コラム
インドネシア政府の廃棄物管理規制の取り組み循環への航海 ~インドネシア廃棄物管理の現状と未来~
本コラムでは、インドネシアの廃棄物管理現状、規制強化、気候対策、課題、そして日本の支援可能性を5回にわたり多角的に解説しています。本記事ではインドネシア政府の廃棄物管理規制の取り組みと、規則の重要性にいて解説します。
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法規制の背景-インドネシアの廃棄物の急増問題-
インドネシアでは急速な都市化が進む中で、ゴミの量が著しく増加しており、この廃棄物の急増と埋立地の不足は大きな課題となっています。大きな問題の1つとして廃棄物が分別されず、多くのゴミが埋め立てられているのが現状です。
これらの問題に対処し、廃棄物をより効果的に管理するために、環境林業省をはじめとする団体が政策や規制を規定しており、本記事ではインドネシアの廃棄物管理に関するいくつかの規制についてご紹介します。
インドネシア政府の廃棄物管理政策を詳しく見ていく前に、理解を深めるために役立つ重要な用語をいくつかご紹介します。
本記事で使用する用語
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インドネシアにおける廃棄物管理の現在の政策と規制
近年、インドネシア政府は廃棄物管理への取り組みを強化しており、さまざまな政策やプロジェクトの実施を通じてそのコミットメントを示しています。インドネシア政府は国法から地方条例まで、多くの規制を制定しています。重要な規制をいくつか見てみましょう。
1. 国家法第18号/2008 - 廃棄物管理
この法律は、都市ごみに関して規定された法規則です。本法律は廃棄物の管理による公共の健康と環境の質の向上に加え、廃棄物をエネルギー資源として活用することも目的とされています。
家庭廃棄物および家庭と類似した場所から排出される廃棄物に関して、廃棄物の削減と管理を定めた内容となっています【1】。
2. 政府規制第81号/2012 - 家庭廃棄物および家庭類似廃棄物の管理
この規制は、国内廃棄物の管理、特に家庭廃棄物と家庭廃棄物に類似した廃棄物の管理に焦点を当てており、廃棄物を資源とすることを目的としています。
製造者に対して、廃棄物の制限やリサイクル、リユースを規定しており、廃棄物の処理に関する活動(分類、回収、輸送、処理、最終処分)についても規定されています。
3. 環境林業省規制第75号/2019 - 廃棄物削減のための企業のロードマップ
この規制での「企業」とは、パッケージ製品のブランドを所有し、流通させる事業者(輸入を含む)や、自然に分解されにくい容器で商品を販売する事業者を指します【2】。対象となるのは、製造業、小売業、食品・飲料業界です。
本規制に基づき、企業は拡大生産者責任の考え方から廃棄物削減のロードマップを作成し、実行する必要があります。この計画では、2020年から2029年にかけて段階的な廃棄物削減戦略を示し、2029年までに30%の削減を目指すことが求められています。さらに、製品、容器、パッケージ、サービスのデザインから流通に至るまでのイノベーションが期待されており、特にプラスチック、アルミ缶、ガラス、が重点対象となっています【2】。
4. 政府規制第22号/2021 - 有害廃棄物管理
本規制の内容として、インドネシアで「B3廃棄物(Bahan:物質、Beracun:有毒、Berbahaya:危険)」と呼ばれる有害危険産業廃棄物の排出者は、発生させた有害廃棄物の管理を実施しなければならないと記載されています。
有害廃棄物の発生排出者は、特定の基準を満たした指定の施設で補完することが求められています。例えば、保管施設には、火災検知システムなどの適切な緊急対応設備や汚染防止措置の整備が求められ、廃棄物は輸送する前に、蓋をした状態で安全に梱包し、有害廃棄物であることを示すマークと詳細を明示したラベルを付ける必要があります。
まとめ
本記事では、インドネシア政府が制定している主要な廃棄物管理規制について紹介しました。急増する廃棄物問題に対処するため、国は家庭廃棄物から有害廃棄物まで幅広い対象に対して法規制を整備し、企業にも削減計画の策定や責任ある処理を義務付けています。特に、製品・容器・包装のライフサイクル全体にわたる削減努力が求められるなど、企業活動に与える影響は大きく、今後の戦略立案にも関係する内容です。次回は、政府の中長期目標やロードマップに焦点を当て、それらによる企業戦略/活動への影響や機会について具体的な知見をお届けします。
出典・参考資料
【1】 Waste Management Law of 2008 (No.18/2008).
【2】 Ministry of Environment and Forestry Regulation No. P.75 Year 2019. Frequently Asked Questions and Guidelines on the Waste Reduction Roadmap by Producers.
執筆、編集
アミタホールディングス株式会社
海外事業統括グループ
城地 咲知
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