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コラム

従業員の働く意欲を高めるNPOとのパートナーシップ陽平さんと考える、みんなが喜ぶ「オフィスと環境」

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今回は「従業員の働く意欲を高めるNPOとのパートナーシップ」について、弊社のCSRをサポートするHITOTOWA Inc./NPO法人GoodDay代表の荒昌史さんをお招きして、対談形式でご紹介します。

(Photo by jetalone.Some rights reserved)

なぜ企業とNPOとのパートナーシップが大切なのか?

小川氏:荒さんが企業とNPOのパートナーシップが重要だと思った理由はなんですか?

荒氏:2005年からNPO法人GoodDayで環境活動をしているのですが、当時はまだまだ環境問題に対する意識が低く、啓発イベントを行っていました。その際にもっと人を集めたい、お金が足りないというときにコラボレーションをしてくれる企業が現れました。

小川氏:コラボレーションということは、寄付を受けるだけではなかったのでしょうか?

荒氏:はい。その企業は音楽イベント会社だったので、人集めを一緒に行ってくれましたし、共同開催として従業員の方もよくイベントに参加してくれました。

小川氏:なぜその企業はGoodDayとコラボレーションをしたのでしょうか?

荒氏:1つは、企業の持つ問題意識、つまり環境問題の意識の向上と我々の活動の目的が合致したということです。もう1つは私たちのイベント対象者とその企業の音楽イベントの対象者が同じ層だったことも大きいと思います。

小川氏:つまりは、企業側の解決したい社会課題と、自社の顧客層が合致し、事業的なメリットも期待できたからというわけですね。顧客に限らず、採用する学生の対象に近い等のメリットが期待できることは、CSR活動を推進する上でとても大事ですよね。利益を上げ社員の雇用を持続的に創出するというCSRの基礎部分につながってきますから。

荒氏:おっしゃる通りですね。よくCSRを慈善活動と勘違いされる方がいらっしゃいますが、私も自社の利益と社会課題の解決が密接につながるべきだと考えています。寄付やボランティアといった事業採算性の無いものを軽視する訳ではなく、むしろ寄付やボランティアこそ自社の事業/利益にどうつなげていくのかをよく考えるべきです。

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※コスモスモアではNPO法人GoodDayとともに農業体験活動を推進している。
写真提供:NPO法人GoodDay

従業員の働きがいとCSR部署のあり方

荒氏:御社のケースは面白い事例の一つですね。CSR部署への異動を公募している点と事業採算性のある部署とCSR部署の業務を兼任させている点、いずれも従業員のやりがいを掻き立てているように見えます。

小川氏:CSRの推進は、やる気のある人こそが行うべきなので、「公募」にしています。CSR活動をやりたい、事業を通じて社会課題を解決したいという想いを大切にしたいです。

荒氏:とても大事なことだと思います。私も、CSRの実践は「ISO26000が発行されたから」、「他社もやっているから」といった理由だけで取り組むのは違うと思います。

小川氏:自ら手を上げて新しい役割に採用される機会があることは、すべての従業員にとってもキャリアを考えるきっかけになります。また、「兼任」については、CSRを推進する上で事業との密接なつながりを作りたいので、敢えてそうしています。CSR部署だけがCSRに取り組むということはありえません。また、多くのCSR担当者が他部署との調整に悩んでいます。

荒氏:今では、多くの企業がCSR教育に注力する、社長直轄の部署にする等の工夫を行っていますが、CSR部門とその他の部門の壁そのものをなくせることが理想ですね。

ポイントは事業との関わりをいかに理解してもらえるか

小川氏:一般的にNPOとのパートナーシップは従業員の働き甲斐を高めると聞きますが、実際はどうでしょうか?

荒氏:高めているケースとそうでないケースがあります。その違いは何かというと、社内コミュニケーションです。とにかくCSR活動は単なる慈善活動だと勘違いされることが多いですから、「なんでこんなことしているの?」といった声が出ないように進める必要があります。

小川氏:先ほどから話題に上がっている事業との関わりをいかに理解してもらえるかがポイントですね。

荒氏:その通りです。また、活動の現場をいかに従業員に体感してもらえるかも従業員の働きがいに大きく関連します。社会課題、ステークホルダーといったCSR用語では、やや机上の話に聞こえがちです。実際に、現場で何を解決して誰を助けようとしているのかを見てもらい、理性と感情の両面で捉えてもらうことが大切です。

小川氏:つい先日、もともと建設現場で働いていた方が低所得の方でも安心して入れる住宅がないという理由でホームレス状態になる方が多く、こうした問題に対してホームレスの人や多くの人が安心して住むことが出来る住宅や環境を増やしたいという理由で、弊社が寄付をしているNPO法人ビッグイシュー基金と従業員参加型のチャリティフットサル大会を行いました。

荒氏:実際にホームレス状態にある方々とフットサルをすることで、従業員の方々も感じるものが大きかったでしょう。

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ホームレスサッカー・チャリティフットサル大会の様子
写真提供:HITOTOWA Inc.

小川氏:当社では東日本大震災の被災地にも役員・管理職が率先して行くようにしています。やはり現場を体験してもらうことで、CSRの取り組みも促進されます。

荒氏:私も御社と東北被災地に同行しましたが、御社の社員の方々から「会社が本気でより世のため人のためになろうとしていることがわかった。」、「普段は考えたこともない支援が必要な現場を見てぐっときた。」「現地で意識の高い人に会うことが出来て刺激になった。」という声がありました。

小川氏:そういった声が参加した社員から上がることは嬉しいです。私が目指しているのはNPOとのパートナーシップによって社会事業を推進し、社会課題を解決しながら利益を創出し、雇用を広げていくことです。

荒氏:素晴らしいですね。そのプロセスから従業員は今以上に社会に貢献していることを実感して、高いモチベーションで仕事に取り組むことになるでしょう。

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福島の大学生向けキャリアセミナーを従業員参加型で開催
写真提供:HITOTOWA Inc.

NPOとの関係性を含めた「オフィスと環境」

連載コラム最終回の今回は対談形式で御伝えいたしましたが、いかがでしたか?

コスモスモアでは、「従業員の働く意欲を高めるNPOとのパートナーシップ」にて、従業員同士や、事業を支えるステークホルダーと、日頃からリアルなコミュニケーションをとっています。「自社の事業で何を解決して誰を助けようとしているのか」を考えることは、関係者間の意思疎通や合意形成を図るための訓練になるとともに、働きがいの向上に繋がると考えます。

東日本震災においては、この社会的責任意識の欠如が問題となった事例も数多く見られました。実際のBCP発動時には、この社会的責任意識が組織的コンセンサスのあり方や、意思決定の質に繋がると考えられないでしょうか?

関連情報
対談者プロフィール
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小川 陽平 (おがわ ようへい) 氏
株式会社コスモスモア 取締役

1986 年同志社大学卒 同年株式会社リクルートコスモス入社(現 株式会社コスモスイニシア)、1992年に株式会社コスモスモアに転籍、その後管理部門の責任者として従事、2007年 株式会社コスモスイニシアのグループ戦略室兼務を機に、環境を軸とした企業活動を開始。 2年間でエコピープル取得率約60%を実現、自社独自の環境報告書(サスモア)の創刊、建設業界初のカーボンオフセットの商品化等を手掛け、社外コンクール等を受賞。2011年4月に発足したCSR推進室 室長を経て、2012年6月に取締役に就任。

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荒 昌史 (あら まさふみ) 氏
HITOTOWA Inc. 代表取締役社長

2004年住宅デベロッパー入社。2006年社内新規事業コンペ最優秀賞を受賞し、CSR専門部署を設立。以降、CSR全般、コーポレートブランド、住宅企画を担当。携わった複数の住宅がグッドデザイン賞を受賞。2010年独立、HITOTOWA Inc.設立。CSR/ソーシャルビジネスコンサルティング事業、都市コミュニティサポート事業を展開。NPO法人GoodDay代表理事を兼任。自然体験活動と共助の地縁をつくるプロジェクト「Community Crossing Japan」を推進。

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