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【2021年】温室効果ガス(CO2)排出量削減目標をどのように達成するか?企業の取り組みや対策を教えてください。

Photo by You X Ventures on Unsplash

多くの企業が、温室効果ガス(以下、CO2)の排出量削減について、2030年や2050年までと言った中長期目標の策定を行っています。
しかし、実際に目標を策定したものの、計画通りに削減が進まないなど、実践段階で行き詰ってしまうことがあります。本記事では「CO2排出量削減目標を達成する方法」をテーマに、解説します。

目次

なぜ温室効果ガス(CO2)排出量の削減が必要なのか?企業の3つのリスクとは

近年、CO2排出量の増加により、世界中で洪水や干ばつ、気温上昇などの気候変動が起きています。気候変動が企業にもたらすリスクは3つあります。

▼気候変動が企業にもたらす「3つのリスク」

1.規制リスク CO2排出に関する規制や課税など
2.物理リスク 製造、営業拠点の機能停止
資源調達品の減少・高騰
従業員の健康被害・生活環境悪化など
3.市場リスク 気候変動への適応、緩和といった対策に関するステークホルダー(投資家・顧客等)の評価の厳格化など

出典:環境省Webページ「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」よりアミタ作成

また、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によると、気候変動がこのまま悪化していくと8つのリスクがよりはっきり顕在化するとされています。

▼気候変動が社会にもたらす「8つのリスク」

  1. 気温上昇や干ばつによる食料不足や食料安全保障の問題
  2. 水資源不足と農業生産低下
  3. 陸域や淡水の生態系、生物多様性がもたらす、さまざまな生態系サービスの損失
  4. 海域や沿岸の生態系、生物多様性がもたらす、さまざまな生態系サービスの損失
  5. 暑熱影響による死亡や疾病
  6. 極端な気象現象によるインフラ機能の停止
  7. 大都市部への内水氾濫による人々の健康障害や生計崩壊のリスク
  8. 高潮や沿岸部の洪水、海面上昇による健康障害や生計崩壊のリスク

出典:環境省Webサイト「IPCC 第5次評価報告書の概要

温室効果ガス削減(CO2)に向けた企業への要請

2021年に発表された企業へのCO2削減に関わる最新トレンドは下記になります。今後企業は「CO2排出量の算定」や「情報開示」などが求められます。

▼2021年に公表された企業への主な要請

主な動きとその概要
2021年6月

「改訂コーポレートガバナンス・コード」が公表される
TCFD(気候変動情報開示)の実質的法制化が進む

  • プライム市場上場会社において、TCFD又はそれと同等の国際的枠組みに基づく気候変動開示の質と量の充実化が必要となる
  • 上場企業は、サステナビリティについて、基本的な方針を策定し自社の取り組みを開示する必要がある
2021年10月

Science Based Targetsイニシアティブ(SBTi)が「ネットゼロスタンダード」をリリース

「(現状、各企業が独自で設定してしまっている)2050年温室効果ガス排出量の実質ゼロ宣言」に対し、目標を設定する際のルールを開発

世界標準とも呼べる影響力をもつ「SBTi」によるネットゼロ目標は、企業にも大きな影響を与えると言われている。

出典:各種報道発表資料よりアミタ株式会社が作成

温室効果ガス(CO2)排出量削減において企業が抱える悩みとは

このようにますます企業に対し、CO2削減の取り組みの要求が大きくなる中、実際は算定やコスト面などに悩みが尽きないのも現状です。よくあるご相談としては下記が挙げられます。

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CO2の排出を余儀なくされる製造業にとってScope1をゼロにすることは難しいとの声が上がっています。

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Scope3を削減するにあたっては、サプライヤー等の取引先に対してCO2削減の要請と情報共有が必要になります。しかし実際は、気候科学に則った目標水準でScope1,2の削減をサプライヤーに要請することに壁の高さを感じるとの声があります。また中小企業の場合、サプライヤーの規模が大きくなるほど、立場的に頼みにくいといった現状が見受けられます。

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自社内で脱炭素の動きに舵を切るためには、経営層の脱炭素に関する理解と納得が必要な場合も出てくるでしょう。しかし経営層が脱炭素に社会的意義を感じたとしても、コストの面で承諾を得られないケースが多々あります。

これらの解決に向けては、脱炭素取り組みを単純なコストとして捉えるのではなく、視座を上げて、投資として捉えて取り組むことが重要になります。

温室効果ガス(CO2)排出量を削減するための企業の取り組みとは

CO2排出量削減に向けて企業を取り巻く環境と現実の悩みを踏まえ、企業はどのように取り組んでいけばよいのでしょうか。まず、一般的なCO2の削減施策としては、下記の5つの施策があるとされています。

項目 具体的な施策
1. 設備更新・運用改善 燃焼設備、熱利用設備、電力応用設備、照明設備の運用改善、設備更新
2. 燃料転換 石油、石炭からCO2排出量の少ないLNG等への転換
車両のEV車などエコカーへの転換
3. 外部から再生可能エネルギーの電力調達 CO2ゼロ / CO2低排出電力メニューの調達、切り替え
4. 太陽光等の自家消費型の再エネ電力調達 新規の設備設置による、自家発電自家消費(PPAなど)
売電用電力の自社消費への転換
5. CO2ゼロ価値を示す電力調達証書の購入 Jクレジット(再エネ由来クレジットのみ)
グリーン電力証書
非化石証書

出典:アミタ株式会社作成

これらの施策はCO2削減に向けて非常に重要な取り組みですが、昨今の状況を踏まえると、より根本的な対策が必要であると考えられます。何故なら、CO2の排出を避けられない製造業にとって、削減のために効率の良い設備に入れ替えたとしても、自社内だけでCO2の排出を大幅に削減することには限界があるためです。また、仮に自社内で部品数を抑えるなどの技術革新に成功し、CO2削減ができたとしても、これまでビジネスパートナーとして、部品の製造を担っていた企業が倒産の危機にさらされるケースも考えられます。脱炭素の課題は改善できても、サプライチェーン全体やESG経営という観点で見ると、トレードオフが生じてしまい、新たな課題を発生させてしまう可能性があります。
そのため、今後は企業の成長と脱炭素の対策を切り離して考えるのではなく「CO2を出さないビジネスモデルに転換できないか?」など、より高い視座で企業活動を見直していく必要があります。

▼今後、企業に求められる考え方

  • 将来を見据え、脱炭素だけの視点でなく、ESGの視点をもって取り組むこと
  • 設備投資など、上記の施策だけではなく、本業やビジネスモデルから見直すこと

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出典:アミタ株式会社作成

例えば、製造業では、製品そのものを売り切る従来型のビジネスモデルではなく、サーキュラー・エコノミーという循環型ビジネスモデルを取り入れ、ものをサービス化して価値を提供できるビジネスに転換していくことで、サプライチェーン全体の最適化を通じた脱炭素化につながります。
このビジネスモデルは、製品の所有者をユーザーから製造者・サービス提供者に変えることにより、製品の長寿命化・回収・修理・再利用を通じて資源を長く使い続けることにつながり、大量生産型から発生するCO2排出量を抑えることができます。

▼企業の取り組み事例

  • Apple Inc.
  • 2021年11月にAppleは、同社製のデバイスをユーザー自身で修理できるように純正マニュアルやツールマニュアルなどを販売するプログラムを2022年初めに提供すると発表しました。修理後、リサイクルするために使用済みのパーツを返却すると、購入金額に応じたクレジットが付与される仕組みになっています。

参考:AppleWebサイト「Apple announces Self Service Repair

さいごに

2021年10月26日に発表された国連の報告書においては、各国が定めた2030年削減目標を達成したとしても、世界全体の排出量は2030年に2010年比で13.7%も増加し、このままでは、今世紀中に世界の平均気温は2.7度上昇してしまう、という結果が出ています。現在の社会の在り方やライフスタイルを前提とした脱炭素取り組みや環境配慮型商品の開発を行っても、脱炭素社会の実現は難しいと考えられます。アミタでは、脱炭素社会の実現に向けて、企業が未来の社会、ライフスタイルに関するニーズを感知し、自社や企業の領域だけでなく、自然の領域も含めた全体最適の視点で考えることが重要であり、生態系の回復を含めた炭素を循環させる仕組みを伴う社会イノベーションを起こすことが必要だと考えています。そうした脱炭素を通じた社会イノベーションを起こすために、アミタは事業創出プログラム「Cyano Project(シアノプロジェクト)」を提供しています。

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出典:アミタ株式会社作成

事業創出プログラム「Cyano Project(シアノプロジェクト)」を提供

「Cyano Project(シアノプロジェクト)」は、企業が「時代や社会の変化に合わせて新たな価値を創出し、経営と社会の持続性を高めることを目的とした約3年間の事業創出プログラムです。
特設サイトはこちら:https://www.cyano-amita.com/

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参考情報:温室効果ガス(CO2)排出量削減に向けた世界の動き

世界では、パリ協定(COP21)を契機に企業の脱炭素経営に取り組む動きが進展し、グローバル基準に応じた脱炭素の取り組みが急速に求められています。

▼温室効果ガス(CO2)排出量削減に向けた世界の動き

主な動きとその概要
2015年

COP21にて、パリ協定採択

  • 2020年以降の温室効果ガス削減のための国際的枠組みが決まる
  • 日本の目標は、温室効果ガスの排出量を2030年度までに2013年比で26%削減に決定
2021年4月

気候変動サミットの開催

  • アメリカのバイデン大統領が主催。アメリカは2030年までに温室効果ガスの排出量を半減させる目標を発表
  • 日本の菅元首相は、2030年に向けた温室効果ガスの削減目標を2013年度比で46%削減することを目指すと表明
2021年11月

COP26の開催

  • 世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える努力を追求することを決意
  • 発展途上国の気候変動対策を促すため、先進国が資金支援を強化
  • 二酸化炭素を多く排出する石炭火力発電については、段階的な削減

出典:各種報道発表資料よりアミタ株式会社が作成

執筆者プロフィール(執筆時点)

長谷部 尚孝(はせべ なおたか)
アミタホールディングス株式会社 
カンパニーデザイングループ ヒューマンリソースチーム

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