「CSR」×「投資」―研究者の視点 大阪国際大学教授 宮﨑哲也氏(3/3) | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載

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「CSR」×「投資」―研究者の視点 大阪国際大学教授 宮﨑哲也氏(3/3)リレーコラム

Some_rights_reserved_by_thinkpanama_2.jpg今回の連載では、CSR、マーケティング、IR等の研究を行っておられる、大阪国際大学教授の宮﨑哲也氏に、研究者の視点から「CSR」と「投資」の関係についてお伺いいたしました。
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自社の長期的なビジョンを踏まえた重点課題の明示と、メリハリのある構成を心がけるべき。
CSRレポートや環境報告書などを見る際は、企業判断の指標として、特にどのような項目を重点的にチェックされますか?
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もちろん業績等の数値も見ますが、気になるのは、トップからのメッセージと企業の今後のビジョンについての記述です。世界的な投資家ウォーレン・バフェットも「株を買うのではなく会社(経営者)を買え」と述べ、投資先の選定のポイントに経営者の資質を上げています。

もちろん、メッセージからすべてを読み取ることはできないでしょうが、少なくとも、これから企業が進む方向性を垣間見ることはできます。ビジョンに関しては、その内容もさることながら、なぜそのようなビジョンに至ったのかという背景や理由、思い入れが明確に述べられているほうが、投資家サイドとしては好感が持てると思います。

また、CSRにかかわるあらゆる項目を網羅的に羅列しているような報告書にはあまり魅力を感じません。自社の長期的なビジョンを踏まえた重点課題を明示し、メリハリのある構成を心掛けるべきではないでしょうか。当然、社会的課題と自社の事業との関連性を意識した内容が盛り込まれているかも重要だと考えています。

さらに、特に一般の個人投資家にとっては、文章の分かり易さに加え、図解、イラスト、色彩を含めた紙面の見易さも大切です。ただし、単なるイメージに偏るのは問題であり、定性的な表現と定量的な数値等のバランスがとれているかどうかも気になるところです。

CSRJAPAN*1をご覧になってのご感想をお聞かせください。

シンプルな作りで、必要な情報がすぐに取り出せるつくりになっているようですね。また、CSRレポートが並べて表示されるのも便利だし、企業や業種を超えて「項目」ごとにレポートの検索が可能で、複数の企業のレポートを、それぞれの企業ページに行かずに、すぐに取り出せるのは魅力です。さらに、さまざまな企業の報告書が簡単に比較できる点は特筆すべきメリットと言えるでしょう。そして、iPadやiPhoneでも閲覧可能な点はモバイル中心時代の利便性要求に対応しているとの印象を持ちました。

宮崎先生はコトラーの解説書も書かれています。今後のCSR活動の方向性として、社会貢献活動や環境保全活動への寄与といった側面だけでなく、マーケティング3.0にあるような「企業からユーザー、あるいはステークホルダーへの社会的価値創造の提供が最強のマーケティングとなるだろう」といった観点や、CSR活動の可能性へのご意見、アドバイスをいただけますでしょうか?

コトラーは、マーケティング1.0は製品中心の段階、マーケティング2.0は消費者志向の段階、そしてマーケティング3.0は、価値主導の段階だと指摘しています。

かつては企業と社会はある意味で対立的関係にあると見られていたのですが、いまや企業は社会という土壌に生育し、花や実をつけ、さらにその土壌(社会)の豊かさに貢献するという互恵的な関係ないし一体的な関係にあると捉えるべき時代になってきています。

つまり、社会が良くなければ企業は育たないし、逆に企業が社会的価値を創造・提供し、問題解決をしていかなければ社会がダメになるという考え方です。 コトラーが指摘する「コーズ(リレーテッド)マーケティング*2」や「コーズ・プロモーション*3」は、企業イメージや存立基盤をより良くし、売上の向上はもちろん、投資家からの資金が集まりやすくなるといった効果も期待されています。

いずれにしても、今後は、CSR活動をいかに競争優位性や企業価値の向上に結び付けられるかが、企業発展の極めて重要なポイントとなることでしょう。 私は、世界は「企業側による一方的な価値物の提供」から「価値創造の民主化」へと徐々に転換していくと考えています。

前者は、簡単に言えば「企業は企業、顧客は顧客」というように、各自がバラバラな存在で、ただ必要なときに関わりを持つという考え方です。 一方、後者は、企業、顧客、投資家といったステークホルダーが全体的に協力し、調和して、大きな価値を生み出す、という考え方です。 私見では、今後ますますステークホルダー同士の境界線が薄くなり、互いに協調して価値創造を行う機運が高まることでしょう。

またそれと軌を一にして、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアが急速に台頭しています。今後は、ステークホルダーの声を、こうしたソーシャルメディアを通じて積極的かつリアルタイムで吸い上げ、成果を還元するようなCSR活動も求められるようになるでしょう。

*1:CSRJAPAN・・・2010年11月4日~2017年6月29日までアミタ(株)が運営していたWebサイト。2017年6月29日以降は「おしえて!アミタさん」サイトに統合

*2:コーズリレーテッドマーケティング:企業が製品の売上で得られた利益を、社会に有益な活動を行っている組織に寄付するといった活動を通じて、消費者の共感を呼び、売上の向上を目指すもの。コーズ(cause)とは、自社の社会への「主張」の意味。

*3:コーズ・プロモーション:企業自らが社会的に重要と考える分野に貢献することで、自らの存立基盤を強固なものにする行動。例としては、IT企業がPC教師の育成事業を無償で行うことなどがあげられる。

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執筆者プロフィール
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宮﨑 哲也 氏
大阪国際大学
国際コミュニケーション学部教授

福岡大学大学院商学研究科博士課程終了。CSR、マーケティング、IR等の研究を行う傍ら、経済、経営、自己啓発関係の執筆および講演活動を行っている。 『フィリップ・コトラーの「マーケティング論」がわかる本』(秀和システム)、『コトラーのマーケティング理論が面白いほどわかる本』(中経出版)、『図解でわかるM&A』(日本実業出版社)、『新しい大衆「ロウアーミドル」は、こうしてつかめ!』(PHP)など著書多数。

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