資源有効利用促進法とは?2025年の改正のポイントや変更点、対象となる業種までわかりやすく解説! | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載!

環境戦略・お役立ちサイト おしえて!アミタさん
お役立ち資料・セミナーアーカイブ
CSR・環境戦略の情報を情報をお届け!
  • トップページ
  • CSR・環境戦略 Q&A
  • セミナー
  • コラム
  • 担当者の声

Q&A

資源有効利用促進法とは?2025年の改正のポイントや変更点、対象となる業種までわかりやすく解説!

資源有効利用促進法(正式名称:資源の有効な利用の促進に関する法律)は、循環型社会の構築に向けて、事業者、消費者、自治体等に3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進を促す法律です。
2025年2月25日に閣議決定された改正案は、3R(リデュース、リユース、リサイクル)を一層強化し、サーキュラーエコノミーへの移行を加速させる内容であり、企業の製造部門、特に調達・設計・サステナビリティ担当者は、変更点や対象業種、企業対応を理解しておくことが不可欠です。

本記事では、資源有効利用促進法の概要、2025年改正のポイント、企業の対応策や関連するビジネスチャンスまで幅広にわかりやすく解説します。

資源有効利用促進法の概要
  • 資源有効利用促進法とは

資源有効利用促進法は、限りある資源を有効活用し、廃棄物の発生抑制(リデュース)、製品の再使用(リユース)、再生資源としての利用(リサイクル)を総合的に推進する法律です。
日本は多くの資源を輸入に頼っており、国内資源の活用と循環利用は経済安全保障上も重要です。本法は事業者に対し、製品ライフサイクル全体での資源効率向上と環境負荷低減を求めています。

  • 法の基本的な目的と対象

本法が制定された当初の目的は、以下3点です。

  1. 資源の有効な利用の確保(リサイクル)
  2. 廃棄物の発生抑制(リデュース)
  3. 資源の再利用(リユース)

また対象となる業種は、特定の指定製品を製造・輸入・販売する事業者や、特定業種の事業者です。
具体的には製品設計・製造段階での3R対策や識別表示(例:プラマーク)などが求められてきました。

▼法律の対象となる業種・製品

Industries and products covered by the law.png

出典:経済産業省

  • 制定の歴史と背景(3R)

本法は1991年に「再生資源の利用の促進に関する法律」として制定されました。
2000年の大幅改正で現行名称となり、リデュース・リユースを加え3Rを総合的に推進する枠組みが整備されました。

また今回2025年の改正は「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律」(GX推進法)と一体で進められます。
GXは2050年カーボンニュートラルと持続的経済成長の両立を目指す戦略ですが、資源循環の高度化はカーボンプライシングと並ぶGXの重要柱です。資源の有効利用は日本の成長戦略と気候変動対策の中核を担うといえるでしょう。

関連記事:GX(グリーントランスフォーメーション)の定義と企業の取り組み事例を解説!

2025年の改正内容

ここからは、2025年2月25日閣議決定の改正案をみていきましょう。

今回の改正の背景には、近年ますます厳しさを増す資源制約、気候変動問題(海洋プラスチック問題、CO2排出)、国際的な資源獲得競争があります。その解決のために改正された具体的なポイントを紹介します。

  • 改正ポイント① 再生資源の義務化

今回の資源有効利用促進法改正で最も注目される変更点の一つに、特定の製品の生産量が一定規模以上の製造事業者等に対して、再生資源(リサイクル材)の利用に関する計画の提出や定期報告が義務化される点があります。

「指定脱炭素化再生資源利用促進製品」が新設され、 脱炭素化に特に貢献する再生資源の利用を促進すべき製品が、今後の政令で具体的に指定されます。

また対象となる指定製品の製造事業者等は、その製品の生産量・販売量が一定量以上の場合、当該製品における再生資源の利用目標を含む計画を作成し、主務大臣に提出するとともに、その実施状況を定期的に報告する義務を負います。

  • 改正ポイント② 製品の設計に関する認定制度の創設

この制度は、対象指定製品の製造事業者等による対象指定製品の設計において、特に優れた環境配慮設計(解体・分別しやすい、長寿命化につながる設計など)には主務大臣の認定を受けることができるというものです。

  • 改正ポイント③ 廃棄物処理法許可の特例適用

また本改正案では、主務大臣の認定を受けた自主回収・再資源化事業計画に従って、使用済指定再資源化製品の再資源化に必要な行為(廃棄物処理法上の収集・運搬・処分に該当するもの)を行う事業者およびその委託先は、通常必要とされる廃棄物処理法上の許可が不要となる特例が設けられることになります。

  • 改正ポイント④ CE(サーキュラーエコノミー)コマースの促進

リユース、リース、リペア、中古品販売、シェアリングなど「CEコマース事業者」の位置づけとして事業者類型を新設し、満たすべき基準を設定しました。製品の「所有」から「利用」への転換、製品ライフサイクル長期化を後押しすることになるでしょう。

なお改正の施行日については2026年4月1日が予定されていますが、具体的な製品指定や基準値は今後の政省令で順次決定されるため、早期の準備が重要です。

資源有効活用の事例

ここからは企業が具体的に取り組むべき資源有効利用の一般的な事例について、その方法と内容について簡単にご紹介します。

  • 製品の長寿命化・省資源化(設計)

製品の設計段階で資源効率向上を意識することは、リデュース観点から非常に重要です。これは改正ポイント②とも深く関連しています。

  1. 耐久性の向上: 壊れにくく、より長く使用できる製品を設計する
  2. 修理の容易化(リペアビリティ): 部品交換を容易にし、修理しやすいモジュール構造などを採用する
  3. アップグレード可能性: 一部の部品やソフトウェアを更新することで、製品全体の陳腐化を防ぎ、長寿命化を図る
  4. 省資源設計: 製品に使用する素材の量を減らす、軽量化を図る、単一素材化を進める
  5. 解体・分別容易設計: リサイクルしやすいように、異なる素材を簡単に分離できる設計にする

これらの取り組みは、製品デザインと同時にサービスデザインまで考慮することで、最大効果を発揮します。耐久性が向上し壊れにくくなることで、シェアリングやリユースビジネス、サービサイジングモデルの可能性が生まれるかもしれません。

製品自体が修理しやすくなっても、ユーザーが利用しやすいリペアサービスや交換部品ストック、修理用ユーザーマニュアルなどが整備されていなければ意味がありません。サーキュラーデザインには、体系的なアプローチが重要です。

関連記事:サーキュラーデザインに必要な3つの循環 ー資源価値以上のものを巡らせるデザインー

事例)三菱エレベータヨーロッパ サーキュラリティを商品設計の核としたエレベータ 「M-Use®」

オランダに本社を置く三菱エレベータヨーロッパ社は、エレベータの従量課金制のサービスM-Use®を提供しています。M-Use®では、顧客はエレベータの初期投資費用を支払い、その後はメンテナンスや検査費用を含む年間固定料金と、使用量に応じた料金を支払います。故障や不具合により製品が使用できない期間、三菱にとっての使用料収入は途絶えてしまうため、エレベータが快適に使用できる状態を維持することが自社の利益につながります。そのために三菱はICTを活用し、稼働状況や部品ごとの負荷を測定し、適切な種類のメンテナンスを最適なタイミングで提供しています。

▼通常のエレベータ購入時の費用とM-Use®サービス利用時の金額比較

mitsubishi_Muse.png

出典:三菱エレベーターヨーロッパ

  • 自社製品の回収と再生材の利用

使用済み製品を適切に回収し、再生材として有効活用することは、リサイクルの高度化と国内資源循環の核となります。

  1. 自主回収システムの構築・強化: 消費者が使用済み製品を容易に回収ルートに乗せられるような仕組みを整備・拡充する※改正ポイント③の「廃掃法許可の特例適用」は、こうした取り組みを後押しします。
  2. 再生材の積極的利用: 製品の原材料として、品質の確かな再生材を積極的に活用する
  3. トレーサビリティの確保: 回収した製品や利用した再生材の情報を追跡可能にし、品質管理の徹底や消費者への情報開示に役立てる
  4. リサイクラーとの連携強化: 高度なリサイクル技術を持つ専門業者や素材メーカーとの連携を強化し、質の高い再生材を安定的に調達するサプライチェーンを構築する

事例)ニッコー 修理困難な食器から製造されるリサイクル肥料 「BONEARTH(ボナース)」

洋食器メーカー、ニッコーは、原料に牛の骨灰(ボーンアッシュ)を加えた陶器「ボーンチャイナ」が主力製品の一つです。同社は製品のユーザーであるレストランやホテルから修理困難な食器を回収し、牛の骨灰由来のリン酸カルシウムに着目したリサイクル肥料「BONEARTH(ボナース)」を製造するという、ユニークなリサイクルを展開しています。「BONEARTH」は、リン資源の多くを海外からの輸入に頼っている日本の社会課題にもリーチする取り組みです。

ニッコーの食器と「BONEARTH」が描く循環図

4_nikko_circular.png

出典:ニッコー運営「tables source」Webサイト

  • 資源有効利用促進法と、再資源化高度化法との関係について

資源有効利用促進法の2025年改正と並行して、資源循環を促進するもう一つの重要な法律として「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律(再資源化事業等高度化法)」が2024年5月に公布されています 。この2つの法律は、日本のサーキュラーエコノミー実現に向けて連携し、補完し合う関係にあります。

関連記事:再資源化事業等高度化法とは? 資源循環を促進させる法律がもたらす影響

では両者の違いはどこにあるのでしょう。

再資源化事業等高度化法は、主にリサイクルの「供給側」の高度化を目指すものです。具体的には、高度な技術を用いた再資源化事業を促進し、今後必要とされる質の高い再生材を安定的に供給できる体制を構築することを目的としています。そのために、基本方針の策定、再資源化事業の効率化やGHG排出量削減のための判断基準設定、そして事業計画の認定制度(高度再資源化事業計画、高度分離・回収事業計画、再資源化工程高度化計画)などが盛り込まれています。

一方、資源有効利用促進法の2025年改正は、主に「メーカー側」であり「需要側」に働きかけるものです。改正ポイントである再生資源の利用義務化や環境配慮設計の認定制度は、製造事業者に対して、再資源化事業等高度化法によって供給される質の高い再生材を積極的に製品に使用することや、そもそもリサイクルしやすい製品を設計することを促しています。

このように、国は再資源化事業等高度化法によって「供給」を確保し、資源有効利用促進法の改正によって「利用(需要)」を拡大させるという両輪のアプローチによって、国内の資源循環システム全体の高度化を目指しているといえるでしょう。

今後の展望と次のステップ

今回の改正は、日本の資源循環政策における大きな転換点といえるでしょう。

資源循環やサーキュラーエコノミーに関する国内外の政策や動向は非常に速く、今後も社会経済情勢の変化、技術の進展、国際的な要請(例えば、EUのエコデザイン規則(ESPR)など)に応じて、資源有効利用促進法や関連政省令がさらに見直される可能性は十分に考えられます。

関連記事:日本のサーキュラーエコノミー関連の最新方針(再生材の利用関連義務の拡充等を含む)を解説!

企業は、法改正の動向を継続的に確認し、柔軟に変化・対応できる体制を構築しておくことが重要です。今後にそなえ、戦略的な対応を進める準備を始めましょう。

  • 資源有効利用促進法が目指しているもの

この資源有効利用促進法が最終的に目指しているのは、単に廃棄物を減らしリサイクル率を向上させることだけではありません。資源の効率的な利用と循環を通じて、環境負荷を低減し、経済成長と環境保全が両立する「持続可能な社会」「サーキュラーエコノミー」を確立することです。

そして、それは日本のGX戦略の達成、ひいては2050年カーボンニュートラル実現に不可欠な要素として位置づけられています。

今回の資源有効利用促進法改正は、企業にとって対応すべき規制強化という側面だけでなく、新たなビジネスチャンスを創出する機会とも捉えられます。

新技術・新素材の開発は、新たな市場を開拓し、企業の競争力強化に繋がる可能性がありますし、サービサイジング、シェアリング、サブスクモデル、リマニファクチャリング、リファービッシュなどのサーキュラー型ビジネスモデルの推進にも繋がるでしょう。また環境配慮型の商品やサービスを提供することやサステナビリティ経営の実践は、長期的な企業価値の向上や利用者(消費者)とのコミュケーション機会を増やすことも可能です。

まとめ~持続可能な社会に向けて~

本改正は、日本が資源制約やサステナブルをコストと捉える見方を克服し、GXを推進しつつ持続可能な社会へ移行するための重要なマイルストーンです。これを好機と捉え、企業がサーキュラーエコノミー型ビジネスへの転換に主体的に取り組むことが、経済社会全体の持続可能性を高めることにもなります。今後、このようなサーキュラーエコノミーを推進する動きはより活性化するでしょう。政省令の動向にもご注目ください。

関連情報

cercular economy banner.png

お問い合わせ

アミタでは企業の循環型ビジネスモデルへの「移行」を支援するコンサルティングを提供しております。詳しくは下記よりお問い合わせください。

otoiawase_sustainable.png

執筆者プロフィール

大重 宏隆
アミタ株式会社
サーキュラーデザイングループ

ESG経営に関する情報をお探しの方必見

お役立ち資料・セミナーアーカイブ一覧

お役立ち資料・セミナーアーカイブ一覧
  • なぜESG経営への移行が求められているの?
  • サーキュラーエコノミーの成功事例が知りたい
  • 脱炭素移行における戦略策定時のポイントは?
  • アミタのサービスを詳しく知りたい
そのようなお悩みありませんか?

アミタでは、上記のようなお悩みを解決するダウンロード
資料やセミナー動画をご用意しております。
是非、ご覧ください。

このページの上部へ