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オフィスのお引越し(その2) ― 委託先の許可種類にも注意!BUNさんの「元・行政担当者が語る 廃棄物管理のイロハ」

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その1」では、「廃棄物の種類」について、復習しました。次に出てくる課題は、この「廃棄物を誰が処理するか?」という問題です。通常は専門の処理会社へ委託すると思います。

オフィスの引越し時には、産業廃棄物はもちろん、一般廃棄物(事業系一般廃棄物)も大量に出てきますが、産業廃棄物と一般廃棄物では許可が異なります。

産業廃棄物処理業の許可を下すのは都道府県(一部、廃棄物処理法政令市)、一般廃棄物の場合は市町村、となります。

「指定業種」にあった許可を持つ処理会社へ委託

発生した物が一般廃棄物であるにもかかわらず、産業廃棄物処理業者に委託したら、これはもう「無許可業者委託」となり、排出事業者は最高刑で懲役5年、罰金1000万円という廃棄物処理法で規定する最も重い違反を犯すことになってしまいます。当然、産業廃棄物であれば、産業廃棄物処理会社に委託しなければなりません。

さらに、産業廃棄物の処理業許可は、原則的には前回復習した20種類の産業廃棄物の区分ごとに出されていますから、自分が排出する産業廃棄物の種類の許可を有している処理会社を選択する必要があります。 いくら産業廃棄物処理業の許可を持っていても、廃プラスチック類を委託するのに、がれき類の許可しか持っていない業者には委託できない訳ですね。

ここで注意しなければならないのは、「オフィスの引越し時」というのは通常時と違って、通常は排出されない種類の産業廃棄物が、しばしば出てくることがあるという点です。普段から委託している「なじみの処理会社」によく確認せずに委託したところ、その業者の許可品目に無い産業廃棄物が含まれていると、無許可委託になってしまう・・・なんてことにもなりかねません。

委託契約書とマニフェストへの対応

さて、次に出てくる問題が委託契約書です。産業廃棄物の場合、いくら少量でも、一回限りでも事前に委託契約書を締結しておくことが求められていますが、引越し時は、時間も限られている中でやらなければならないので、ついつい後追いになってしまう時もありがちです。

契約書は担当者同士だけで締結できるというものではなく、代表者(社長)または「契約締結権」がある支店長の決裁が必要でしょうから、十分に余裕を持って準備する必要があります。

次に、いよいよ産業廃棄物を排出するにあたってマニフェストが必要ですが、引越し時には雑多な物も排出されるため、それらが搬入される処理施設も廃棄物によって異なってくることが多いようです。

こういった場合は、マニフェストはそれぞれ産業廃棄物の種類毎、委託する処理施設(受け入れる処理会社)ごとに交付しなければなりません。なお、マニフェストの運用については、2010年の廃棄物処理法改正で、2011年3月に改訂されていますので、すでにご存知の方もこの機会に「改訂マニフェストの運用通知」をご覧いただきたいと思います。

ちなみに、一般廃棄物に関しては、産業廃棄物と異なり、廃棄物処理法上は委託契約書やマニフェストについて規定されていません。したがって、「口約束」でも法令違反では無いのですが、万一、これらが不法投棄されたら大変です。

一般廃棄物であっても措置命令等の規定はありますから、これらについても十分に注意すべきです。 契約書は産業廃棄物に準じた形で、マニフェストも産業廃棄物ほど厳密でなくともよいでしょうが、搬入先の確認書等、適正に処理が完結したことを確認できる書類を残されておくことをお薦めします。

次回(第3回)からは、許可が無い先にも委託ができる場合について解説します。

■BUNさんの「元・行政担当者が語る 廃棄物管理のイロハ」

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執筆者プロフィール

長岡 文明 (ながおか ふみあき)
株式会社アミタ持続可能経済研究所 特別顧問

山形県にて廃棄物処理法、廃棄物行政、処理業者への指導に長年携わり、行政内での研修講師も勤める。2009年3月末で山形県を早期退職し、廃棄物処理法の啓蒙活動を行う。廃棄物行政の世界ではBUNさんの愛称で親しまれ、著書多数。 元・文化環境部循環型社会推進課課長補佐(廃棄物対策担当)

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