カレーハウスCoCo壱番屋|創業者 宗次德二氏 シリーズ「経営者が語る創業イノベーション」インタビュー(第二回) | 企業の環境・CSR・サステナビリティ戦略に役立つ情報が満載!

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コラム

カレーハウスCoCo壱番屋|創業者 宗次德二氏 シリーズ「経営者が語る創業イノベーション」インタビュー(第二回)経営者が語る創業イノベーション

cocoichi_header.jpg創業者は、社会の課題解決のため、また、人々のより豊かな幸せを願って起業しました。その後、今日までその企業が存続・発展しているとすれば、それは、不易流行を考え抜きながら、今日よく言われるイノベーションの実践の積み重ねがあったからこそ、と考えます。

昨今、社会構造は複雑化し、人々の価値観が変化するなか、20世紀型資本主義の在りようでは、今後、社会が持続的に発展することは困難であると多くの人が思い始めています。企業が、今後の人々の幸せや豊かさのために何ができるか、を考える時、いまいちど創業の精神に立ち返ることで、進むべき指針が見えてくるのでは、と考えました。

社会課題にチャレンジしておられる企業経営者の方々に、創業の精神に立ち返りつつ、経営者としての生きざまと思想に触れながらお話を伺い、これからの社会における企業の使命と可能性について考える場にしていただければ幸いです。

(公益社団法人日本フィランソロピー協会理事長 高橋陽子)

カレーハウスCoCo壱番屋「経営者が語る創業イノベーション」インタビュー
第1回 第2回 第3回 第4回

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行き当たりばったりに開店した喫茶店

cocoichi_2-001.JPG高橋:ご夫婦ではじめられた最初の喫茶店「バッカス」は、どのような経緯で?

宗次氏:結婚してから街の不動産屋をはじめると、運よく建売住宅を四棟扱うことになり、気楽でいい商売だなと思っていました。不定期な仕事なので、社交的な嫁さんに、不動産業の傍ら喫茶店でもやって現金商売をやるのはどうかと相談すると、「やりたいわ」との返事。その答えを聞いた直後に電話を取って、知り合いの不動産屋に物件がないか問い合わせました。そこで最初に紹介された場所に、決めたんです。その喫茶店のオープン日、飲食業の魅力に取りつかれ、まもなく不動産屋は廃業してしまって、喫茶店経営に専念しました。

画像説明:宗次ホールの一階の事務所には、天井までぎっしりと支援先の資料が並んでいる

高橋:かなり行き当たりばったりに、はじめられたんですね。

宗次氏:せっかちで、いつもそうですよ。市場調査なんかしないんです。一生懸命やれば、売り上げは伸びるものですから。

高橋:それは、不動産会社などで営業なさった経験からですか?

宗次氏:性格でしょうね。一般的には立地産業といわれるように、立地が全てと考えるものですが、気にしませんでした。自らの努力によって売り上げを伸ばす方が、喜びは大きいですから。

高橋:それどころか、立地の悪いほう、悪いほうにいっているような...。

宗次氏:わざとではないけれど、早くやりたいから、ふたつと選ばない。そのかわり、場末の喫茶店だと、一生懸命やらないとお客さまが増えないから、こころを込めてお迎えしました。

まごころと感謝のこころで接客

cocoichi_2-002.JPG高橋:まさに、なにもないところから「まごころ」経営がはじまったんですね。

宗次氏:ないといえば、名古屋の喫茶店では、モーニングサービスが絶対付くものだけれど、わたしたちは、お付けしませんでした。

※名古屋の喫茶店のモーニングサービス:午前中にコーヒー1杯の値段で、トーストやゆで卵、サラダなど店舗によってさまざまな朝食用のサービス品がつくこと。

画像説明:ココイチ経営時代のときからいまに至るまで、朝の四時には出社し、早朝の掃除も続けている

高橋:あえてそうなさっても、お客さまが減ることはなかった?

宗次氏:月を追って少しずつ増えましたが、最初はひどいもので、毎日パンの耳を食べて、生きながらえていました。でも、若い夫婦が中心になって一生懸命やっていると、モーニングはなくてもいいというお客さまもいて、やがては地域一番の超繁盛店になりました。

高橋:一番のポイントは、なんでしょうか?

宗次氏:接客だと思います。コーヒー1杯でも「お待たせいたしました」といってテーブルに置くと、シュガーポットを寄せてふたを取る。ハムや野菜のサンドイッチの端まで、具材がきっちりと入っている。そうやって謙虚にひたむきにお客さまに接すること。やはり、まごころと感謝のこころですね。

高橋:いつ、カレーを出そうということになったんでしょうか。

宗次氏:超繁盛したときに、出前もやろうということになりました。出前をするなら、ごはんメニューがあったほうがいいと、カレーライスとピラフをメニューに入れて、店のメニューでも提供しました。

高橋:そのカレーは、どんなものだったんですか?

宗次氏:業務用の缶詰カレーやレトルトカレーを試食ましたが、気に入らず、嫁さんが作った家庭のカレーが一番おいしいという結果になり、市販の固形のルーを使って煮込んで、仕上げに、嫁さん流のスパイスを二、三種類入れて、自分たちのカレーを出しました。

高橋:固形のルーだったんですか! あえてメーカーは聞きませんが。(笑)それが美味しかったんですね。

宗次氏:評判になったので、次の店はカレーにしようとそう思ったが早いか、店から近いことを条件に探しはじめ、深く考えず最初に紹介された、三軒長屋のなかの貸店舗を契約しました。次は店長で、店が決まった直後にコーヒーを飲みにきた、知り合いの電気屋さんの営業の人に「カレー屋の店長やらない?」と聞いたら「やります!」との返事で決まりました。

高橋:またしても、行き当たりばったりですね。(笑)それで、うまくいったんですか?

宗次氏:まるっきり素人の店長と経営者ですから、最初は失敗ばかりでした。でも、一度失敗したことは、繰り返しません。鍛えられているうちに、うまくいくようになりました。

高橋:それからの売り上げは順調に?
 
宗次氏:月を追って、日商で5千円ずつあがる感じでした。最初は2万数千円ではじまって、6万円になったら二号店を出すのが目標でした。ちょうど一年後に二号店をオープンできたときは、日商6万円、25日営業して月商150万の店になっていました。
普通は、飲食業で、日商6万円が目標ということは考えられません。喫茶店でしたら、粗利が8割ある商売ですから6万円でもわかりますが、食堂業だと原価が4割はかかりますから難しい。
でも結果的には、早く軌道にのらないほうがいいんです。やってみないとわからないことばかりなので、まず、ことを起すこと。そのかわり、脇目も振らず一生懸命やり続けることです。そうしたら、誰でも成功します。

東京でカレーを食べ歩いた直後に、やっぱり「ここが一番や」

cocoichi_2-003.JPG高橋:カレーをはじめたときから、企業家としてやっていこうと考えていらしたんですか?

宗次氏:とんでもないです。ただ夢中で、6万円になったら二号店を出そうと思っていただけでした。それが、翌年になると二号店、三号店と出すことになり、さらに四号店を出すことになりました。

高橋:「カレーハウスCoCo壱番屋」という名前は、いつから?

宗次氏:はじめからです。

高橋:「ここが一番や」という言葉の掛け合わせで、ユーモアのあるネーミングですよね。

画像説明:「謙虚にひたむきにといっておきながら、『ここが一番や』とは、謙虚さの微塵もないですね」(笑)

宗次氏:カレー屋を出そうとしたときに、東京で、カレーのチェーン店や高級店の1,800円のカレーなどを試してみたんです。でも、やっぱりうちのカレーが一番おいしいと、理屈抜きに思えました。その帰りの新幹線で、「カレーハウスCoCo壱番屋」(以降ココイチ)の屋号が決まったんです。謙虚にひたむきにといっておきながら、「ここが一番や」とは、謙虚さの微塵もないですね。(笑)

高橋:お客さまからのアンケートにもすべて目を通されたとか?

宗次氏:アンケートは宝物のような、ファンレターのようなものです。そこには、経営のヒントが詰まっていて、多くのことを学ばせていただきました。

高橋:接客に関しても、アンケートにはクレームや意見があったと思いますが、店が拡大してくると、従業員も増えてきます。その教育は、どのようになさっていたんですか?

宗次氏:トップが、一番厳しく自分自身でやり続ける事ですね。どこまでいっても社長次第。そうすると上司から部下に、また同僚同士で伝播していきます。売り上げは二の次で、一生懸命にいい接客をする店にすれば、売り上げは伸びていく。そのなかで、わたしの片腕も育っていくし、そういう人が全国に広がっていきます。

現社長は、唯一撤退した店舗の店長だった

cocoichi_2-004.JPG高橋:どんなに会社が大きくなっても、トップが誰よりも厳しくやり続けること、なんですね。

ところが、業績も絶好調のさなか53歳のときに、会社経営を譲りました。二号店にアルバイトで入社した浜島さんに引き継いだのは、どんなところからでしょうか?

宗次氏:やはり人間性ですね。裏表がある人には任せられません。その意味でまじめで誠実、公明正大で、実力もあった。それと創業の直後から、一緒に苦労を共にしてきたことがあります。わたしが社長時代に、唯一営業不振で撤退した店の店長だったんです。800店舗までやって、一軒だけ潰した。そのときの仕事ぶりを買いました。

画像説明:「いい会社になったら、次の人に。そこまでは、自分が先頭を切ってやるのが、わたし流なんです。経営は"駅伝"と同じです」

高橋:立地の悪いところで繁盛させてきたけれど、そこだけはダメだった?

宗次氏:場所が悪すぎたんです。昔栄えた通りでしたが、そのころでは2,300メートルいくと堤防にぶつかって、地元の人しか通らない場所でした。
そこに住み込んで一生懸命やってくれた。わたしも気になっていたので、常に一緒でしたから、その仕事ぶりは見ていました。半年で店を撤退することにしたんですが、1年後にオープンする岐阜の店の店長に抜擢したんです。その店に火が付いて、連日、昼だけでなく、休日もお客さまで溢れるようになって、売り上げは予測の3倍から4倍に。その店が、ココイチが発展するきっかけになりました。

高橋:以来、宗次さんとともに、やってこられたんですね。

宗次氏:気は短いほうだけれど、わたしが会議などで主張すると、ぐっと我慢していましたね。わたしだって、自分がいいと思うことは譲れませんから。そのかわり経営者でいる限りは、誰よりも厳しくやり続ける。その気持ちで続ければ、年を追って成長し会社の価値も高くなりますからね。充分やっていい会社になったら、次の人に。そこまでは、自分が先頭を切ってやるのが、わたし流なんです。

(つづく)

話し手プロフィール

mr.munetsugu_pro.jpg宗次 德ニ(むねつぐ とくじ)氏
カレーハウスCoCo壱番屋
創業者

1948年(昭和23年)10月14日 生(出身地 石川県)
1967年(昭和42年)3月 愛知県立小牧高等学校 卒業
1967年(昭和42年)4月 八(や)洲(しま)開発 株式会社 入社
1970年(昭和45年)2月 大和ハウス工業 株式会社 入社
1973年(昭和48年)10月 不動産業 岩倉沿線土地 開業
1974年(昭和49年)10月 喫茶店 バッカス 開業
1978年(昭和53年)1月 カレーハウスCoCo壱番屋創業
1982年(昭和57年)7月 株式会社壱番屋設立 代表取締役社長 就任
1998年(平成10年)6月 株式会社壱番屋 代表取締役会長 就任
2002年(平成14年)6月 株式会社壱番屋 創業者特別顧問 就任
※肩書  カレーハウスCoCo壱番屋 創業者

その他経歴
2003年(平成15年)1月 NPO法人 イエロー・エンジェル設立 理事長就任
2007年(平成19年)3月 クラシック専用「宗次ホール」オープン 代表就任
2012年(平成24年)4月 株式会社 ライトアップ(※講演依頼窓口)設立 代表就任
2013年(平成25年)7月 NPO法人 クラシック・ファン・クラブ設立 理事長就任
      
■ 著書 
「宗次流日めくり 達人シリーズ 日々のことば」2009.11
「日本一の変人経営者」(ダイヤモンド社)  2009.11
「CoCo壱番屋 答えはすべてお客様の声にあり」(日経ビジネス人文庫)
「夢を持つな! 目標を持て!」(商業界) 2010.11

■ 表彰
アントレプレナー大賞部門
中部ニュービジネス協議会会長賞 受賞 1994年11月
2004年 第6回企業家賞 受賞 2004年6月
まちかどのフィランソロピスト賞 受賞 2007年11月
名古屋市芸術奨励賞 受賞 2012年1月
(http://www.munetsugu.jp)

聞き手プロフィール

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高橋 陽子 (たかはし ようこ)
公益社団法人日本フィランソロピー協会
理事長

岡山県生まれ。1973年津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。高等学校英語講師を経て、上智大学カウンセリング研究所専門カウンセラー養成課程修了、専門カウンセラーの認定を受ける。その後、心理カウンセラーとして生徒・教師・父母のカウンセリングに従事する。1991年より社団法人日本フィランソロピー協会に入職。事務局長・常務理事を経て、2001年6月より理事長。主に、企業の社会貢献を中心としたCSRの推進に従事。NPOや行政との協働事業の提案や、各セクター間の橋渡しをおこない、「民間の果たす公益」の促進に寄与することを目指している。

主な編・著書

  • 『フィランソロピー入門』(海南書房)(1997年)
  • 『60歳からのいきいきボランティア入門』(日本加除出版)(1999年)
  • 『社会貢献へようこそ』(求龍堂)(2005年)
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