敷島製パン株式会社|代表取締役社長 盛田淳夫氏 シリーズ「経営者が語る創業イノベーション」インタビュー(第四回) | 企業の環境・CSR・サステナビリティ戦略に役立つ情報が満載!

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コラム

敷島製パン株式会社|代表取締役社長 盛田淳夫氏 シリーズ「経営者が語る創業イノベーション」インタビュー(第四回)経営者が語る創業イノベーション

01_shikishima_top.png創業者は、社会の課題解決のため、また、人々のより豊かな幸せを願って起業しました。その後、今日までその企業が存続・発展しているとすれば、それは、不易流行を考え抜きながら、今日よく言われるイノベーションの実践の積み重ねがあったからこそ、と考えます。

昨今、社会構造は複雑化し、人々の価値観が変化するなか、20世紀型資本主義の在りようでは、今後、社会が持続的に発展することは困難であると多くの人が思い始めています。企業が、今後の人々の幸せや豊かさのために何ができるか、を考える時、いまいちど創業の精神に立ち返ることで、進むべき指針が見えてくるのでは、と考えました。

社会課題にチャレンジしておられる企業経営者の方々に、創業の精神に立ち返りつつ、経営者としての生きざまと思想に触れながらお話を伺い、これからの社会における企業の使命と可能性について考える場にしていただければ幸いです。

(公益社団法人日本フィランソロピー協会理事長 高橋陽子)

敷島製パン株式会社「経営者が語る創業イノベーション」インタビュー
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理念の流れを続けて圧倒的に支持される会社に

04_shikishima_001.jpg高橋:前回のお話では、次世代にたすきをつなぐ「新たなチャレンジ」として、国産小麦「ゆめちから」の需要拡大を目指して、テスト的であった「ゆめちから入り食パン」を発展的に解消し、「超熟 国産小麦」の販売を始めました。主力製品である「超熟」食パンにも「ゆめちから」を使うことで、国産小麦の社内自給率は16%。2020年には、それを20%にすると新たな目標が立ちあげられました。

創業の精神に常に立ち返り、「事業は社会に貢献するところがあれば発展する」との理念のなかで経営を進めていくことで、社員の採用に際しても変化がありますか?

写真説明:信じた理念の流れを続け、お客さまからパスコはいいねと圧倒的に支持されるような会社になりたいですね

盛田社長:新入社員の面接のときに、こういう活動に興味を持って入ってきましたという人もいました。

高橋:近年は、覇気のない人が多いともいわれていますが?

盛田社長:けっこう元気な人が多いですよ。特に、女性社員は元気ですね。目的意識もはっきりしている。消費者は女性が多いですし、その面でも期待しています。
親子二代で働いている社員もいます。息子さんや娘さんが入ったという話を聞くと、せっかく入っていただいたのだから、入社してよかったと思われる会社にしないといけないと、責任を感じます。

高橋:社外広報もですが、社内広報も重要ですね。この会社で働いてよかったと社員が思えて、子どもに自慢できる会社であることが一番嬉しいですね。
目標としては「2020年までに社内自給率を20%にする」と伺いましたが、社長としての、これからのチャレンジは?

盛田社長:自分が信じた理念の流れを続けたいと思うし、お客さまからパスコはいいねと圧倒的に支持されるような会社になりたいと思います。そのためにはなすべき事があり、いろんな課題があります。

高橋:社会貢献活動のひとつに、子どもたちの教育がありますね?

盛田社長:世の中のニュースなどを見ていると、いろいろな課題があることがわかりますが、われわれは、次世代育成のために、中学生・高校生を対象に「ゆめちから栽培研究プログラム」を実施しています。「ゆめちから」を実際に栽培して小麦の研究をしたり、食料自給率について学んだりしています。
参加した生徒さんからは、「小麦栽培に関わって、日本の問題を初めて考えた」とか「日々育てていく事の大事さがわかった」などの感想が届いています。

国産小麦ブランド化への一助に

04_shikishima_002.jpg高橋:「ゆめちから」は御社の屋上で、栽培されているんですよね。

盛田社長:北海道だと頻繁には行けませんから、身近で育つところを見たいなと思い、私が言いだして屋上で始めたんですよ。やってみたら、けっこういいのができます。

写真説明:国産小麦をブランド化する一助になることが、われわれの役目と語る盛田社長

高橋:名古屋は寒暖の差があるからでしょうか。

盛田社長:収穫の時期は明らかに違いますね。北海道は7月末くらい※ですが、うちは、創業記念日6月8日に収穫します。二ヶ月早いんですよ。収穫時期に雨に濡れるとよくないので、梅雨の雨にかからなければ大丈夫です。

※「ゆめちから」は秋蒔き小麦で、北海道では9月に植えて冬を越し7月に収穫する。(編集部)

高橋:小麦のブランドについては、消費者はほとんど知りませんよね。

盛田社長:米は、ブランド名を選んで直接に購入したりしますが、小麦は、パンになるとわからなくなってしまいます。
麺用には、業界でメジャーなブランドはありますが、一般には認知されていません。その点でも、ブランド化する一助になればと思っています。ブランド化は、実際に消費者と接して商品を供給する会社でないとできないと思うので、われわれの役目のひとつだと考えています。

軸となる「食料自給率の向上」への確信

04_shikishima_003.jpg高橋:「ゆめちから」に取り組むとなると、さっそく出かけて北海道の関係者と連携を進め、社内自給率を上げると決めると、次々と国産小麦のパンをだしていく。このやり遂げる情熱のようなものは、創業のお話と重なるところがあると感じます。その源泉はなんでしょうか。

写真説明:創業者 盛田善平氏

盛田社長:江戸の末期、代々酒造りの家に生まれた曾祖父は、酒税法の改正で家業の酒屋を廃業したあとに、叔父でミツカンの中埜家へ養子にいった四代目中埜又左衛門から「ビールづくりを手伝って欲しい」と頼まれ、独学でビールの醸造を学んで「丸三麦酒株式会社」の設立に携わりました。その後、衣服が和から洋に変化するなか、綿糸の糊づけに使用する糊の需要が増え「敷島屋製粉工場」という名前で製粉業を始めています。その後もインスタントうどんに挑戦したり、マカロニづくりに取り組んだりと、「庶民に日々愛されるものを」と商品開発に情熱を傾けたそうです。
そのころ第一次世界大戦があって、ドイツ人捕虜が名古屋の収容所に送られてきたそうです。そのなかに、おいしいパンを焼くドイツ人のパン職人がいて、パンの製造を思いたち、米の代用になるのではないかと考えました。その背景には、食糧難による米騒動※があった訳です。

※第一次世界大戦の終わる年1918年7月に富山ではじまった米騒動は、瞬く間に全国に広がった。(編集部)

曾祖父はアイデアマンで、戦前に亡くなっているので会ったことはないんですが、尊敬しています。いまでいうベンチャー起業家ですね。私は地味なほうですが。(笑)

企業家としては、会社経営上、自分自身に目標が必要です。到達すべき目標もなくやっていては、挫折するかもしれないし、消えてしまうかもしれない。ある種の旗印がないと、自分にとっても励みにならない。
もちろん不安感がないはずはなく、社長というのは崖っぷちに立っているような、逃げ場のない立場にあるという認識です。それは常にありますが、国産小麦の「ゆめちから」をやるとか「20%にする」ことは、ある意味で楽しいリスクです。夢であり、どうせやるなら、と思っています。

高橋:単なる自己実現ではなくて、社会のニーズ課題をなんとかしようというところが基点にあるから、嬉しいとか楽しいことにつながっていくんでしょうね。

盛田社長:社会から生かされているという感覚から、果たすべき役割や目標のなかに「ゆめちから」が入ってきました。
会社をどういう軸足でどういう方向に持っていくかは、社長の責任です。その軸が食料自給率の向上であり「ゆめちから」だった。それをしっかり確信しました。

高橋:大変貴重なお話をうかがうことができました。ありがとうございました。

話し手プロフィール

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盛田 淳夫 (もりた あつお)
敷島製パン株式会社
代表取締役社長

1954年 愛知県名古屋市生まれ。敷島製パン創業者・盛田善平のひ孫にあたる。1977年 成蹊大学 法学部卒業。日商岩井㈱を経て、1982年 敷島製パン㈱入社。常務・副社長を経て、1998年 代表取締役社長に就任。

主な編・著書 
「ゆめのちから 食の未来を変えるパン」 (ダイヤモンド社) (2014年)

聞き手プロフィール

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高橋 陽子 (たかはし ようこ)
公益社団法人日本フィランソロピー協会
理事長

岡山県生まれ。1973年津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。高等学校英語講師を経て、上智大学カウンセリング研究所専門カウンセラー養成課程修了、専門カウンセラーの認定を受ける。その後、心理カウンセラーとして生徒・教師・父母のカウンセリングに従事する。1991年より社団法人日本フィランソロピー協会に入職。事務局長・常務理事を経て、2001年6月より理事長。主に、企業の社会貢献を中心としたCSRの推進に従事。NPOや行政との協働事業の提案や、各セクター間の橋渡しをおこない、「民間の果たす公益」の促進に寄与することを目指している。

主な編・著書
『フィランソロピー入門』(海南書房)(1997年)
『60歳からのいきいきボランティア入門』(日本加除出版)(1999年)
『社会貢献へようこそ』(求龍堂)(2005年)

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