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コラム

Global Risks Reportから考える、世界が注目する環境リスクが企業に与える影響と機会とは 初心者向けSDGsから未来の市場を創る!~社会を変える事業を創出し、社会から選ばれる企業を目指す~

Some_rights_reserved_by_lessa.clayton.jpg企業経営のひとつの軸となりつつある「SDGs」。しかし、戦略的に経営に組み込めている日本企業はまだわずかです。連載第3回では「目標14(海の豊かさを守ろう)」「目標15(陸の豊かさも守ろう)」を取り上げ、SDGsを競争力のある戦略・戦術に落とし込むためには、何をすべきなのか?世界の最新動向をご紹介しながら、解説します。

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※本記事は、企業の事業開発者のためのWebメディア「Biz/Zine」へ、寄稿した内容を一部編集し、掲載しています。
※本記事は2018年4月の記事を、2020年1月28日に最新情報に基づき更新したものです。

重大なビジネスリスクTOP10に変化あり―世界が注目する環境リスク

毎年1月にダボスで開催される、経済、政治、学究などのリーダーたちにより組織される世界経済フォーラムの年次総会に合わせ「グローバルリスク報告書2020」が発表されました(2020年1月発表)。本報告書では、30個のリスクに対して、世界の政府、ビジネス、市民社会の関係者約1,000人以上がアンケートに回答。これらの回答に基づき「この先10年間で発生の可能性と負の影響の高いリスクは何か」、発表しています。意思決定者となるビジネスリーダーにとっては、自社のリスクを考える上で非常に重要な調査結果です。本報告書が15回目の報告となります。

2010年頃までは、政治や金融に関するリスクが上位を占めていましたが、近年では、異常気象、自然災害、気候変動対策の失敗など環境面に関することが上位を占めるようになっています。

▼グローバルリスクの展望2020

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※1:上図は2020年の結果に基づくものであり、緑色のマークで示されているのが「環境リスク」となります。縦軸が与える影響の大きさ、横軸が、リスクが発生する可能性の大きさを示しています。(出典)Global Risks Report2020

▼発生の可能性が高いリスク上位10位

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▼影響が大きいリスクの上位10位

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(出典)Global Risks Report2018Global Risks Report2020 をもとにアミタ(株)が作成

2018年の報告書では、環境分野のリスクは「発生の可能性が高いリスク」においても「影響が大きいリスク」においても、それぞれ4つのリスクが挙げられていました。しかし、今回の2020年の報告書では、環境に関してそれぞれ5つのリスクが挙げられており「発生の可能性が高いリスク」では、上位5位が、すべて環境に関するリスクとなっています。数年の間にも、環境に関するリスクがますます注目を集めていることがわかります。

SDGsにおいては、海や森の豊かさを守ることの重要性を認識するために、しばしばヨハン・ロックストローム氏とパヴァン・スクデフ氏による「SDGsウェディングケーキモデル」が紹介されます。「海や森の豊かさや自然」に関する目標が土台となっており、その上に「社会と経済」に関する目標が置かれていることがわかります。これは、空気、水、食料など、自然や生物からもたらされるさまざまな恵みによって、私たちの日々の暮らしや経済活動は支えられていることを示しています。この基盤を持続可能な形で維持し、地球上の誰一人として残さずに、その恩恵を受けられるようにすることがSDGsのゴールです。

具体的な目標として、それぞれ以下が掲げられています。

「目標14(海の豊かさを守ろう)」

海洋及び沿岸生態系の保全、海洋汚染の予防、海洋資源の持続可能な利用によって小島嶼開発途上国(※2)と後発開発途上国(※3)の経済的利益を増大させること。

「目標15(陸の豊かさも守ろう)」
陸域生態系の保全・回復、森林の持続可能な経営、砂漠化など土地の劣化の阻止、生物多様性の損失に終止符を打つこと。

※2:太平洋・西インド諸島・インド洋などにある領土が狭く、低地の島国のこと。小島開発途上国は、小さな島で国土が構成されるため、地球温暖化による海面上昇の影響や、人口減少、自然災害など島国固有の脆弱性のために、持続可能な開発が困難だとされています。
※3:国連が定める社会的・経済的な国の分類の一つ。開発途上国の中でも特に開発が遅れている国々のことを指します。LDCs(Least developed countries)と呼ばれます。

「5つの分野」から見る、対策の遅れや失敗が企業に与えるリスクとビジネスチャンスとは?

それでは、生物多様性の喪失や生態系サービス(※4)の劣化に対する対策の遅れや失敗が企業に与えるリスクとは何でしょうか?また一方で新たなビジネスチャンスをもたらす可能性もあります。WBCSD(※5)から発表された「The Corporate Ecosystem Services Review」では、リスク及びチャンスを下記の通り例示しています。

■操業関連
(リスク)水不足による淡水コストの増加、原材料の不足・コストの増加、洪水による沿岸事業への打撃など
(チャンス)水の利用率向上、湿地帯の設置より水処理インフラの不要化など

■規制・法律関連
(リスク)新たな罰金・使用料、政府の規制、訴訟など
(チャンス)政府等を巻き込み、生態系サービスの保護や復元に取り組むなど

■評判関連
(リスク)企業ブランドの悪影響、抗議運動など
(チャンス)持続可能な調達・操業・投資を実行し、企業ブランドの差別化を図るなど

■市場・製品関連
(リスク)顧客のサプライヤー変更、政府による持続可能な調達政策の実施など
(チャンス)生態系の負荷を低減させる商品・サービス導入、自社所有の自然資本の活用など

■財務関連
(リスク)貸付の融資条件の厳格化、金融市場での低い格付けなど
(チャンス)生態系の負荷低減や復元に貢献する商品・サービス導入への有利な投資条件など

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サプライチェーンの各ステージと生物多様性の関係性(アミタ株式会社作成)

このように企業経営において、さまざまな面でリスクとチャンスがもたらされます。企業は自社の事業所に限定せずに、開発、調達、製造、販売、利用、廃棄など、サプライチェーンの各プロセスにおいて、自然資本を利用し、生物多様性に対し影響を与えていることを認識しなければいけません。そして、それは、ステークホルダーに広く認識され始めており、サプライチェーン全体での影響把握、管理が企業経営の一環として求められているのです。

現在、CO2排出量の削減量や再生可能エネルギーの導入量など、目標や成果が数値化しやすい特徴もあり、気候変動やエネルギーに対する企業への要求が大きな注目を集めています。しかしながら、社会や経済活動の基盤となっている自然資本は、企業が与える影響が甚大であるため、今後ますます企業経営の意思決定において、重要なポイントになってくることは逃れようのない事実だと思います。自社のサプライチェーン全体を俯瞰して、将来的なリスクとチャンスから目をそらさずに見極め、半歩先、一歩先の取組みに挑戦していくことが企業の競争力につながっていくのではないでしょうか。

※4:食料や水の供給、気候の安定など、生物多様性を基盤とする生態系から得られる人類に有益な機能(サービス)のこと。
※5:WBCSD(World Business Council for Sustainable Development:持続可能な開発のための世界経済人会議)は、持続可能な開発を目指す企業約200社のCEO連合体で、政府やNGO、国際機関と協力し、持続可能な発展に関する課題へ取り組んでいます。

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執筆者プロフィール(執筆時点)

Mr.Suetsugu.png末次 貴英(すえつぐ たかひで)
アミタ株式会社
環境戦略デザイングループ グループリーダー

これまで100社以上の企業に、サステナブル経営のためのビジョン策定、環境戦略立案、CSR・CSVコンサルティング、環境取り組みのアウトソーシングサービス等を提供している。森林管理と酪農を組み合わせた「森林酪農事業」の立上げや、大型バイオガス発電施設の工場長、産業廃棄物のリサイクル営業等の経験を活かした、現場感・手触り感のあるコンサルティングが持ち味。

更新者プロフィール(更新時点)

山田 潔佳(やまだ きよか)
アミタ株式会社
サステナビリティ・デザイングループ マーケティングチーム

大阪府出身。神戸市外国語大学英米学科を卒業後、2019年度にアミタに合流。大学時代には、食や農への興味からヨーロッパで持続可能な農業に従事。現在も持続可能な社会の実現に向け、アミタで奮闘中。

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