電力高騰はなぜ起きた?再エネ調達を推進する企業が取るべき選択とは Vol.3 | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載

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電力高騰はなぜ起きた?再エネ調達を推進する企業が取るべき選択とは Vol.3 初心者向け

2020年末からの、日本卸電力取引所(以下、JEPX)市場の大幅な電力高騰を契機に、再生可能エネルギー(以下、再エネ)調達のあり方についても見直しが求められています。そこで今回は、ENECHANGE株式会社の千島氏、田中氏、熊谷氏にお話を伺いました。Vol.3では、企業の再エネ調達についてお届けします。

Vol.1 JEPXの市場価格の高騰。発生理由と背景とは?
Vol.2 電力卸市場の制度見直しと新電力側が取るべき対策について
Vol.3 企業は今後どのように再エネ調達を進めるべきか(本記事)

企業は、今後どのように再エネ調達を進めるべきか

アミタ今回の高騰を受けて、企業の対応に変化はありますか?

ENECHANGE今回の高騰を受け、JEPX市場連動型のプランを採用していた需要家企業の方からは「もうJEPX市場連動型のプランはやめたい」という声が上がる一方で、「今後もJEPX市場連動型を続けたい。トータルで見ればその方が安いだろうから」とおっしゃるケースもあり、対応は様々ですね。しっかりと市場連動型のプランの特性などを見極めて自分にあった電力契約を選ぶスキルが求められると思います。

アミタ新電力を通じて再生可能エネルギーを調達していた需要家の企業は今回の高騰を踏まえ、どのようにリスクマネジメントをしながら安定的な電力を調達することが望ましいでしょうか。

ENECHANGE企業が再生可能エネルギーとしての電力を調達する方法は、電力会社との契約ばかりではありません。調達方法は大きく分けて以下の4つがあります。  

Vol.3_再エネについて.png

図:再エネ調達方法について
出典:ENECHANGE株式会社

まず1.の「環境配慮型の電力契約に見直す」ですが、各電力会社が用意した再エネプランやCO2フリープランなどを採用することで、供給される電力に係るCO2排出量を調整することができます。ただし、その際にJEPX市場連動型のプランにすると今回のような高騰時には大きな影響を受けることがあるので、各電力会社のプランの内容をよく検討することが必要です。一般的には、電力会社が2.の環境価値証書を電力供給分と組み合わせてプラン化しています。

次に2.の「環境価値証書を活用する」は、「環境価値」を証明する各種証書を購入し、実質的にCO2排出量をオフセットする方法です。2021年3月現在、日本で利用可能な環境価値証書は下記図の3つです。ただし、非化石証書を購入できるのは、電力会社(小売電気事業者)のみで、ユーザー企業が直接利用できるのは、「グリーン電力証書」「J-クレジット」の2つになります。また、再エネ発電の総量が増えないことには証書の発行数にも限界がありますし、国際的な各イニシアチブにおいては認められないタイプの証書もあるので注意が必要です。

Vol.3_環境証書について.png

図:環境価値証書のまとめ(2021年3月時点)
出典:各発表資料より、ENECHANGE株式会社が作成

例えば、RE100では非化石証書のうち「トラッキング付きFIT非化石証書」しか認められていませんし、J-クレジットのうち「省エネ・森林吸収由来」の証書はRE100、CDP、SBTのいずれからも認められていません。

また、電力調達においては既存の再エネ発電施設からの発電ではなく、新たな再エネ発電施設への投資促進効果を担保すること、つまり追加性(additionality)があるかという視点が重要になります。2021年3月現在、この追加性が保証されている証書は存在しませんが、コーポレートPPA(Power Purchase Agreement電力購入契約以下、PPA)の検討など、企業が追加性を求める姿勢を示すことが求められます。実際、欧米の先進企業では追加性を重視した電力を選択するようになっています。

そして3.の「太陽光発電などによる自家消費」ですが、これは今後、工場施設など「屋根のある自社施設」や設置可能な自社敷地を保有する企業にとっては必須ともいえる対応になると思います。現在、省エネのためLED照明の導入がスタンダードになっていますが、将来的にこの自家発電も、LED照明と同等に「当たり前」になる日が来ると思います。自社敷地内に再エネ発電施設を整備する方法には、自ら初期投資して施設整備する方法と、発電事業者に施設整備を依頼して発電された電力の長期購入契約を結ぶ「オンサイトPPA」があります。前者の場合は多くの設備業者の中から最適な業者と導入プランを検討する必要があります。後者の場合は初期投資やメンテナンス費用は掛からない代わりに発電事業者から電力を購入する必要がありますが、契約内容によっては、契約期間が満了した後、発電施設の無償譲渡を受けるといった選択も可能です。

最後の4.「コーポレートPPA」は、再エネ発電施設を保有する発電事業者と長期の購入契約を結ぶ方法です。日本の電気事業法では発電事業者と需要家企業が直接契約を結ぶことは禁止されているので、新電力などの小売電気事業者を間に入れた3者契約を結ぶ必要があります。(自社敷地内に発電設備を置くオンサイトPPAは発電事業者との直接契約が可能であり、自社発電施設をもつ小売電気事業者との直接契約も可能。)これも発電事業者と小売発電事業者と自社の相関条件が合う内容で事業者を選択し、プランを設定する必要があります。

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再エネの導入を求められている企業においては、「自分たちの再エネは自らで確保する。」という考えを持っていく、そしてそれを対外的にアピールしていくことが一層求められてくると思っています。



                                                      【写真】ENECHANGE(株)熊谷氏

アミタ環境配慮型の電力契約の見直しや環境価値証書の購入だけでなく、自社施設内での発電やコーポレートPPAなど、様々な選択肢があるんですね。例えば自社施設に太陽光パネルを導入する際のパネル設備会社の選択や、オンサイトPPA契約を結ぶ際の発電事業者の選択、そしてコーポレートPPAを導入する場合の発電事業者と小売電気事業者の選択などは企業担当者にとって非常に悩ましいところだと思うのですが、そういった事業者の選択や紹介も御社でサポートしてもらえるのでしょうか。

ENECHANGEそうですね、そうした設備会社や発電事業者、電気小売事業者とのマッチングについては各企業様の状況をお尋ねし、ご相談内容に応じてサポートさせていただいています。また、先ほどご紹介した4つの選択肢をそれぞれどのように組み合わせると、「最適解」になるのかは、お客様の事業形態や操業形態によって千差万別です。調達担当者の方にとっては「何が最適解になるのか」、「上司に制度面の説明ができない」などといった心配事があるかと思います。多種多様な選択肢の中からどのような組み合わせで再エネ導入を図るのかはもちろん、社内の関連部門へのご説明や、国内のみならず海外の事業所においての再エネ導入までをサポートさせていただいています。

エネルギー産業と関わりのない事業を営む一般企業と電力会社の知識格差を埋めていく必要もあると感じており、現在隔週水曜に基本的な情報をお伝えするWebセミナーを開催しております。この記事を読んでいただいた方にも是非ご参加いただき、今後の再エネ導入検討の参考にしていただければ幸いです。(セミナー詳細はこちら

最後に 再エネの今後について

アミタ今回の電力高騰は多くの企業にとって、電力自由化の意義や電力エネルギー調達のあり方を改めて考え直す機会になったのではないかと思います。

ENECHANGEおっしゃる通り、私がご支援しているお客様とも今回の高騰についてお話する機会は多くありました。海外からの燃料輸入に頼っている火力発電においても安定供給に関する課題が露呈する機会となったと思います。天候に左右される再エネ発電も同様の課題があります。安定供給を確保した上で、いかに再エネへ転換していけるのか、CO2排出係数を減らしていけるのかという点が重要ですね。日本は、2030年再生可能エネルギーの電源構成比率について40%以上を目指していくと表明していますが、まだその比率は低い状態にあります。現在、日本で普及している再エネ電源は太陽光と風力が台頭していますが、これらは不安定電源のため、蓄電池との組み合わせ運用を増やしていくことと、地熱や水力(潮力、波力など含む)など安定的な発電が期待できる再エネ発電への投資も増やしていくことが求められると考えています。電力業界全体においては、ビジネスである以上それぞれに利害関係が発生する場面もありますが、今こそ、各発電事業者や小売事業者、需要家が協力し立場を超えて、再エネの拡大に向けて取り組むことが必要だと思います。その中で、私たちは、エネルギープラットフォーマ―として多くの企業に良縁をもたらす仲人になりたいと考えています。

アミタ国内の再エネの拡大が一層進んでいけばと思います。本日は、ありがとうございました。

話し手プロフィール(執筆時点)

enechange_chisima2.jpg 千島 亨太(ちしま こうた)氏
 ENECHANGE株式会社
 執行役員 法人ビジネス事業部 事業部長


大手都市銀行にて主に法人向け取引に従事。その後電力自由化に伴う市場の変動に魅力を感じ、縁もあって新電力会社に転職。新電力会社では小売、電源調達、卸電力売買等の業務に従事。2019年9月より現職。

enechange_tanaka.jpg 田中 文崇(たなか ふみたか)氏
 ENECHANGE株式会社
 法人ビジネス事業部


実需同時同量の時代から新電力の需給管理担当として5年半従事。小売、調達など新電力運用の難しさ、情報の少なさと収集の難しさを痛感。ENECHANGEが持つシステム開発能力に引かれ入社。システムサービスを介しプラットフォーマーとして新電力に対し幅広い形での情報流通、電気現物の流通など普及促進を目指す。

enechange_kumagai.jpg 熊谷 太介(くまがい たいすけ)氏
 ENECHANGE株式会社
 法人ビジネス事業部


エネルギーや環境とは関係のない大手IT企業で事務機器のグローバル展開などに10年間従事。環境問題の根本解決にはエネルギー産業の変革が必要と思い立ち、2019年より中立的なスタンスを取れるENECHANGEに入社。企業の再エネ導入支援サービスを立ち上げ、日本の再エネ普及促進を目指す。

書き手プロフィール(執筆時点)

本多 清(ほんだ きよし)
アミタ株式会社
社会デザイングループ 社会デザイン群青チーム
環境ジャーナリスト(ペンネーム/多田実)を経て現職。自然再生事業、農林水産業の持続的展開、野生動物の保全等を専門とする。外来生物法の施行検討作業への参画や、CSR活動支援、生物多様性保全型農業、稀少生物の保全に関する調査・技術支援・コンサルティング等の実績を持つ。著書に『境界線上の動物たち』(小学館)、『魔法じゃないよ、アサザだよ』(合同出版)、『四万十川・歩いて下る』(築地書館)など。

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