インドネシアのB3廃棄物管理に関する法律(政府規制第22号/2021)とは? | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載

環境戦略・お役立ちサイト おしえて!アミタさん
お役立ち資料・セミナーアーカイブ
CSR・環境戦略の情報を情報をお届け!
  • トップページ
  • CSR・環境戦略 Q&A
  • セミナー
  • コラム
  • 担当者の声

コラム

インドネシアのB3廃棄物管理に関する法律
(政府規制第22号/2021)とは?
インドネシアのB3廃棄物管理について

indnesia_B3.png

本コラムでは、インドネシアにおける有害・有毒物質を含む廃棄物の管理に関して定めた「2021年第22号環境保護及び管理の実施に関する規則(以下、政府規則第22/2021)」から事業者が有害・有毒物質を含む廃棄物を排出する際に注目すべきポイントをご紹介します。



(ブカシ市 バンタル・グバン最終処分場、執筆者撮影)

      そもそも「B3廃棄物」とは?

      皆さんは、インドネシアで廃油や汚泥などの有害・有毒物質を含む廃棄物がどのように管理されているかご存じでしょうか?

      日本では、事業に伴う廃棄物が出た場合、廃棄物処理法において排出事業者が負うべき責任が明確に規定されています(排出事業者責任)[1] 。他方、インドネシアでも日本と同様に、排出事業者責任が法律で明記されており、有害な廃棄物を排出する場合、政府規則2021年第22号第276条によって規定が定められています[2] 。規定に違反すると罰則が課される場合もあります。

      ▼インドネシアのプラスチックリサイクラー

      idn_plastic_reycler.png

      アミタ撮影

      前回のコラム「循環への航海~インドネシア廃棄物管理の現状と未来~」で触れた、インドネシアの「B3廃棄物」は、有害・有毒物質を含む廃棄物を指しており、インドネシア語の「Bahan Berbahaya dan Beracun」の頭文字をとって「B3」と表します。B3廃棄物には以下の3つのカテゴリーが定められています[2][3]

      ▼B3廃棄物のカテゴリー

      カテゴリー 基準 具体例

      1

      爆発性・引火性・反応性・感染性・腐食性が高い

      LD50*:高毒性(LD5050mg/kg

      TCLP*:TCLP-Aを超える

      感染性のある医療系廃棄物・使用済みバッテリー・水銀など


      2

      LD50:中程度(50mg/kg - 5000mg/kg

      TCLPTCLP-A以下かつTCLP-Bを超える

      廃水処理設備からの

      スラッジ廃棄物、

      汚れたプラスチック容器など

      3

      爆発性・引火性・反応性・感染性がない

      LD50:LD505000mg/kg

      食品汚泥・

      スラグ・鉄・鋼・焼却残渣

      など

      *LD50=半数致死量毒性試験
      *TCLP=毒性特性溶出試験

      また「インドネシア 危険有害物質及び危険有害廃棄物を含有するゴミの管理に関する環境林業大臣規則20249号」によると、B3廃棄物は特定廃棄物だけでなく家庭廃棄物も対象となります [4]
      日本の「特別管理廃棄物」と同様、インドネシアでも「特別管理一般廃棄物」と「特別管理産業廃棄物」の2つに分類されます。

      関連情報:特別管理廃棄物規制の概要(環境省)

      法律の制定背景・目的

      ▼ジャカルタ市内の様子

      jacalta_night.png

      アミタ撮影

      政府規制第22/2021は、インドネシア政府が2020年に定めた雇用創出に関する「2020年 第11号 雇用創出に関する法律」の第22条および第185b項の施行に伴い制定されたという背景があります [5]

      またその目的には、環境への影響を考慮しながら各州における開発および経済成長を行うために、B3廃棄物の適切な管理方法を明記し、環境保護と廃棄物管理の体制を強化してゆくことが考えられます。

      法律の内容

      政府規制第22/2021では、以下8項目について規定されています。

      1. 環境に関する許可
      2. 水質・大気・海洋環境の保護および管理
      3. 環境破壊の防止
      4. B3廃棄物の管理および非B3廃棄物の管理
      5. 環境機能回復のための保証資金
      6. 環境情報システム
      7. 指導および監督
      8. 行政制裁の課徴

      排出事業者にとって、B3廃棄物の扱いは大きな課題です。罰則を避け、コストや処理の負担を正しく管理するにはどうすればよいのでしょうか。法律の項目4B3廃棄物の管理」に焦点を当て、次回より2回の記事に分けてそのポイントを解説します。ちなみに項目4は、以下の12項目で構成されています。

      1. 保管規則
      2. 収集規則
      3. 輸送規則
      4. 利用規則
      5. 加工規則
      6. 埋め立て規則
      7. 投棄(処分)規則
      8. 例外
      9. 国境を越えた移動
      10. 環境の劣化・破壊防止および環境機能回復に関する対策
      11. 緊急対応システム
      12. 管理にかかる費用負担

      まとめ

      今回は、インドネシアのB3廃棄物管理に関する法律について、その概要と制定の背景、目的をご紹介しました。次回は、排出事業者の責任について、さらに理解を深めていきます。特に、上述の項目4で規定されている内容の中から排出事業者に関係の深い規則を中心にご紹介します。

      参考資料

      [1]環境省「排出事業者責任の徹底について」(20259月最終閲覧)
      https://www.env.go.jp/recycle/waste/haisyutsu.html

      [2] インドネシア政府「2021年 第22号 環境保護及び管理の実施に関する規則
      NOMOR 22 TAHUN 2021 TENTANG PENYELENGGARAAN PERLINDUNGAN DAN PENGELOLAAN LINGKUNGAN HIDUP)」
      https://www.its.ac.id/burb/wp-content/uploads/sites/106/2024/03/PP-Nomor-22-Tahun-2021.pdf
      (pp.186-188)

      [3]各カテゴリーの具体例について

      PT.ALEKTO GREEN INDONESIA, 25 Daftar Kode Limbah B3, (20259月最終閲覧)
      https://alektogreen.co.id/daftar-kode-limbah-b3-yang-sering-berada-disekitar-kita-coba-cek/

      SENTRAL SISTEM CONSULTING, Pengelolaan Limbah Non B3 Berdasarkan Permen LHK No.19 TAHUN 202120259月最終閲覧)
      https://sentralsistem.com/news_article/detail/pengelolaan-limbah-non-b3

      [4]インドネシア政府「2024年 第9号 有害・有毒物質を含む一般廃棄物および産業廃棄物の管理に関する規則
      NOMOR 9 TAHUN 2024 TENTANG PENGELOLAAN SAMPAH YANG MENGANDUNG BAHAN BERBAHAYA DAN BERACUN DAN LIMBAH BAHAN BERBAHAYA DAN BERACUN
      https://peraturan.bpk.go.id/Details/291985/permen-lhk-no-9-tahun-2024

      [5] インドネシア政府「2020年 第11号 雇用創出に関する法律(NOMOR 11 TAHUN 2020 TENTANG CIPTA KERJA)」
      https://jdih.maritim.go.id/cfind/source/files/uu/salinan-uu-nomor-11-tahun-2020-1.pdf
      (pp. 73-78)
      ※第22条では、州の空間計画・開発・経済成長に関して述べられており、環境の収容力についてふれています。

      参考文献

      インドネシア政府、「インドネシア共和国 政府規則 第22号/2021年附属書 XIV

      「登録された非B3廃棄物(Limbah Non‑B3 Terdaftar)」に関する環境保全および環境管理の実施について
      LAMPIRAN XIV PERATURAN PEMERINTAH REPUBLIK INDONESIA NOMOR 22 TAHUN 2021 TENTANG PENYELENGGARAAN PERLINDUNGAN DAN PENGELOLAAN LINGKUNGAN HIDUP LIMBAH NON 83 TERDAFTAR
      21070715034315. Lampiran XIV Salinan PP Nomor 22 Tahun 2021.pdf

      関連情報

      アミタグループの海外事業統括会社である AMITA CIRCULAR DESIGN SDN. BHD.が提供するサービスはこちら

      執筆、編集

      アミタホールディングス株式会社
      海外事業統括グループ
      萩中 万結

      おすすめ情報

      ESG経営に関する情報をお探しの方必見

      お役立ち資料・セミナーアーカイブ一覧

      お役立ち資料・セミナーアーカイブ一覧
      • なぜESG経営への移行が求められているの?
      • サーキュラーエコノミーの成功事例が知りたい
      • 脱炭素移行における戦略策定時のポイントは?
      • アミタのサービスを詳しく知りたい
      そのようなお悩みありませんか?

      アミタでは、上記のようなお悩みを解決するダウンロード
      資料やセミナー動画をご用意しております。
      是非、ご覧ください。

      No Image インドネシアのB3廃棄物管理について の記事をすべて見る
      このページの上部へ