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第5回「今、SDGsとどう向き合うのか?」足立直樹のサステナブル経営の勧め

sdg_logo_ja_240.pngパリ協定、RE100、TCFD、SDGs、ESG、海洋プラスチック...海外発のトピックスや課題が次々に登場していく中、環境部やCSR部をはじめとしたサステナビリティ推進担当はどのように取り組みを考えていくべきか。本コラムでは、数多くの先進企業へコンサルティングを提供されている株式会社レスポンスアビリティ代表取締役の足立直樹氏に、「サステナブル経営」実現に向けたポイントを解説いただきます。第5回の今回は、「SDGs」について、お届けします。

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SDGsは企業がすべきこと?

こんにちは、レスポンスアビリティの足立です。今回は最終回となりますので、今はやりの(笑)SDGs(持続可能な開発目標)にどう取り組むか、どう活かすかについてお話しをしたいと思います。2030年に世界で達成すべき目標として掲げられたSDGsは、今やブームといってもいいほどの盛り上がりを見せ、スーツの衿にSDGsのバッチをつけた方を街中で見かけることも少なくありません。
しかしそうした中、こんな質問もよく聞かれます。企業はSDGsをどう使えば良いのか?、なぜ使うべきなのか?、SDGsは事業に役に立つのか?、どんな効果があるのか?、SDGsを経営と統合するにはどうしたらいいのか?...
実際のところ、SDGsにかなり取り組んでいますという企業であっても、自分たちの事業と関係がある課題について何か少し良いことをしてみました、というようなレベル、つまり社会貢献の延長に過ぎない場合もよくありますし、もっと極端な場合には、これまで行なってきた社会貢献やCSRの活動をSDGsの緒課題と紐付けて、私たちはこんなにSDGsのための活動していますと主張している場合もあるようです。
しかし、もちろんSDGsが企業に求めている貢献はそんなレベルではありませんし、企業にとってもSDGsにはもっと大きな力があり、だからこそ真剣に取り組む必要があるのです。

SDGsの意味とは?

2016年にSDGsが始まり、そして企業もSDGsへの参画が求められるようになることで、下記の良い作用があったと私は考えています。

  • 世の中の重要課題が明らかとなった点
    私がもっとも大きな効果だったと思うのは、いま世の中にどのような重要課題があるのか、私たちはどういう状況を変えていく必要があるか、それを理解しやすくなったことです。これまでは環境や社会の課題についてあまり深く考えることはなかった企業人にとっても、17に整理されて示されたことで、何が大きな課題であるかがわかり、非常に大きな効果があったと思うのです。
  • 社会課題に対する問題意識や当事者意識が生まれた点
    もう一つはこうした重要課題について、企業も積極的な参加と貢献を求められたことにより、これらの課題に対する問題意識、さらには当事者意識が生まれたことです。これまではともすれば、企業は世の中に役に立つ商品やサービスを提供すれば良い、そして得られた利益から税金を払えば、あとは行政が社会課題を解決してくれる、そう考える方も多かったかもしれません。しかし、もはやそういうのどかな状況ではなくなったのです。

単に利便性や快適性を提供するだけでなく、より深刻な課題を解決するところでも企業の役割が求められているのだということに気づき、さらには実際そうした貢献を自分たちができるのだと気付いた企業人も多いでしょう。そして、そうしないことには企業価値も上がりにくくなったことを実感し、企業は社会に対する責任をより強く認識するようになりました。この点についても、SDGsは企業(人)の意識変革に大きな効果があったと言えるでしょう。

なぜSDGsが必要になったのか?

そもそもSDGsという世界共通のゴールが設定され、そこに企業を含めた幅広いステークホルダーの参画が求められた背景はと言えば、それだけ地球環境も現代社会も多くの深刻な課題に直面しており、もはや政治や行政だけではそうした問題が解決できなくなっているという現実があるのです。例えば、最近の話題では下記が挙げられます。

2019年9月の国連気候変動サミットにて、65カ国が温室効果ガスの排出量を、2050年に実質ゼロにすることを表明。

各ステークホルダーは、その深刻性、緊急性に鑑み、旧来の組織の役割を超えて、そしてセクターの垣根を乗り越えて、役割分担が必要になっています。こうしたことを考えれば、企業はこれまで通りのビジネスを行い、そこであげた収益を使って社会貢献として課題解決に若干の貢献をするという程度では、問題の解決にはとても追いつかないのは明らかです。これまでやってきたスケール的にも小さな社会貢献をSDGsの目標にマッピングし直したり、自分たちがやりやすいものだけに取り組む、いわゆるチェリーピッキング(cherry-picking)をしていたのでは、SDGsと言う地球全体の大きな課題の解決や、目標達成には不十分なのです。またその程度の取り組みしかせずに「貢献しています」と主張する企業は、むしろそのことで企業評価を下げてしまうことになりかねません。したがってSDGsは何でも取り組めばいいということではなく、本気で、本質的な取り組みをすることが必要なのです。

ビジネスチャンスとしてのSDGs

では逆に、社会の課題解決に企業がそこまで本気を出して取り組む必要があるのか、それは企業の本分を超えているのではないかという疑問の声もあるかもしれません。しかしそもそも企業活動とは、世の中に不足しているモノやサービスを提供することで対価を得ているのではないでしょうか?あるいは、そうした課題解決をより効率的に行うことで、競争優位になり、高い収益を上げて来たのではないでしょうか?そういう意味からすれば、SDGsに取り組んで問題解決をすることは、企業にとってなんら特別なことではないはずです。むしろ、SDGsで示された課題を解決することは、新たなビジネスになる可能性を秘めているのです。
例えば、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)などは、SDGsは新たなマーケットだと公言しています。その試算によれば、SDGsのいくつかの課題に真剣に取り組むことによって、毎年12兆ドル(2019年12月時点のレートで約1,300兆円)もの価値が生み出されるとしているぐらいです。そう考えれば、SDGsを単なる社会貢献のテーマと考えるのは企業にとってはもったいない話で、むしろ真剣に取り組まない手はないのです。

ビジネスチャンスを掴むために必要なこと

一方で気をつけなくてはいけないことは、SDGsの課題はいずれも大変チャレンジングなものであり、これらを本質的に解決するには、これまでのやり方では難しいということです。例えば、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の前文にも下記のように記載されています。

我々は、世界を持続的かつ強靱(レジリエント)な道筋に移行させるために緊急に必要な、大胆かつ変革的な手段をとることに決意している。我々 はこの共同の旅路に乗り出すにあたり、誰一人取り残さないことを誓う。

出典:外務省Webサイト「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ

今までの取り組み方を改善したり、加速するだけでは不十分であり、トランスフォーメーション、つまり変革や変質を起こさなくてはいけないのです。ちなみに、このトランスフォーメーション(transformation)やトランスフォーマティブ(transformative)という言葉は、いま世界的にかなりのキーワードになっています。
私はこのことも、企業に対する非常に大きな示唆であると思います。それは、例えば気候危機の緩和やプラスチック問題を考えれば明らかでしょう。具体的には下記となります。

分野 既存の取り組み これからの取り組み
気候変動
  • 発電効率を向上させる
  • 省エネを推進する
  • 再生可能エネルギーに切り替える
  • 製造プロセスや物流プロセスからの見直しを実施する
プラスチック
  • プラスチックの使用量を減らす
  • 代替プラスチックに変更する
  • プラスチックをまったく利用せず、他の素材に変更する
  • シングルユースの包装材を利用しないビジネスモデルを展開する
  • 使用した物質を完全に循環させるモデルを展開する

もちろん、既存の取り組みがすべてダメで、それはもう行わないということではありません。これらへの取り組みも重要で、実施されるべきものです。その上で、これまでとは全く異なるアプローチが必要とされているのです。

サステナブルな経営へのガイドとしてのSDGs

このようにSDGsに単なる社会貢献としてではなく本業を通じて取り組む、課題解決に真剣に取り組む、そのために既存ビジネスのやり方とは違うアプローチで考える、そうすることによって自然と、大きな市場の開拓、そして社会課題に対する実質的な貢献を同時に達成することができるのです。もちろんその中で様々なイノベーションも生まれることでしょう。そのためには当然、SDGsをCSR部やサステナビリティ担当部門だけの課題と考えていたのでは無理があります。そうではなく、SDGsはトップの問題意識とイニシアティブのもと、全社的な取り組みとして行う必要があります。
正直に言えば、今の日本では、SDGsに取り組まないからといって企業価値が大きく下がることはありません(ただし、前述したように、安易な取り組み方をすると、評価を下げる可能性はあります)。しかし、SDGsにしっかり取り組むことで、自社のサステナビリティを高めることは可能です。いや、確実に高まるのです。
そう考えると、SDGsは自社のサステナビリティを高めるための非常に良いガイドラインと言うこともできます。社会に対する貢献以上に、自分たちの組織を持続可能にするためにSDGsに取り組むというやり方もあるでしょう。そして、社会と自社の持続可能性を同時に高めることをめざす経営こそが、サステナブル経営と言っていいでしょう。
ブームだからではなく、新しい時代への指標として、SDGsを活用し、またしっかり貢献する会社であって欲しいと思います。

※サステナブル経営を進めるため、今知っておくべき世界の動向や考え方は?これからもサステナビリティ経営について深く、そして継続的に知りたい方は、私どもが発行する無料メールマガジン「サステナブル経営通信」をぜひお読みください。
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執筆者プロフィール(執筆時点)

mr_adachi_image.png足立 直樹 (あだち なおき)氏
株式会社レスポンスアビリティ代表取締役
サステナブル・ビジネス・プロデューサー

博士(理学)。国立環境研究所、マレーシア森林研究所を経て、現職。一般社団法人企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)理事・事務局長等を兼務。
社会を持続可能にすることに資する事業を通じたブランディング構築、企業による生物多様性の保全、自然資本を活用した地方創生等を専門とする。著作に『生物多様性経営 持続可能な資源戦略』(日本経済新聞出版社)他多数。

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