新型コロナウイルス感染症に係る感染性廃棄物、処理の注意点は? | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載

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コラム

新型コロナウイルス感染症に係る感染性廃棄物、処理の注意点は?BUNさんの「元・行政担当者が語る 廃棄物管理のイロハ」

Photo_by_Mika_Baumeister_on_Unsplash.jpg2020年(令和2年)5月1日、環境省より、新型コロナウイルス感染症に係る廃棄物処理に関する施行通知※が出されています。今回は中でも特に取り扱いが難しいと懸念される感染性廃棄物について、BUNさんにお尋ねしました。

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Photo by Mika Baumeister on Unsplash

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行及び 新型コロナウイルス感染症に係る廃棄物の円滑な処理等について(通知)

目次

まずはおさらい!感染性廃棄物特有の制度の難解さ

BUN:まずは、具体的な「廃棄物」の話から。石田さんは、今回の新型コロナウイルス感染症関連の廃棄物は廃棄物処理法上の分類からいくと何に該当すると思いますか?さらに言えば、どのような許可を持っている人物なら扱えると思いますか?

アミタ石田:それは、感染性廃棄物なんじゃないですか?とてもリスクの高い廃棄物みたいですから。

BUN:一般廃棄物?産業廃棄物?

アミタ石田:あ、そうかぁ。廃棄物処理法上、廃棄物は一般廃棄物か産業廃棄物かどちらかですね...。感染性廃棄物も一般廃棄物か産業廃棄物に分類されるわけですね。

BUN:これは廃棄物処理法の中でも、基礎知識なので、私が執筆した参考書「土日で入門」にも書いてあることですが復習しましょう。

アミタ石田:排出事業者の業種によっても異なってきますね。

▼感染性廃棄物の種類について

廃棄物の例 解説
注射針やメスなど 金属くず、廃プラスチック類、ガラス陶磁器くずに該当するため、排出事業者の業種に関係なく事業活動を伴えば産業廃棄物。
ガーゼや包帯 繊維くずのため、排出事業者の業種が関係する。
繊維くずの業種限定は、繊維製造業や建設業であり、病院は業種限定にないことから、病院からこれらが排出される場合は、一般廃棄物。

BUN:さらに「血液」は古い疑義応答があり、液状なら「廃アルカリ」、でい状なら「汚泥」という解釈、運用がなされている。だから、血液が付着した注射器ならば、これは感染性産業廃棄物となる。

アミタ石田:血液が付着したガーゼの場合だと「血液は産業廃棄物」「ガーゼは一般廃棄物」なので、感染性産業廃棄物と感染性一般廃棄物の混合物となっちゃうってことですね。でも、血液とガーゼを分別して排出するって不可能ですよね。

BUN:そこで、感染性廃棄物については許可制度に特別ルールを作っている。これが法律第14条の4第17項を受けた省令第10条の20第2項の規定なんですよ。

▼省令 第10条の20第2項

(特別管理一般廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を業として行うことができる場合)
第十条の二十 法第十四条の四第十七項の環境省令で定める者は、次のとおりとする。
2 特別管理産業廃棄物収集運搬業者、特別管理産業廃棄物処分業者及び前項に掲げる者のうち、感染性産業廃棄物の収集又は運搬を行う者は感染性一般廃棄物の収集又は運搬を、感染性産業廃棄物の処分を行う者は感染性一般廃棄物の処分を、(中略)、それぞれ行うことができる。

アミタ石田:あ、本当ですね。「感染性産業廃棄物処理業許可業者は感染性一般廃棄物の処理を行える」って規定しています。

BUN:この条項を根拠にして、感染性一般廃棄物と感染性産業廃棄物の混合物は、感染性産業廃棄物処理業の許可業者が扱っている現状です。ちなみに、石田さんは、感染性一般廃棄物、感染性産業廃棄物はどこから出てくるか知っていますか?

アミタ石田:これは勉強しました。感染性廃棄物は排出する施設が限定されているんですよね。たしか、政令と省令で定められています。病院とか診療所とか。

BUN:その通りです。現在は、政省令で病院他10施設に限定されています。だから、家庭や普通の事務所から血の付いた包帯が排出されるとしても、それは「普通の」廃棄物となり感染性廃棄物にはなりません。

ホテル等、軽症者等の宿泊療養施設等から排出される廃棄物の取扱いについて

BUN:ところが、今回の新型コロナウイルス感染症関連では軽症の感染者をホテルや自宅で経過観察、事実上の隔離をしていますね。こういうところから出てくる感染者が使用したマスクは何に該当しますか?

アミタ石田:そうかぁ。いくら感染者が身につけていたとしても、それは感染性廃棄物にはならない「普通の」一般廃棄物ってことになるわけですね。

BUN:そうなんです。このことは今回の施行通知の中でも明記しています。

▼令和2年5月1日通知より、一部抜粋(以下同じ)

(3)軽症者等の宿泊療養施設等から排出される廃棄物の取扱い
...軽症者等の宿泊療養施設等から排出される廃棄物は感染性廃棄物には該当せず、特別管理廃棄物処理業者に処理を委託するよう義務付けられていない...

アミタ石田:そうかぁ。では、そういった廃棄物は普通のごみとして排出するということなんですか?取り扱いとしてはそれでは不安です。

BUN:いやいや、そうじゃないんだ。この続きには次のように書いてある。

(3)軽症者等の宿泊療養施設等から排出される廃棄物の取扱い
...義務付けられていないが、排出事業者及び処理業者において感染防止対策が適切に講じられる必要がある。具体的には、4.7 通知及びQ&A に示したように、排出事業者においては、ごみに直接触れないこと、ごみ袋をしっかり縛って密閉をすること、ごみに触れた後は手洗い等をすることなど、また、処理業者においては、個人防護具を適切に使用すること、作業終了後に手洗い及び手指消毒等を実施すること、運搬車両や施設等の定期的な清掃及び消毒などの感染防止策をガイドラインに沿って実施することにより、廃棄物処理に由来した感染を防ぐことが可能であり、排出事業者及び処理業者に対してその旨の周知及び指導を徹底されたい。

アミタ石田:やっぱり、対策が必要なんですね。うーん。それって、結局、感染性廃棄物として特別管理産業廃棄物処理業の許可業者に委託する必要があるということですか?

BUN:さらに続きを読んでみて。

...宿泊療養施設等から排出される廃棄物は、上述のとおり法的には感染性廃棄物に該当せず、感染性廃棄物処理業者において処理する必要はないものであり、当該廃棄物を実作業において感染性廃棄物に準じて処理することで、当該廃棄物や感染性廃棄物の処理が感染性廃棄物処理施設に集中し、これらの処理が停滞することにより、かえって公衆衛生上のリスクが高まるおそれがあることから、廃棄物処理体制の安定的な継続・維持に十分配慮し、合理的な取扱いをするよう、改めて周知徹底されたい。

アミタ石田:なるほど、こうしたリスクもあるんですね。上記のように、医療機関から出ていない場合は、感染性廃棄物処理業者に委託する必要は無いということなんですね。

BUN:そうなんだ。さらに通知では下記のように書かれている。医療関係機関から排出されるものか、そうでないかを意識して行動する必要があるね。

新型コロナウイルスは一般的には、飛沫感染、接触感染で感染するとされている。そのため、医療関係機関等から排出される感染性廃棄物については、マニュアルに基づいて適切に扱うことで、また、医療関係機関等以外から排出される、感染性廃棄物に該当しない新型コロナウイルス感染症に係る廃棄物については、ガイドラインに準拠して必要な感染防止策を適切に実施することで、いずれの処理においてもウイルスとの接触を防ぐことができ、廃棄物処理に由来した感染を防ぐことが可能である。

【関連情報】環境省「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル
【関連情報】環境省「廃棄物処理における新型インフルエンザ対策ガイドライン

医療関係機関等から排出される感染性廃棄物に関する適切な取扱いについて

アミタ石田:今回の通知で、医療関係機関からでる感染性廃棄物については、注意点はありますか?

BUN:そうだね。今回の通知では保管の注意などが記載されているね。

(2)医療関係機関等から排出される感染性廃棄物に関する適切な取扱い

感染性廃棄物の処理に当たっては、3.4 通知及び Q&A に示したように、感染性廃棄物以外の廃棄物が混入するおそれがないように保管すること、腐敗のおそれのある廃棄物は腐敗しないようにすること、排出の際に廃棄物の種類や性状に応じた容器を選ぶこと、容器に入れて密閉し感染性廃棄物である旨を表示することなど、マニュアルに従い適切に処理する必要があり、排出事業者に対してその旨の周知及び指導を徹底されたい。

BUN:また、こんな一文もある。医療現場の負担を軽減しようという意図が感じられますね。

...、感染性廃棄物を遅滞なく適正に処理するため、また、感染症に対する医療等を遅滞なく継続するため、これらの継続的な業務の妨げにならないよう、正当な理由なく、新型コロナウイルス感染症に係る感染性廃棄物について、その他の感染症に係る感染性廃棄物との分別や特別な表示を求めることは慎む必要があり、廃棄物処理業者に対してその旨の周知及び指導を徹底されたい。

アミタ石田:分別はするに越したことはないとは思いますが、現実的に難しいということでしょうか。

BUN:今回の通知から読み取れることは、すなわち「ちゃんと、怖れよ」ですね。でも、さじ加減が難しいことが通知からも伺えます。これが、今回の施行通知が長くなってしまった理由の一つだと感じているんです。感染性廃棄物ではないけれども、感染性廃棄物レベルで取り扱い、しかも社会全体の処理状況も勘案して「適正」に取り扱ってねってことなんですね。

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講師プロフィール(執筆時点)

長岡 文明 (ながおか ふみあき)
アミタ株式会社 特別顧問

山形県にて廃棄物処理法、廃棄物行政、処理業者への指導に長年携わり、行政内での研修講師も務める。2009年3月末で山形県を早期退職し、廃棄物処理法の啓蒙活動を行う。廃棄物行政の世界ではBUNさんの愛称で親しまれ、著書多数。元・文化環境部循環型社会推進課課長補佐(廃棄物対策担当)。

聞き手プロフィール(執筆時点)

amita_ishida77.png石田 みずき(いしだ みずき)
アミタ株式会社

サステナビリティ・デザイングループ マーケティングチーム

滋賀県立大学環境科学部を卒業後、アミタに入社。メールマガジンの発信、ウェブサイトの運営など、お役立ち情報の発信を担当。おしえて!アミタさんへの情熱は人一倍熱い。

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