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NPOと協働でCSVに取り組むメリット -製品・サービスの提供-リレーコラム

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経済が右肩上がりで成長していた時代とは異なり、最近ではいじめ等のように社会的課題も複雑化してきています。企業が社会の発展や社会的課題の解決に尽くすと言っても、そこには戦略性が必要になります。

このような時代に、企業が目指すべき新たな方向を探るうえで注目が集まっているのが、「Creating Shared Value」(以下、CSV)というコンセプトです。CSVは、「社会的課題の解決と企業の利益、競争力向上を両立させ、社会と企業の両方に価値を生み出す取り組み」をコンセプト化したもので、いくつかの特徴があります。

今回は、企業が単独でCSVに取り組むよりも、NPO等との協働でよりスピーディに成果を出せることをご紹介します。

(Photo by buddawiggi.Some rights reserved)

NPOとの協働におけるCSRとCSVの違い

今まで企業が取り組んできたCSRプログラムでNPOとの広い意味での協働は行われてきました。例えば、環境問題や発展途上国の子どもの支援を行なっているNPOに対する寄付やボランティア派遣等が代表的なものでしょう。これらは、もちろん社会的課題の解決や社員のロイヤリティ向上等に寄与する意義のある活動です。

しかしこれらのCSR活動が「自社の利益・競争力向上」にどこまで寄与しているのか、という点については少々疑問もあり、「もったいない」と感じる事例が多いのも事実です。

一方CSVにおけるNPOとの協働は、そのコンセプト通り「社会的課題の解決と企業の利益、競争力向上を両立させ、社会と企業の両方に価値を生み出す」観点で効果的です。

例えば、CSVの代表例である「BOP(Bottom of the Pyramid)」ビジネスにおいても、企業とNGO/NPOとの協働は不可欠です。BOPビジネスとは、発展途上国の数十億人という貧困層を顧客としてビジネスを展開し、彼らの生活を向上させて貧困問題を解消しようとするビジネスです。

BOPビジネスでは、多様な所得層や地域のニーズを把握しながら、普及性のある製品を開発し、できるだけ多くの国・地域でビジネスを展開することが成功の鍵となります。そのため、BOPビジネスで成功を収めている多国籍企業の多くは途上国の現地コミュニティのニーズや人脈に精通している現地のNGO/NPOや国際的に活動しているNGO/NPOと積極的に協働しています。

例えば、P&Gは、水道網の整備されていない途上国で汚水の不純物を取り除く製品を販売しようとしたところ、衛生的な水を飲む習慣のない住民の間では製品がうまく浸透しませんでした。そこで、同社はNGOに製品を販売し、このNGOが現地で安全な水を飲む啓発活動を行いながら製品を配布する手法に切り替えた結果、現在アフリカ、アジア、中米等の計50カ国において製品が使われるようになりました。

これは企業の利益・競争力の向上をもたらすだけでなく、協働するNGO/NPOにとっても自団体のミッションである貧困、衛生、教育等の途上国が抱える社会的課題の解決を企業の力を使うことで効果的に行うことができる協働となります。

まさにステークホルダー(企業、NPO、途上国の人々)の共益(Shared Value)がCSVによって生み出されるわけです。

次回はバリューチェーンの競争力強化と社会への貢献の両立を取り組むにあたっての「NPOとの協働」のメリットをお伝えします。


▼「NPOと協働でCSVに取り組むメリット」連載コラム一覧
第1回:製品・サービスの提供
第2回:バリューチェーンの競争力強化と社会への貢献の両立
第3回:地域クラスター形成とイノベーション創出の仕組みづくり

執筆者プロフィール
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鴨崎 貴泰 (かもざき よしひろ)
公益財団法人信頼資本財団
事務局長

1978年生まれ。千葉大学園芸学部緑地環境学科卒業。グロービス経営大学院卒業(MBA)。環境コンサルティング会社を経て、2009年信頼資本一般財団法人(現:公益財団法人信頼資本財団)に入職し、現在に至る。社会起業家に対する無利子・無担保融資事業や、共感する社会的事業に、多くの方が寄付を通じて参加・参画することができる助成プログラム「共感助成」事業の立ち上げ・運営の統括を行っている。また、社会起業家に対する経営相談会では年間50団体の経営相談に応じている。

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