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2019年 東南アジアの廃プラスチック類輸入規制の最新動向は? 初心者向け

Image by Gerd Altmann from Pixabay

2017年末の中国の廃プラスチック類の輸入禁止以降、世界のリサイクル可能な廃プラスチック類の約半数が行き場を失うことになり、これらの適正処理が大きな課題となっています。

以降、日本は、中国の代わりにマレーシア・タイ・ベトナムを主な輸出先としてきましたが、こうした東南アジア諸国でも、段階的な輸入規制が開始されており、今後について早急な対策が求められます。そこで今回は、各国で具体的にどのような規制が進んでいるのか、日本の処理はどのような状況なのか、ご紹介します。

中国の受け皿になった東南アジアの3カ国

グリーンピースによる調査から各国の廃プラスチック類の輸入量を見ると、中国による輸入規制以来、特に多くの廃プラスチック類を受け入れてきたのが、マレーシア・タイ・ベトナムの3カ国であることがわかります。下記の図は、2016年1月~2018年11月における中国本土、マレーシア、ベトナム、タイによる月当たりの廃プラ輸入量の推移を示しています。(図はクリックすると拡大します。)

190822_image001.png

出典:Greenpeace USA :「Data from the global plastics waste trade 2016」

しかし、2018年後半からは、その3カ国の輸入量も減少しています。実は、これらの3カ国でも、環境汚染が目立つなどの理由から、輸入規制が進み始めているのです。ここからは、各国の規制状況についてご紹介します。

マレーシア-輸入基準の難関化

マレーシアの状況については、JETRO(日本貿易機構)より詳しい発表がなされています。発表によると、マレーシアは、数量ベースで2018年の廃プラスチック類輸入数量が世界1位になるほど、輸入量が増加しており、一部地域では、深刻な水質汚染が確認されているとのことです。これらの原因は、環境規制にのっとらず違法に操業している工場(違法工場)によるものとみられており、マレーシア政府は2018年7月ごろから、違法工場の摘発・閉鎖に乗り出しています。

マレーシアにおける具体的な規制概要は、下記のとおりです。

2018年7月 担当省庁が発行済みのすべての輸入許可証(AP)を3カ月間停止。
新たな認可基準を設けた上で、2018年10月から再申請を受け付けると発表。
2018年10月 新基準によるAPの再申請が、2018年10月26日から開始。
2019年1月 1月までに19社が申請したが、2019年1月現在で承認された企業はない。
ズライダ・カマルディン住宅・地方政府相は、APの承認が1件も下りていないことに対し、「申請があった19社が、認可基準を満たしているか監査を行う必要がある」と発表。
2019年4月 JETROの調査によると、4月時点で承認された企業はない。

出典:日本貿易振興機構「行き場を失いつつある廃プラスチックの行方は?(マレーシア)」をもとにアミタ(株)が作成

今後、マレーシア政府による認可が下りるかどうか、動向に注意が必要です。JETROによれば、"実質的な輸入禁止"の状態とのことです。新たな認可基準では、従来の申請書類提出に加え、保管場所の収容能力の証明、国家固形廃棄物管理局(NSWMD)監督の下での建屋内清掃の実施、リサイクル処理後の廃プラスチックの販売先リスト、輸入廃プラスチック1トン当たり15リンギットの税金の納付などの追加条件が課されているとのことです。

タイ-2020年8月までに輸入の完全禁止へ

国際環境経済研究所の研究によると、タイにおいても、違法工場の不正処理を契機とした輸入の規制が行われています。

タイにおける具体的な規制概要は、下記のとおりです。2020年8月までに廃プラスチック類は全面禁輸との方針です。

2017年末以降 急増する廃プラ輸入により、許可を得てない密輸やE-waste(電子廃棄物)を廃プラとして輸入する。もしくは、廃プラをE-wasteとして輸入する不適正輸入が横行。
2018年5月末以降 2018年5月末に、中国において輸入できなくなったE-wasteをタイへ密輸し不適正処理していたチャチューンサオ県の華人系リサイクル工場が、周辺住民からの苦情を受けて摘発される。
これを受けて、工業省工場局はリサイクル認可工場への全数査察、税関と協力してコンテナの開披(かいひ)検査を行い、多数の不適正処理、密輸が相次いで発覚した。
2018年7月 廃プラとE-wasteの一時禁輸を実施
2018年8月 スラッサク天然資源環境大臣を委員長とする関連省庁の委員会で協議し、今後の方向性が承認された。
主な内容は下記、
1)E-wasteの全面禁輸(半年以内に商務省・工業省の省令施行)
2)廃プラは2016年までの輸入許可実績に応じて輸入枠を設定し、
  今後の2年以内に全面禁輸(2020年8月までに全面禁止)
3)鉄くずやアルミくずなどの再生資源の輸入における異物混入率の設定

出典:国際環境経済研究所「タイにおける中国・廃棄物輸入規制の影響:廃プラ輸入急増と対策」をもとにアミタ(株)が作成
※2021年までに全面禁輸との報道もありますが、本記事では国際環境経済研究所・客員研究員佐々木氏の調査に基づき2020年8月末までとしています。

ベトナム-2025年には輸入の完全禁止へ

ベトナム税関総局によると、ベトナムでも、廃プラスチック類の輸入量が顕著に増加しているとのことです。なんと、「2018年の8月までの8カ月間の輸入量は、2015年と2016年の輸入総量と等しい」とのことです。

ベトナムにおける具体的な規制概要は下記のとおりです。2025年には輸入を完全に禁止する方針です。

2018年6月 ベトナムでは、ホーチミン市のカットライ港とヒェップフック港の2港で、港湾管理会社が廃プラの受け入れを一時制限(現在は解除)
2018年7月 7月にベトナム全土で、廃プラを含む輸入廃棄物の管理強化
2018年10月 天然資源環境省(MONRE)の輸入許可基準が厳格化。
当該基準を満たせば輸入可能だが、地方のMONREが新基準に沿った検査をする機能を有していないため、基準を満たしていても通関できない状態、つまり輸入禁止に等しい状態が続いていた。(現在は解除)
2019年5月 廃プラを含む廃棄物の輸入者を「輸入廃棄物を使用する製造施設を有する組織または個人」に限定するなど、さらなる基準の厳格化
2019年6月 BBC、6月2日付で、「ベトナム2025年までに輸入を完全禁止」と発表

出典: JETRO:「東南アジア諸国が廃プラスチック輸入規制を強化、日本の輸出量は減少」をもとにアミタ(株)が作成

海外への輸出に頼ることは危険?

上記3カ国の規制によってさらに行き場を失った廃プラスチック類は、他国への輸出にシフトしているようです。下記の図は、2016年1月~2018年11月における各国の月当たりの廃プラ輸入量の推移を示しています。青い線で描かれている部分が、マレーシア、ベトナム、タイによる輸入量の総計です。これらの国々による輸入量が減少する一方で、インドや台湾をはじめとした国々の輸入量が増加しています。しかし、JETROの調査によれば、インドにて、「2019年8月31日から全面輸入禁止」となるなど、すでに規制が進んでいます。(図はクリックすると拡大します。)

190822_image002.png出典:Greenpeace USA :「Data from the global plastics waste trade 2016」

ひっ迫する日本国内の状況

日本から各国への廃プラスチック類の輸出に関する状況は、不安定であり、いつまでも輸出先があるとも考えにくいでしょう。また、東南アジア諸国の輸入禁止・規制による国内への影響はすでに出てきています。「財務省貿易統計」の発表をもとに、現時点で最新のデータである2019年6月の廃プラスチック類の輸出量を過去のものと比較すると、下記の通り、輸出量が減少していることわかります

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※編集部追記:上記グラフの数値に誤りがあったため、訂正いたしました。(2019年9月4日)

国内の状況について、環境省の「外国政府による廃棄物の輸入規制等に係る影響等に関する調査結果」(2019年5月発表)によると、「一部地域の処理会社において、上限超過等の保管基準違反が増加している」とのことです。また、一部では改善命令の発出に至っているようです。幸い、「本調査では、海外の輸入規制の影響による不法投棄は確認されていない」とのことですが、輸入規制により、国内の処理がひっ迫していることは明らかです。

また、下記の図は、日本からの廃プラスチック類の輸出先上位10カ国を「財務省貿易統計」の発表をもとにまとめたものです。中国が輸入禁止を発表した2017年7月と2019年6月を比較すると、2017年7月には、上位10カ国の内、6割近くが中国に輸出されていましたが、2019年6月には、「中国」は、上位10カ国に入らないという結果になっています(19位)。代わって増加しているのが、マレーシア、台湾、ベトナム、タイです。(図はクリックすると拡大します。)

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今後、日本の廃プラスチック類処理に対する各国の輸入規制の影響が心配されます。おしえて!アミタさんでは、企業が取り得る対策をいくつかご紹介しています。海洋プラスチック問題も注目される中、プラスチックとの関わり方を見直すことが必要になっています。

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執筆者プロフィール(執筆時点)

amita_tomita.png冨田直弘(とみた なおひろ)
アミタ株式会社
執行役員付

滋賀県出身。立命館大学経営学部国際経営学科卒業後、アミタに入社。
大学時代は、主にソーシャルビジネスを学び、「ごみのない社会」の実現をテーマに、
インドネシアやルワンダでの現地調査を実施。引き続き、「ごみのない社会づくり」に向けて奮闘中。

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