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海外へ輸出される廃棄物等の量と内訳、輸出の課題とは?

Image by Frauke Feind from Pixabay

中国の廃プラスチック類の輸入規制や国際情勢による輸入規制など、国外への廃棄物の輸出をめぐる状況は刻々と変化し続けています。ニュースでも度々取り上げられるため、関心を持たれている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、廃棄物の輸出にまつわる基本的な情報と課題点についてご紹介します。

輸出される廃棄物等の種類と推移

そもそも日本からはどのような廃棄物が輸出されているのでしょうか。「リサイクルデータブック2019」によると、再生資源として日本から輸出される中で最も輸出量が多いのは鉄鋼スラグで、全体の4割弱を占めています。次いで鉄鋼のくず、古紙、プラスチックが多く輸出されています。

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出典:一般社団法人産業環境管理協会「リサイクルデータブック2019」再生資源の輸出量の内訳(2016年) 

主な輸出先は以下の通りです。

種類 主な輸出先
鉄鋼スラグ(高炉スラグ) アラブ首長国連邦、バングラデシュ、アメリカ
鉄鋼のくず 韓国、ベトナム、中国
古紙 中国が全体の7割を占める

出典:鐵鋼スラグ協会:「鐵鋼スラグ統計年表(平成29年度実績)」高炉スラグの輸出推移(2017年実績)
財務省:「貿易統計」より算出(HSコード7204の合計より、再溶解用のインゴットのみを除く)(2018年度実績)
公益財団法人古紙再生促進センター:「2018年古紙需給統計」古紙品種別輸入先別輸入実績(2018年実績)

なお、廃棄物は無条件に輸出できるわけではありません。再生資源などの貨物の輸出や輸入を行う場合に、貨物が「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律」(以下「バーゼル法」)に規定する「特定有害廃棄物等」や「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下「廃棄物処理法」)に規定する「廃棄物」に該当する場合には、関税法の手続きに加え、経済産業大臣の承認、環境大臣による確認等を受ける必要があります。

海外への輸出廃棄物の問題点

環境省によると、廃棄物処理法の規定および、バーゼル法の規定に基づいて輸出された廃棄物量の推移は下記となります。10年間で、1.8倍および3.9倍の増加が見られます。

2008年 2018年 増加割合
廃棄物処理法の規定に基づいて
輸出された廃棄物
762,897 1,388,452 1.8倍
バーゼル法の規定に基づいて
輸出された廃棄物
54,204 215,890 3.9倍

出典:環境省報道発表より(単位:t)
(お知らせ)廃棄物処理法に基づく廃棄物の輸出確認及び輸入許可(平成20年)について
(お知らせ)特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の施行状況(平成20年)について
廃棄物処理法に基づく廃棄物の輸出確認及び輸入許可(平成30年)について
特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の施行状況(平成30年)について

このように、増加の一途を辿る海外への廃棄物の輸出ですが、いくつかの問題点も発生しています。現状の問題点として下記の3つが挙げられます。

  1. 使用済家電等による環境汚染とシップバック
    有害物質が含まれる可能性がある使用済電気電子機器が輸出されたり、これらの輸出がバーゼル条約上の不法取引に該当するとして輸出先国政府から通報を受け、輸出された貨物の引取(シップバック)を要請される事例が増加しています。廃棄物等の越境移動等の適正化に関する検討会によると、これらは、雑多な物と混ぜられた金属スクラップ(以下「雑品スクラップ」)や、シュレッダー破砕物、また、リユース目的と偽装された使用済電気電子機器(偽装リユース品)の形で輸出されているとのことです。また、これらは事実上、廃棄物処理法及びバーゼル法に基づく輸出時の規制(水際規制)をほとんど受けずに輸出されているとのことです。
    なぜ、有害物質が越境移動してしまうのでしょうか。理由はいくつかありますが、「国内法であるバーゼル法に基づく有害性評価は、混合物を想定したものとなっていないため、輸出される雑品スクラップが特定有害廃棄物等に該当するか否かを判断することが困難であること」などが挙げられます。

  2. 環境汚染の防止等を理由にした各国の規制
    環境汚染等を背景に各国が規制をかけるケースが相次いでいます。例えば、2017年12月に中国政府は、環境汚染や国民の健康被害の防止を理由に、廃プラスチック類の固形廃棄物の輸入を禁止しています。東南アジア諸国でも中国と同様に輸入規制が検討されています。
    【関連記事】2019年 東南アジアの廃プラスチック類輸入規制の最新動向は?

  3. 政治情勢による輸入規制
    環境への影響を理由とした輸入規制だけでなく、政治情勢を背景とした輸入規制のリスクもあります。
    2019年8月8日付の朝日新聞の報道によると、韓国環境省は、海外の火力発電所で使用した石炭の灰を輸入する際の検査を強化すると発表しました。これらは、日本政府の対韓輸出規制に対する事実上の対抗措置とみられるとのことです。さらに、2019年8月16日付の日本経済新聞の報道によると、韓国環境省は石炭灰の放射性物質の検査強化に加え、廃プラスチックなどのリサイクル用廃棄物を日本とロシアから輸入する際、放射性物質の検査を強化すると発表しました。このように国際情勢の変化、政治的背景によって廃棄物の輸出に影響を及ぼすことも考えられます。

これらの問題点が示す通り、海外へ輸出される廃棄物は環境や人体への影響について懸念があるため、輸出する条件は今後も厳しくなっていき、規制していく国も増えていくでしょう。企業においては責任ある行動が求められます。本サイトでは廃棄物や環境業務に関わる様々な情報を発信しています。国内外の最新の話題やトピックを取り上げていますので、ぜひ情報収集にお役立てください。

また、廃棄物のリサイクルを海外でのリサイクルのルートに依存している場合、何らかの理由によってそのルートが絶たれたときに、処理が困難となる恐れがあります。それらを未然に防ぐためには、処理ルートを複線化させリスク分散させる方法があります。アミタでは廃棄物管理のご提案や廃棄物の受け入れを行っております。廃棄物のリスクマネジメントに関心のある方はぜひ一度アミタにご相談ください。(お問い合わせはこちら

執筆者プロフィール(執筆時点)

mr.sakurai.png櫻井 盛太朗(さくらい せいたろう)
アミタ株式会社 
執行役員付

新潟県出身。新潟大学農学部生産環境科学科を卒業後、アミタに入社。森林生態学や野生動物生態学を専攻し、卒業研究ではニホンザルの獣害対策について研究。自然環境と人間社会の両立をテーマに、入社後も持続可能な社会の実現に取り組んでいる。

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