廃プラスチック類に対する日本国内の3つの対策とは? | 企業の環境・CSR・サステナビリティ戦略に役立つ情報が満載!

環境戦略・お役立ちサイト おしえて!アミタさん
「おしえて!アミタさん」は、企業のCSR・環境戦略をご支援する情報ポータルサイトです。
CSR・環境戦略の情報を情報をお届け!
  • トップページ
  • CSR・環境戦略 Q&A
  • セミナー
  • コラム
  • 担当者の声

コラム

廃プラスチック類に対する日本国内の3つの対策とは?BUNさんの「元・行政担当者が語る 廃棄物管理のイロハ」

Image_by_RitaE_from_Pixabay.jpg廃プラスチック類の処理の課題について、日本国内でどのような対策が立てられているのか?2019年9月4日に発表された廃棄物処理法省令の改正(優良認定業者の処分のための廃プラスチック類、保管料の上限引き上げ)等、BUNさんがご紹介します。

本コラムの一覧はこちら

Image by RitaE from Pixabay.

環境省による主な対策
  1. 一般廃棄物処理施設での受け入れ(2019年5月20日通知)
  2. 廃プラスチック類処理施設設置にかかる補助制度の拡大(2019年5月20日通知)
  3. 優良認定業者の処分のための廃プラスチック類保管量の引き上げ(2019年9月4日改正/即日施行)

以上となります。しかし、実行は容易いことではないと、私は考えています。

1.一般廃棄物処理施設での受け入れ

環境省は5月20日付け通知で、市町村設置の一般廃棄物処理施設での受け入れを要請しました。しかし、私は個人的見解として、受け入れが難しいのではないかと心配しています。理由としては、おおまかに「a.受け入れできるだけの余力が十分ではないこと」と「b.手続きにあたり条例改正が必要となること」の2点があげられます。

a.受け入れできるだけの余力が十分ではないこと

一般廃棄物焼却炉は設置時に、焼却炉の耐用年数(概ね20~30年程度)を見込んで、処理能力を決定します。例えば、以下の傾向があります。

市町村 導入する設備の大きさ 計画外の廃棄物を受け入れることができるか?
人口が増加傾向にある市町村 処理能力の大きなもの 増加すると見込んだ人口と実際に増加した人口の差が受け入れできる余力になる。
人口が減少傾向にある市町村 処理能力が小さなもの 減少すると見込んだ人口と実際に減少した人口の差が受け入れできる余力になる。

では、「市町村ではこの「余力」を産業廃棄物の廃プラスチック類にあてることができるか?」ですが、私は充てたとしても、その数、量はいささかなものとなるのではないかと感じています。下記のような事情があると推測できます。

市町村 受け入れが難しい理由
人口が増加傾向にある市町村
  • 人口増加に備える必要があり、決断できない。
  • 数基の焼却炉を運営し、ローテーションして、修理やメンテナンスをしているため、フル稼働しておらず余力がない。
人口が減少傾向にある市町村
  • 推計したほど、ごみの排出量は減っていない。
  • 焼却炉が老朽化して能力が落ちている。
  • 高発熱量に対応できない。

b.手続きにあたり条例改正が必要となること

市町村が産業廃棄物を受け入れると言うことは、当然、処理料金を徴収することになるのですが、自治体が「収入」を得るためには必ず「条例」が必要となります。多くの市町村では今までは産業廃棄物は受け入れてこなかったことから、この「手数料条例」を改訂しなければならなくなると考えられます。そして、条例の改正には地方議会の承認が必要であり、議会の議員は住民の代表です。もし反対などがあれば、受け入れが難しくなります。

また、各々の市町村にて、他の市区町村の廃棄物を受け入れることには抵抗があるのではないかと考えられます。結局、受け入れるとしても地場産業からの廃プラスチック類に限定されるのではないでしょうか。市町村による産業廃棄物の廃プラスチック類の受け入れは、あったとしても極めて限定的なものになるのではないかと予想しています。

2.廃プラスチック類の処理施設設置にかかる補助制度

環境省は、受け皿となる廃プラスチック類処理施設設置にかかる補助制度を拡大、充実させています。しかしながら、産業廃棄物の処理施設は最終処分場、焼却施設はもちろんのことながら、破砕施設程度であっても設置には時間がかかってしまいます。最大の難関は地元住民の理解ですが、これがスムーズに進んだとしても環境影響調査が必要です。

最終処分場、焼却炉等のすべての環境影響調査が伴うともなれば、最短でも3年はかかると推測します。もちろん、長中期視野に立った安定処理のためには必要な施策であるので、これはこれで進めていきたいですが、即効薬とはいかないと思います。

3.優良認定業者の処分のための廃プラスチック類、保管量の引き上げ

環境省は廃棄物処理法の省令を改正しました。内容は難しいですが、簡単に解説すれば、優良認定業者の処分のための廃プラスチック類保管量を倍にできるようにしました。(2019年9月4日改正、即日施行)

【関連情報】環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令について
具体的には、例えば下記の例が挙げられます。

▼廃プラスチック類の焼却炉で一日の処理能力が100tの場合

保管量上限
改正前 14日分の1,400tまで
改正後(2019年9月4日移行) 28日分の2,800tまで

しかし、これも保管するためには当然「保管庫」「保管スペース」が必要となり、変更届出の対象であることから、直ちに拡大出来る業者は限られると考えられます。加えて、都市部の処理業者が占有しているスペースは限られており、いくら優良認定を取得していてもすぐに保管量を倍増することは困難と推測できます。

入口だけでなく、出口の対策が必要

何といっても、今回のこの廃プラスチック類に関する課題の根本原因は「入口」の話ではなく、中国による廃プラスチック類の輸入規制等により「出口」の「需要がない」ことです。(いくら廃プラスチック類に手を加えて、品質を高めて有価物にしても、そのアウトプットの需要がなくなってしまったことが原因。)従って、いくら処理施設の入口の保管量を倍にしたところで、それは「2週間だけ先延ばし」にできるということにしか過ぎないと考えられます。一企業で何とかできる課題ではないかと思いますが、排出量の削減などの方向に努力していく必要があると思います。

保管量の上限、引き上げについて

ただし、私は3番目にご紹介した「優良認定業者の保管量を増加させる」という施策には大賛成です。これらは、そもそも、保管量制限は「大量保管して、結局処理ができずに夜逃げして、不法投棄となってしまった」という過去の不適正処理事案が多発したことで制度化されたものです。しかし、優良認定業者の場合、違法行為は行わず、かつ、経営状態も良好であるからこそ優良認定を取れている訳なので、大量に保管したとしても不適正事案に結びつくリスクは少ないということになります。

リサイクル事業は季節変動があるものが結構あります。たとえば、建設資材はどうしても年度末に需要が多くなりますし、動植物性残渣を原料とする堆肥などは晩秋と早春に需要が偏ります。(雪国で暮らしていると実感しますが、積雪時に施肥は難しいです...。)

このように、リサイクル事業においては、季節的な「流量調整、需給調整」が求められますので、悪臭や飛散等の生活環境保全上の支障が発生しない状況での保管量の増加(規制の緩和)は、今後とも検討してよい施策だと思っています。

執筆者プロフィール(執筆時点)

長岡 文明 (ながおか ふみあき)
アミタ株式会社 特別顧問

山形県にて廃棄物処理法、廃棄物行政、処理業者への指導に長年携わり、行政内での研修講師も務める。2009年3月末で山形県を早期退職し、廃棄物処理法の啓蒙活動を行う。廃棄物行政の世界ではBUNさんの愛称で親しまれ、著書多数。元・文化環境部循環型社会推進課課長補佐(廃棄物対策担当)。

BUNさんの「元・行政担当者が語る 廃棄物管理のイロハ」 の記事をすべて見る

無料メールマガジン登録はこちら

ご依頼・ご相談はこちら

このページの上部へ