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コラム

業許可に関する区分と種類の問題を考える【前編】-区分の抜本改正で資源循環促進を-堀口昌澄の「廃棄物処理法のあるべき姿を考える」

Some_rights_reserved_by_harrypope.jpg本シリーズでは、アミタ堀口が2011年2月9日から2012年7月11日の間、環境新聞で連載していたコラム「廃棄物処理法のあるべき姿を考える」を一部ご紹介します。内容はあくまで議論のたたき台という位置づけのため、関係各方面からのご意見を頂戴したいと思います。 今回ご紹介するテーマは、「業許可に関する区分と種類の問題を考える」です。

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廃棄物の区分の問題

2002年に行われた、中央環境審議会の廃棄物・リサイクル制度専門委員会では、廃棄物の区分の問題について検討されました。その結果、事業系一般廃棄物となっている紙や生ごみは、たとえ事業活動に伴って生じたとしても産業廃棄物に区分してしまうと処理が滞る懸念があり、現状維持とする一方、一部の事業系一般廃棄物を市町村が処理できていない問題については、木製パレットを産業廃棄物に振り分けるという措置で決着しました。

では、今後どうしていくべきなのでしょうか。

問題を改善する業許可区分と種類を考える

廃棄物の区分、種類分けについては、排出者およびその事業内容、性状、危険性といった点に着目して検討することができます。

排出者に着目すると、「事業系」と「家庭系」に分けられます。産業廃棄物の「業種限定をなくす」と言い換えてもよいと思いますが、これをそのままやるとすでに検討されているように、紙、生ごみ等がすべて産業廃棄物になり、現状の社会構造のままでは処理が滞るという問題が発生します。

そこで、これら事業活動に伴って生じているが産業廃棄物にならないものを「事務系」廃棄物という種類に振り分けます。「事務系」はこれまで通り市町村が処理することになります。

本来、誰がどのような形で排出したとしても、廃棄物の種類・性状等が同じであれば処理方法は変わりません。そこで、処理を適正に行うために「事業系」、「事務系」、「家庭系」という区分とは別に、性状・内容、危険性に着目した種類分けを横串で設定します。「処理業者」はこの種類分けに応じた許可を取ります。つまり、廃プラスチック類という許可があれば、「事業系」、「事務系」、「家庭系」のどの廃棄物でも扱えます。要は、これらの区分は誰が出しているか、責任は誰にあるのかという観点で整理するためのものです。

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危険性の高いものについては、現在の特別管理産業廃棄物同様に、排出者と「処理業者」に厳しい規制を課します。

「事業系」廃棄物は、これまで通り契約書、マニフェストを使用して管理します。「事務系」廃棄物は、現在の事業系一般廃棄物と同様、契約書やマニフェストを不要とします。これは既述の通り市町村が処理しますが、「処理業者」にも処理委託できます。「家庭系」廃棄物も現在と変わらず、継続、安定性を重んじる行政サービスの一環として、市町村もしくは市町村の委託を受けた「処理業者」が回収することを基本とします。

後半へ続く

関連情報
環境新聞ブックレットシリーズ◎10
「廃棄物処理法のあるべき姿を考える」

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改正廃棄物処理法について、依然として法律の問題点や改善すべき点を指摘する声は多くあります。アミタ 堀口による環境新聞連載「廃棄物処理法のあるべき姿を考える」では、2011年2月から約1年半にわたり、廃棄物処理法のあるべき姿、改正案についての提言を行ってきました。「環境新聞ブックレット」はこの連載をまとめたもので、排出事業者、処理業者そして行政と、廃棄物処理にかかわる全ての人に興味深い内容となっています。

■ブックレットの詳細はこちら

執筆者プロフィール(執筆時点)

series_img_148.jpg堀口 昌澄 (ほりぐち まさずみ)
アミタ株式会社 
総合環境ソリューション営業グループ
ナレッジソリューションチーム 主席コンサルタント(行政書士)

廃棄物のリスク診断・マネジメント構築支援、廃棄物関連のコンサルタント、研修講師として活躍中。最近では、廃棄物処理業者の評価/選定システムの構築も行っている。個人で運営しているブログ「議論de廃棄物」も好評を得ている。『日経エコロジー』にて廃棄物処理法に関するコラムを連載中。

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