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コラム

「健康管理」の観点から取り組むFM施策 -心の健康のキーはコミュニケーションー陽平さんと考える、みんなが喜ぶ「オフィスと環境」

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株式会社コスモスモア取締役の小川陽平です。前回は環境を考えた省エネ施策がコストやBCP対策にも好影響となることをテーマとしてお話をさせていただきました。今回はISO26000の7つの中核主題の中で「労働慣行」特に従業員の健康という観点から「オフィス施策」を考えたいと思います。健康には心と体の両面がありますが、今回は「心の健康」をテーマとして取り上げ、具体的な事例もご紹介します。

(Photo by Highways Agency.Some rights reserved)

企業が従業員の健康を守る時代に

企業は従業員の健康を守るために、最低限の執務環境を担保し、健康診断の実施(労働安全衛生法)、分煙環境を作る(健康増進法)等の対応が義務付けられています。しかし基本的には、「自己責任・自己管理」とされ、有事(疾病,けが)の場合に健康保険組合が医療費を補填する、といった考えです。しかしながら今後の潮流は「健康経営」と称され、企業と健康保険組合が一体となって従業員の健康を支え、双方に利益をもたらす方向に変わっていくとされています。

その背景には「企業の医療費負担コストの増大」「ワーク・ライフ・バランスの追及」「健康プログラムへの着目」等が挙げられます。現実問題として、従業員のメンタル不調による生産性の低下と、周囲への影響は企業にとって大きなリスクです。こういった問題は人事部門や健康保険組合のみに委譲することではなく、オフィス施策での対応が必要と考えます。

心の健康のキーはコミュニケーション(株式会社岡村製作所の事例)
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メンタル不調を予防するには、従業員が問題を1人で抱え込む状態をなくし、互いの状況を把握しフォローし合えることが大切です。そのためには、個人の状況がわかるよう「すぐに」「ちょっと」話ができる工夫をすることが有効です。株式会社岡村製作所では日常的なコミュニケーション促進のため、自席近くで打合せが可能な小型テーブルを導入しています。

写真出所:株式会社岡村製作所

【テーブル設置前後の会話回数】

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出典:株式会社岡村製作所 オフィス研究所

【テーブル設置後の意識の変化】

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出典:株式会社岡村製作所 オフィス研究所

執務机に向かって集中している人には話かけにくいですが、小テーブルを置くことで「話してもよい場所」に変わります。導入前後で比較すると、会話量は2倍に増加し、特に15分以内の短い会話が増えています。「会話のしやすさが向上した」と考える人が半数近く、「アイデア・アドバイスが受けやすくなった」と答えた人は6割を超えています。

このような施策はすでにチームアドレスやフリーゾーンを採用している企業では運用チェックのみでよいですが、固定席の企業では、執務机の近くで別の場所に、キャスター付きの小型テーブルと椅子などを配置することをおすすめします。

忘れてはいけない「開放性の高さ」と「健全なヒエラルキー」の両立

昨今のコスト削減の影響、また、ユニバーサルレイアウトの普及などにより、開放性は高くなった一方、ひな段机をなくし、島形レイアウトの中に課長や部長といった上席の方が若手社員と席を並べることが原因で、「いつも自分の仕事ぶりを見られている・・・・」といったメンタル不調の方が増えていると耳にします。

オフィス環境の構築自体はアウトソースできますが、メンタル不調の予防のみならず、健康管理の観点でも、「自社の風土」と「オフィス施策の先進性」とのさじ加減をしっかりと見極め、納得の上、実施されることが重要と考えます。そのためには人事部門との協議や、健康保険組合とのディスカッション、社外の事例等の情報を十分に踏まえ、施策立案されることをおすすめします。

コミュニケーションの強化施策はBCPにも効果的

「すぐに」「ちょっと」の場にインフォメーション&コミュニケーションテクノロジー(ICT)を充実させることで、より業務を効率よく進めることができます。昨今のICTの進化は目ざましく、その導入による在宅勤務を実現されている企業もあります。オフィス外で業務が問題なくできる環境構築は、有事の際のBCP対策にもつながります。

次回のテーマも具体的事例を交えながら、お話しします。ご期待ください。

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執筆者プロフィール
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小川 陽平 (おがわ ようへい)
株式会社コスモスモア
取締役


1986 年同志社大学卒 同年株式会社リクルートコスモス入社(現 株式会社コスモスイニシア)、1992年に株式会社コスモスモアに転籍、その後管理部門の責任者として従事、2007年 株式会社コスモスイニシアのグループ戦略室兼務を機に、環境を軸とした企業活動を開始。 2年間でエコピープル取得率約60%を実現、自社独自の環境報告書(サスモア)の創刊、建設業界初のカーボンオフセットの商品化等を手掛け、社外コンクール等を受賞。2011年4月に発足したCSR推進室 室長を経て、2012年6月に取締役に就任。

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