済成長と引き換えに資源枯渇や温暖化、生物多様性損失などの大きな負荷を与えてきました。WWFは2012年時点で既に人類は地球1.5個分を必要とする生活を送っていると警鐘を鳴らしています。加えて、世界人口は2060年に101億人に増加し、必要な資源量は2019年比で2倍になると予想されています。このような現状を受け、全ての人々が地球の環境容量の範囲内で持続可能な繁栄を図る仕組みである、サーキュラーエコノミーが注目されています。また、企業にとっては不確実性が高く未来が予測しにくいVUCA※1の時代といわれる今、サーキュラーエコノミーの考えを事業に取り込むことにより、事業リスクの低減、機会の獲得のための施策につながるなど事業の存続と成長のために必要な考えとして注目されています。

※1:Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの英単語の頭文字を取った言葉

サーキュラーエコノミーの市場規模

2023年、経済産業省が発表した「資源循環経済政策の現状と課題」によると、サーキュラーエコノミー市場として2030年までに全世界で4.5兆ドル(約700兆円)、日本だけでも約80兆円の市場規模を見込んでいます。また、政府は2023年時点から10年にかけ約20兆円規模、官民投資額全体では150兆円超の支援を想定していること、さらに2024年6月に環境省部会により取りまとめられた第五次循環型社会形成推進基本計画(案)中で「循環経済を国家戦略に」と、強調される等、今後さらなる成長が期待できる市場といえるでしょう。

サーキュラーエコノミーの3原則とバタフライダイアグラム

つづいて、サーキュラーエコノミーの根幹の概念である「サーキュラーエコノミーの3原則」と「バタフライダイアグラム」をご紹介します。
世界のサーキュラーエコノミーを推進する団体であるエレン・マッカーサー財団は「サーキュラーエコノミーの3原則」として、以下を挙げています。

▼サーキュラーエコノミーの3原則

1. Eliminate waste and pollution  廃棄物・汚染などを出さない設計
2. Circulate products and materials (at their highest value)  製品や資源を使い続ける
3. Regenerate nature  自然のシステムを再生する


この3原則に基づくサーキュラーエコノミーの概念を図で示したものがバタフライダイアグラムです。


▼バタフライダイアグラム

butterfly diagram.png出典:エレン・マッカーサー財団を参考にアミタ作成


バタフライダイアグラムは、生物的サイクル(図左側)と技術的サイクル(図右側)の2つのサイクルを示しています。生物的サイクルは自然界において生分解・再生することができる再生可能資源サイクルであり、技術的サイクルは、そのまま自然界に戻すと環境に悪影響を及ぼす枯渇性資源のサイクルです。バタフライダイアグラムは、サーキュラー化における自社のビジネスモデルの現状理解や、改善点を見つけるためのツールとしても活用できます。

▼関連記事
・第十回 どのようにサーキュラーエコノミーを自社に取り込むのか?
・循環型ビジネスへ移行するには?経営戦略と価値観の統合が重要

サーキュラーエコノミーと3Rの違い

では、これまで日本で広く取り組まれてきた3R:Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)とサーキュラーエコノミーでは何が違うのでしょうか。3Rでは廃棄物ができるだけ出ないよう設計することや、廃棄物の一部を再資源化・再利用することなどが目指されますが、少なからず廃棄物が出ることが前提になっています。上述のようにサーキュラーエコノミーは、廃棄を前提としない考え方のため、製品・サービスの設計段階から廃棄物を出さないようにデザインし、従来は廃棄されていたものも原料化することで、できるだけバージン原料を投入せずに循環可能なルートを構築するアプローチです。

サーキュラーエコノミーとシェアリングエコノミーの違い

シェアリングエコノミーとは、インターネットを介して個人が保有するモノや場所、スキルなどの貸出を行う仕組みのことです。民泊や、カーシェアなどもシェアリングエコノミーの1例になります。サーキュラーエコノミーは、廃棄物を出さないための既存資産の活用や、不特定多数による資産の利用において、シェアリングエコノミーと親和性が高いと言われています。

サーキュラーエコノミーの5つのビジネスモデル

サーキュラーエコノミーのビジネスモデルは下記の5つに分類されます。これらの分類は、戦略コンサルティングファームのアクセンチュア社によって著書「Waste to Wealth(無駄を富に変える)」の中で提唱されたものです。

▼サーキュラーエコノミーの5つのビジネスモデル

1. サーキュラー型のサプライチェーン(循環型サプライ)
原材料や資源の調達の場面で、回収・再利用しやすいものを採用するモデルを指します。再生可能エネルギーや生分解性の素材の採用といった形で既存ビジネスに取り入れていくことが可能なアプローチです。


2. 回収とリサイクル
寿命を迎えた製品を回収し、再度質の高い原材料として製造サイクルに戻し、より高い付加価値を生み出すモデルです。広域認定制度やプラスチック新法を活用した回収の取り組みもこちらのモデルに該当します。


3. 製品寿命の延長
メンテナンス、修理、改修などの手段を通じて、製品を(本来の目的に沿って)可能な限り長く使用できるようにデザインするビジネスモデルです。部品単位での二次使用や再販なども含まれます。


4. シェアリング・プラットフォーム
これまでの「所有」の概念を超え、モノや資産の共同利用によって、需要を持っている人が、需要があるタイミングで製品やサービスを利用するモデルです。


5. サービスとしての製品
利用者が製品やサービスを利用した分にのみ料金を払います。レンタル、リース、サブスクリプションといった形態がこのモデルに該当します。このモデルでは製品の所有権を提供側が保持したままのことも多く、回収やリサイクルなどにもつながりやすいことが特徴です。

参照:アクセンチュア

サーキュラーエコノミーの取り組み事例

5つのビジネスモデルを実践している企業のサーキュラーエコノミーの取り組み事例をご紹介します。

  • Kotkamills 生分解性の食品パッケージ
    Kotkamills社が開発した生分解性食品包装用素材は、食品包装に求められる耐油性と耐湿性の機能性を保ちながらも、既存のリサイクルプロセスにてリサイクルすることが可能です。そのため、これまでの石油由来の食品包装素材の利用を減らし、持続可能なプラスチック代替品の需要を満たすことに成功しました。同社の包装材はファストフードや食品の持ち帰り用の包装として使われるのはもちろんですが、冷凍食品や化粧品の包装としても活用されています(1.サーキュラー型のサプライチェーン)。


▼Kotkamills が開発した生分解性食品包装素材「ALASKA(R)」

Kotkamills.png

出典:Kotkamills

  • 神戸プラスチックネクスト 使用済みパウチ回収
    参画企業である日用品メーカーが連携してボトル、パウチなどの使用済み容器・包装プラスチックを回収し、水平リサイクルの実現を目指しています(2.回収とリサイクル)。

▼神戸プラスチックネクスト プロジェクトスキーム

koube_plastic_next.png出典:神戸市

  • 小田急電鉄株式会社 古くなった社宅のリノベーション
    古くなった社宅を賃貸住宅へとリノベーションしたことにより、新築、解体するよりも廃棄物の発生量、資源利用量の抑制を実現させました。また、既存施設を活かして施設間に広場や貸農園などを配置することにより、居住者同士のコミュニティを創出するなど地域コミュニティの活性化にも寄与しています(3.製品寿命の延長)。

▼小田急電鉄の社宅をリノベーションした「ホシノタニ団地」

hoshinotani_danchi.png出典:小田急電鉄

  • Second Harvest 売れ残りを減らすモバイルアプリ
    Second Harvest社は、売れ残りの余剰食品を抱える地元企業と、その地域の非営利団体や社会福祉団体をモバイルアプリでつなぐことにより、売れ残った食品の廃棄を防ぐプラットフォームを提供しています(4.シェアリングプラットフォーム)。


▼団体から提供を受けた食品

second_harvest.jpg出典:セカンドハーベスト ジャパン

  • トヨタ自動車株式会社・株式会社KINTO 車のサブスクリプション化
    消費者の消費スタイルが「所有」から「利活用」へシフトする時代に「手軽にクルマを利用したい」というニーズに応えるため、トヨタ自動車とKINTOはクルマのサブスクリプションサービスを提供しています(5.サービスとしての製品)。


▼車のサブスクリプションサービスKINTO ONE

kinto_service.jpg出典:KINTO


▼関連記事先進事例に見るサーキュラーエコノミーへのビジネスアプローチ(前編)
・2020年9月、世界循環経済フォーラムオンラインで発表された39事例を解説
・企業のサーキュラーエコノミー推進に向けた取り組みとは?
・プラスチック資源循環に向けて:日本国内の取り組み事例
・水平リサイクルとは?事例から実証実験まで解説

日本のサーキュラーエコノミーに向けた取り組み

近年、企業の取り組みだけでなく、サーキュラーエコノミーについて国として方針を立て、規制や法律を新たに設ける取り組みが進んでいます。日本と世界のサーキュラーエコノミーに資する取り組みについて、法制度、政策、官民パートナーシップを交えてご紹介します。

  • 2000年 環境省「循環型社会形成推進基本法」の制定
    廃棄物の減量化、リサイクルの促進、資源の有効活用を目指し「循環型社会形成推進基本法」が制定されました。この法律は、従来の廃棄物対策に加え、リサイクル政策の基盤を強化し、循環型社会の実現を目指したものですが、あくまで3Rの考え方に留まった内容です。

  • 2020年 経産省「循環経済ビジョン2020」が策定
    2020年、経済産業省が、従来の環境活動としての3R(Reduce, Reuse, Recycle)主体から、より包括的な経済活動としてのサーキュラーエコノミーへの転換を目指すとして「循環経済ビジョン2020」を策定しました。このビジョンでは、製品のライフサイクル全体を通じて資源の循環を促進することを目標としています。

  • 2022年 環境省「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行
    2022年に、通称プラスチック資源循環法が施行され、プラスチック製品の設計から販売、消費、廃棄に至るまでのプロセスにおいて、自治体、事業者、消費者が連携してサーキュラーエコノミーを推進することが求められるようになりました。

プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律の詳細はこちら
プラスチック資源循環促進法とは?概要とポイントをわかりやすく解説

  • 2023年 経産省「成長志向型の資源自律経済戦略」を策定
    2023年に経済産業省は「成長志向型の資源自律経済戦略」を策定しました。この戦略は物資や資源の供給リスクを抑制し、経済の自律化と国際競争力の獲得を目指すために策定されました。

  • 2024年 環境省「第五次循環型社会形成推進基本計画」が閣議決定
    2024年8月、循環基本法の5回目の改訂「第五次循環型社会形成推進基本計画」が閣議決定されました。本計画では資源の枯渇や廃棄物の増加を防ぐために、サーキュラーエコノミー(循環経済)への移行を推進する必要があるとしています。

第五次循環型社会形成推進基本計画の詳細はこちら
第五次循環型社会形成推進基本計画の背景・ポイントをわかりやすく解説

このように、日本は持続可能な社会の構築に向けて、サーキュラーエコノミーの推進に積極的に取り組んでいます。2050年カーボンニュートラルを達成するためにも、サーキュラーエコノミーへの移行を進めていく必要があることを、サーキュラーエコノミーの方向性を示した「循環経済工程表」でも示しています。

▼サーキュラーエコノミーの方向性を示した循環経済工程表
junkankouteihyou.png出典:環境省

世界のサーキュラーエコノミーに向けた取り組み

サーキュラーエコノミーに関する世界各国の取り組みは、持続可能な社会を目指す上で重要な役割を果たしています。以下に主な国の取組をご紹介します。これらの取り組みは、政府、企業、金融機関が連携することにより、従来のリニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへの移行を加速しています。

  • 2019年 欧州連合(EU) 「欧州グリーンディール政策」
    この成長戦略では、製品をできるだけ長く使い、再利用、リサイクル、再生することで、資源を経済システムの中でできるだけ長く循環させる「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」への移行を、その中核的な政策目標と位置付けられました。

  • 2022年 欧州連合(EU) 「EUタクソノミー」
    EUタクソノミーとは、企業の経済活動について環境に配慮されているかを評価する分類法です。EUタクソノミーが目指す6つの環境目標の中でも「サーキュラーエコノミーへの移行」が掲げられています。

  • 2020年 フランス 「サーキュラーエコノミー法」
    この法律では、廃プラスチックの規制、製品の保証期間延長、廃棄禁止などを制定されました。

サーキュラーエコノミー法の詳細はこちら
2020年2月フランスがサーキュラー・エコノミー促進のための法律を公布、製品への規制を強化。日本への影響は?

  • 国際標準化機構 「ISO59000シリーズ」
    サーキュラーエコノミーの標準化を目的とした国際規格であり、サーキュラーエコノミーの用語定義やビジネスモデルのガイドライン、製品情報の標準化などがターゲットです。循環経済に関する6つの規格が開発済みまたは開発中です。

▼関連記事
・ISO「TC323」サーキュラーエコノミーの国際標準化トレンドを押さえる
・サーキュラーエコノミーの国際規格 「ISO 59000」 シリーズとは?

サーキュラーエコノミーへの取り組みが企業にもたらすメリット

サーキュラーエコノミーへ取り組むことは企業に様々なメリットをもたらします。以下、企業にとってのメリットについて解説します。

  • 脱炭素と資源節約
    製品の設計段階から廃棄物を最小限に抑えることで、温室効果ガスの排出量を削減し、資源の浪費を防ぎます。これにより、環境への負担が減り、企業は持続可能な社会の実現に寄与することができます。

  • コスト削減と付加価値の創出
    製品の耐用性を高めたり、修理やアップグレードを通じて製品の寿命を延ばしたりすることで、製品の製造コストを削減できます。また、リサイクルやアップサイクルによって新たなビジネスモデルやサービス、ソリューションが生まれ、新たな収益源も期待できます。

  • 資源の安定調達
    リサイクルを通じて資源を再利用することで、資源の安定調達が可能となり、資源価格の変動リスクを軽減します。

  • 消費者との関係構築
    製品の回収や再利用を通じて、消費者との接点を増やし、長期的な関係性を築くことができます。これは顧客ロイヤリティ向上やブランドイメージの強化につながります。

  • 新しいビジネスモデルの創出
    サーキュラーエコノミーを活用することで企業が得られる競争優位性を「サーキュラーアドバンテージ」といいます。新製品の投入で、既存商品の買い替えを促し利益を得るビジネスは「計画的陳腐化」と揶揄され、徐々に非難や規制の対象となりつつあります。サーキュラーエコノミーは、従来の「採って、作って、捨てる」という従来のリニアエコノミーからの脱却であり、企業の新規ビジネスモデル創出の一つのカギと言えるでしょう。

  • DX化・業務効率化
    また近年では、デジタル技術の進展に伴い、サーキュラーエコノミーにおけるデジタル活用も進んでいます。例えば、ソーティングにより回収資源の品質を飛躍的に高めたり、デジタルツインや3Dプリンタといった省資源型のモノづくり手法が可能になったり、モバイル技術やIoT、クラウドサービスの普及により、シェアリングやPaaS(Product as a Service)といった所有に拘らない利用が容易になったりしています。


▼デジタル競争時代における産業転換
ce10tech.jpg
出典:アクセンチュア株式会社

サーキュラーエコノミーを自社に取り込む際のポイント

ここからは、実際にサーキュラーエコノミーを自社に取り込む際に抑えるべきポイントをご紹介します。

1.循環視点の統合
サーキュラーエコノミーの基本理念を理解し、企業のビジョン、ミッション、そして事業戦略と一致させることが重要です。製品の設計段階から、長期的な使用と廃棄後の再利用、さらに自然環境の再生を考慮する必要があります。

2.回収とリサイクルのシステム構築
製品サイクルの「ゆりかごからゆりかご(Cradle to Cradle)」を設計し、消費者から製品を回収して再利用またはリサイクルするシステムを確立することが必要です。これには、回収のための物流網の整備や、製品回収後の処理技術の開発等も含まれます。

3.協業とパートナーシップ
サーキュラーエコノミーは一企業だけで実現するには限界があります。素材供給者、製造業者、流通業者、消費者、リサイクル業者など、サプライチェーン全体で取り組むことが不可欠です。他企業や業界を超えた協業を通じて、循環型モデルを支えるエコシステムを構築することが重要です。

4.透明性とコミュニケーション
サーキュラーエコノミーへの取り組みを社内外に積極的に発信し、ステークホルダーの理解と支持を得ることが重要です。取り組みの進捗状況や達成した成果を公開することは、持続可能な企業としてのブランドイメージを強化することに繋がります。

5.戦略的計画と目標設定
サーキュラーエコノミーへの移行を戦略的に計画し、実行に移すためには、具体的な目標とKPI(重要業績評価指標)の設定が必要です。これにより、企業は具体的な行動計画を立て、進捗を定期的に評価し、必要に応じて戦略を軌道修正できます。

6.ガバナンスの強化
経営層や取締役会がサーキュラーエコノミーへの移行に積極的に関与し、長期的な視点でこの取り組みを推進することが重要です。これには、経営戦略としてのサーキュラーエコノミーの位置づけを明確にし、全体で取り組む企業性を育んでいくことが含まれます。
これらのポイントを踏まえ、自社にサーキュラーエコノミーを取り込んでいきましょう。

まとめ|脱炭素経営には事業のサーキュラー化が必要

本記事をとおして、サーキュラーエコノミーの概念や、企業がサーキュラーエコノミーを事業に取り込むにあたっての基本的な考え方について理解を深めていただけたでしょうか。
従来のリニアエコノミーでは、経済成長すればするほど環境負荷が加速し、資源不足が深刻化していくため持続可能ではありません。一方、サーキュラーエコノミーは環境負荷が低く、地球環境の再生能力に収まるエネルギーと資源を使って経済成長できる経済システムであるため、持続可能な社会を実現させるためには重要な考えとなります。
また、近年、CO2排出量の削減など企業の脱炭素対策の要請が高まっていますが、CO2排出量の削減においてもサーキュラーエコノミーの必要性が訴えられています。2021年の世界経済循環フォーラムでは、チリの環境大臣がCO2を減らすには半分はエネルギーをクリーンなものに変え、もう半分はサーキュラーエコノミーで製品の売り方や作り方を変える必要があることを明言していました。そのため、サーキュラーエコノミーは、企業の脱炭素対策にも貢献する考えになります。今後、ますます企業は、サーキュラーエコノミーの考えを事業に取り込み、サーキュラー化させていく、つまり循環型ビジネスへのシフトに取り組むことが重要になると言えるでしょう。

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▼サーキュラーエコノミーに取り組んでいる企業様をインタビュー

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執筆者プロフィール(執筆時点)

木村 智洋(きむら ちひろ)
アミタホールディングス株式会社
カンパニーデザイングループ ヒューマンリソースチーム

杉田 紬季(すぎた つむぎ)
アミタホールディングス株式会社
カンパニーデザイングループ ヒューマンリソースチーム

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