インタビュー
「恩送り」こそ、社会を良くする原動力
ESA(※)理事で花王株式会社特命フェロー コンシューマープロダクツ事業統括部門の小泉篤氏を迎え、同氏の座右の銘である"Pay it forward"(恩送り)に至った原点や、サステナビリティ経営に求められるビジネススキルや組織マネジメントについて語り合いました。
(対談日:2024年11月8日)
※「一般社団法人エコシステム社会機構(Ecosystem Society Agency:略称ESA、以下ESA)」
連続対談企画「道心の中に衣食あり」では、アミタ熊野が対話を通じて持続可能な社会の未来図や、その設計に必要な思考や哲学をお伝えしています。
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花王の「よきモノづくり」の原点と「恩送り」精神の重なり
熊野:さっそくですが、小泉さんは花王のマーケティング部門をずっと歩んでこられて、海外でのお仕事経験もおありですね。入社された1985年頃は、プロダクトアウトからマーケットインへの移行期ともいわれる時代で、まさしくマーケティングの変革期ですね。今では当たり前になっている、ビジネスやマーケティングのスタートをご経験された社会人人生だったと思いますが、まずは座右の銘として挙げられている"Pay it forward"(恩送り)の原点を教えていただけますか。
小泉氏:40歳の時にとあるリーダーシップ研修に参加し、その時の研修テーマの中にこのPay it forwardという言葉があったのです。「自分が誰かに良いことをすると、その相手からさらに次の誰かに広がっていく」という仕組みなのですが、これが弊社の原点である「よきモノづくりを通して生活者の方々の暮らしを変えていく」という消費者奉仕の精神とつながり、なるほどよきモノづくりの原点とはPay it forwardなのだ!と勝手に解釈したのです。
そして、自分たちが得たものをできるだけ多くの生活者に届けていく、これが「恩送り」ということになるのですが、その恩を受けた人がまた次の人に恩を送るという連鎖が、家族や社会、そして世界を良くしていけると感じています。
その後、海外ビジネスで実践してみる機会があり、本社に戻って色々な企業の方とネットワーキングする立場になってからも、考えを意識して活動しています。2019年に弊社がESG経営に舵を切る中でも、Pay it forwardの考え方に近いものを感じましたし、執行役員を退任した後の特命フェローとしての役割を考えた時も、やはりPay it forwardが重要だな、と。そして、今年ESAの理事にお声掛けいただいて、自分自身もまさに恩送りを実践される方々の関係性の中で、活動させていただいていると感じます。
熊野:花王さんのミュージアムに行かせていただいた時に知ったのですが、海外の石鹸職人が、顔も洗えないようないい加減なものを作っていた時代に、御社は顔(Kao)も洗える高品質の国産石鹸を作ろうと考え、これが社名である「花王」の由来になったそうですね。良いモノづくりでないと広めてはいけないという考え方。まさにそれがPay it forwardで、良いモノづくりは連鎖していくよ、と。それにしても、小泉さんにはこのような思いに共感する原体験があったのでしょうか。なかなかこのようには考えられないものですよ。
小泉氏:実は、中学、高校、大学と常に学校の成績で底辺にいたんですよ(笑)。高校も大学も補欠合格。そもそも勉強が好きじゃなくて、スポーツを通して学ぶことが好きでした。高校ではラグビー、大学では競技スキーを通して、社会に出てから有益になる学びを得ることが多かったですね...
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対談者プロフィール
小泉 篤(こいずみ あつし)氏
花王株式会社
特命フェロー コンシューマープロダクツ事業統括部門
熊野 英介(くまの えいすけ)
アミタホールディングス株式会社
代表取締役会長 兼 CVO
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