
「法を駆使して創造性、イノベーションを最大化する」という理念のもと、変わりゆく時代に合わせて自発的にルールメイキングしていくための「法」×「デザイン思考」=「リーガルデザイン」という考えを提唱する、なんともゼブラな法律家に末次が突撃!
しまうまフレンド5組目は、シティライツ法律事務所代表の水野祐さん。レッツ!しまうまトーク!
アミタホールディングス代表・末次貴英と外部有識者の対談シリーズです。コラムの詳細はこちら
目次
- カフェで生まれたモメンタム
- まず変えるべきは法律ではなく、使い方
- ドナルド・トランプも「リーガルデザイナー」?
- 関係性が循環するリーガルデザイン
- 未来の価値創出の鍵は「消費者」
- 国×企業×自治体、全員参加のルールメイキング革命
- 交渉の共通言語は「持続性」
- 地球の未来は誰が創る?
まず変えるべきは法律ではなく、使い方
末次
今日はよろしくお願いします。早速ですが、事務所名の「シティライツ」ってチャップリンの映画(邦題は「街の灯」)が由来なんですか?

水野氏
よくご存じですね。それもありますが、もっと直接的な由来は、サンフランシスコにある書店なんです。元々、大学時代にサブカルチャー、インターネットカルチャーを浴びるような生活をしていて。そういう作品やカルチャーを作っている人たちのサポートをしたいな、というのが法律家になった初期衝動です。最初はエンタメやアート業界の知財関連の仕事をしていたんですが、次第にIT業界の知財や個人情報保護法のようなデータを扱う仕事が増えていって、最近では公民連携やスマートシティといったまちづくりの仕事も増えています。インターネットやデジタル技術を使ってソフトからハードまで幅広く仕事をしているのが特徴だと思います。
実は私自身、法律家になる前は法やルールって、邪魔なものだと捉えていたんです。ただ、中身を知るにつれて、割と柔軟性を持った自由なものなんだなという感覚が芽生えてきて。法やルールに邪魔をされると感じるのは、使う側の意識の問題なんじゃないかとも思うようになりました。
末次
すごい、この時点で既に面白いな……。法曹界では水野さんのような「リーガルデザイン」の考え方って結構変わっているんじゃないですか?
水野氏
どうだろう……。仕事に対して自分なりの思考を持ち、一貫性を保った対応は大切にしています。その中で感じたことを本や寄稿記事にまとめたり、言語化するところは多少変わっているんですかね。
あと未だに「自分、弁護士です」って名乗るのにどうしても違和感があるんですよね。士業って、ただの資格という感覚が強くて。
末次
手段であって目的ではない、みたいなことですかね。
水野氏
近いですね。元々私は弁護士になることが目的ではなく、先ほど言ったように、法的な視点から仕組みづくりのサポートをやりたいと思っていて。法律家と名乗る方がまだしっくりきます。
末次
なるほど。今回の対談をお受けいただいたのは、水野さんがサーキュラーエコノミー(以下CE)分野にも興味をお持ちだったからでしょうか?
水野氏
はい、もちろんCEへの興味関心もありますが、それ以上に私は情報分野の「環」にずっと携わってきた感覚があるんです。ただ、これからの社会全体のデザインについては、環境問題やテクノロジー抜きでは語れないと考えています。
末次
アミタも資源循環事業を創業当時から続けているのですが、単なるリサイクルではなく「情報編さん」という捉え方をしています。モノに付随する情報をどう編集して、組み合わせて、新たな価値を産むか。そのプロセスこそがまさにデザインです。私たちの事業は「社会デザイン事業」というのですが「デザイン」という考え方は、社会の真ん中に置くべき大事なことだと思います。
ドナルド・トランプも「リーガルデザイナー」?
末次
先ほど、法律やルールは実は「柔軟性を持った自由なもの」という風におっしゃっていましたね。法のデザインにおいてその柔軟性が発揮されているような事例……。例えば、法律が急速な社会変化のなかでイノベーションを加速する機能を果たした時ってあるんですかね。
水野氏
確実にあると思います。今、思いついた例は2つ。1つは、どうしてシリコンバレーがIT産業の集積地となったのか。要素は複数あると言われていますが、大きな要因の1つとして、社員が競合他社に転職したり、競合する事業を自分で立ち上げたりすることを禁じる「競業避止義務」を設ける契約が、カリフォルニア州法だと原則として無効になるんです。これにより、転職や雇用の流動性が非常に高くなり、業界全体のナレッジシェアが盛んになる。その結果、知の集積地になっていったという研究があって。法律が余白を生み出し、イノベーションやブリコラージュが生まれる1つの事例と言えます。
2つ目もアメリカの例になりますが、著作権法におけるフェアユースという規定。これは報道や研究など公正な利用であれば、著作物を権利者の許諾なく使用できるというもので、法律に予め用意されている余白ともいえます。少し前だとGoogleの検索エンジン、最近だとAIを開発するために必要な大量のデータを学習することの根拠規定にもなっていて、これもイノベーションのエンジンになっています。
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