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コラム

様々な畜糞処理とズ―コンポストの比較ズ―コンポスト!人口100億人時代に向けた食料供給の鍵

Some_rights_reserved_by_svklimkin_o.jpg今、世界的に昆虫への注目が集まっています。今後の人口増加や食生活の向上により、動物性たんぱく質が足りなくなるので、昆虫を代替たんぱく質として食料や飼料に活用しようというものです。昆虫は、身近にいるものの、なかなか仲良くなれない存在でもあります。循環型の社会の中での、昆虫の利用方法、昆虫の食への転換などについて6回に渡って連載します。今回は、畜糞の処理方法について紹介します。

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堆肥化

連載の第2回でも少しご紹介しましたが、今回は畜糞処理について再び説明します。日本で排出される畜糞は、年間7,900万トンにも及びます。これらは、適切に処理しないと悪臭、水質汚染など環境に悪影響を与えます。

畜糞処理で最も一般的なのは発酵させて堆肥にする方法です。畜糞を数か月から6か月、空気を入れながら発酵させます。発酵時の温度は約70℃にもなります。発酵が十分に進むと(完熟といいます)、臭いも少なくなり、肥料としての成分は安定し、良好になります。このような堆肥化に、特別な機械は不要ですが、発酵させるための広い場所が必要です。大規模な養鶏場では250万羽を飼っていて、毎日250tの鶏糞が排出されるところもあります。それを堆肥化するのに4か月かかるとすると、単純計算で3万トン分の発酵槽が必要になるのです。発酵を促進させるための堆肥の切り返しのタイミングや方法は製造者に委ねられています。堆肥化の場合、田畑に育つ植物から飼料がつくられ、家畜がそれを食べ、その糞が有機肥料として田畑に戻ります。

焼却|燃料化と炭化

畜糞を焼却する方法もあります。畜糞は炭素や水素を含む有機物ですから、それ自身が燃料となって燃えます。インドの田舎では牛の糞を乾燥させて燃料にしています。とはいえ、ガスのように勢いよく燃えるわけではなく、水分が多く含まれていたりすると自燃しません。そのため、畜糞に重油を混ぜて焼却しているところもあります。また、適切な方法で償却しないとダイオキシンが発生するという難しさもあります。焼却後は、畜糞の大部分は二酸化炭素として大気に放出されます。残った灰はミネラル分を多く含むので、肥料の原料として利用されています。

よく似た方法に炭化させる方法もあります。これも外部から熱を加える必要があるので、二酸化炭素を多く排出します。

ズーコンポストでは、約7日間で畜糞を処理することができ、肥料と飼料に変換されます。堆肥化と比べて圧倒的に処理時間が短く、また、焼却や炭化のように燃焼による二酸化炭素の放出がありません。ズーコンポストは畜糞から肥料と飼料を製造するための資源化に重きを置いた手法であり、一般的な「処理方法」と考え方が違うのです。

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その他の有機系廃棄物の活用方法

世の中には有機廃棄物がたくさん排出されています。先ほど述べた畜糞や、下水汚泥、食品廃棄物、農作物残渣、古紙、木くず、端材などです。先に述べた堆肥化以外にも、こうした廃棄物の活用方法はいくつかあります。

  1. 食品残渣、食品廃棄物の飼料化... エコフィードとも呼ばれ普及してきています。食品を作った後の搾り粕、パンや麺の屑、弁当や総菜の売れ残りは、粉砕したり、乾燥させたりすることにより、家畜(主に豚)の飼料になります。

  2. エネルギー活用...廃棄物を焼却して発電したり、その排熱を熱源供給したりするものです。バイオマス発電は国による固定価格買取制度(FIT)も制定されています。

  3. 燃料変換...有機廃棄物からメタンガスを抽出する方法や、バイオエタノール、バイオディーゼルなどを生成する方法です。木質ペレットなどもここに分類されるでしょう。これらは、扱いやすい形態の燃料として重宝されますが、最終的には燃焼されてエネルギーとして活用されます。

  4. プラスチックや化成品の原料化... 農産物の残渣などを原料に、それを化学的あるいは生物学的に分解・合成してプラスチックにします。これは、石油を使わないカーボンニュートラルな製造方法ですが、製造コストが高いため、日本で年間使用されるプラスチック1,100万トンのうち、まだ4万トンに止まっています。

このように見ていくと、有機廃棄物は最終的には燃やされて、あるいは、飼料を食べた家畜の呼吸により二酸化炭素として大気に放出されます。一度大気に放出された二酸化炭素は、植物などの光合成によってしか回収することができません。二酸化炭素は今後パリ協定の影響などから排出抑制が進むと考えられます。そのため、極力二酸化炭素を放出しない手法をとるか、燃焼する前に有機廃棄物を最大限有効に活用することが大事です。

炭素循環(※)という面以外にも、経済的な側面も考慮しないとなりません。畜糞や有機廃棄物は価値が低くかさばるので、収集、運搬コストが相対的に高くなります。そのため、その地域内で処理する必要がでてきます。遠方に効率的な畜糞処理施設があるからといって、畜糞をそこまで運ぶわけにはいかないのです。ズーコンポストは、小規模でも適用でき、養豚場ごと、養鶏場単位で設置できます。

地域内で発生する有機廃棄物を、できるだけ有効に活用するシステムは、バイオマス産業都市構想として政府も推進しています。有機廃棄物処理だけでなく、農林水産業の活性化、新たな産業の創出など、有機的な連携による環境負荷の少ない持続的な社会を目指しています。ズーコンポストは、この構想に組み込むべき技術として最適な技術の一つであると思います。

※炭素循環...地球上における炭素の循環のこと。大気中の二酸化炭素が植物の光合成によって炭水化物になり、食物連鎖や腐敗を経て、ふたたび大気に還元するまでの過程を指す。(出典:小学館デジタル大辞泉)

関連情報

tss.pngアミタグループは、地域の持続性を高める統合支援サービス「BIOシステム」を提供しています。地域の未利用資源を活用したコンパクトな自立型の地域づくりを、ビジョン策定からインフラの設計・運営、産業・雇用創出支援まで、トータルで支援します。

執筆者プロフィール

180314_profile.jpg山口 弘一氏 
株式会社BBBジャパン 代表取締役
農業ストラテジスト

1938年東京生まれ。沖縄海洋博覧会やつくば科学万博などの大型博覧会をプロデュース。2004年NPOローハスクラブ設立、代表理事。2008年から株式会社BBBに参画。ハエ事業である「ズーコンポスト」の開発に関わり、農水省の農商工等連携事業の認定を受けて3年間事業を推進。2009年に株式会社BBBジャパンとしてズーコンポストを本格的に事業化。専門は農業全般や環境技術、バイオマス。

木下 けいすけ氏 
工学系の大学院を修了。情報システム開発の仕事をした後、東南アジア(主にラオス)で農業や林業、バイオ燃料の仕事に従事。2014年からズーコンポストの自動化技術の開発に関わる。世界には動物性たんぱく質に手の届かない人たちも多く、昆虫を使って良質のたんぱく質を効率的に生産できないかと考えている。

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