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コラム

収集運搬契約書作成のよくある疑問
~処分場や収集運搬業者が複数の場合はまとめて記載できるのか?~
BUNさんの「元・行政担当者が語る 廃棄物管理のイロハ」

Photo_by_Cytonn_Photography_on_Unsplash.jpg今回は、処理業者への委託契約書を作成する際のよくある質問にお答えします。

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Photo by Cytonn Photography on Unsplash

Q&A

Q:

収集運搬契約で複数の運搬目的地を記載することは可能ですか?注意点はありますか?
具体的には、現在、お抱えの収集運搬業者があり、複数の処分場に運搬をしてもらっています。それぞれに収集運搬契約を締結するのは面倒なので、まとめて締結したいのです。

A:

契約の当事者が明確であり、(排出事業者A、収集運搬業者B)であり、委託する業務の内容がBの許可の範疇(事業の範囲)であるなら、運搬先が複数になろうと構いません。
たとえば、山形県の収集運搬業の許可を有している収集運搬業者Bに「廃プラスチック類については米沢市(山形県内)の処分業者へ、汚泥については酒田市(山形県内)の処分業者へ運搬すること」のように契約することは可能でしょう。
一回一回の運搬については、マニフェストで明示することになりますから、確認することも可能です。
注意点としては、当たり前のことではありますが、収集運搬業者の許可範囲や期限をしっかり確認しておくことです。事業の範囲でなければ、受け手の処理業者は、無許可(または事業範囲の無許可変更)、排出事業者は委託基準違反となってしまいます。

Q:

積み替え保管をする場合の契約はまとめてもよいですか?
具体的には、複数の収集運搬業者が関与する場合、すべての収集運搬業者と契約を締結する必要があると思います(区間委託)が、この場合は個別にそれぞれの業者と契約を結ばなくてはならないのでしょうか?
それともまとめて、一本の契約でよいのでしょうか?

A:

「複数の収集運搬業者が関与する場合」という質問ですから、契約の当事者が複数人存在するケースのことだと思われます。
たとえば、排出事業者A、B、C、収集運搬業者X、Y、Zとなった場合などを想定してのことと思いますが、A、B、C、X、Y、Zを1本の契約にするのは無理があるでしょう。これでは、誰が誰に委託しているのかがわからないからです。
しかし、物理的に1枚の紙であっても、「誰が誰に何を委託するのか」が明確であり、法定記載事項が網羅されているのであれば、違法とは言えないでしょうね。
たとえば、紙は1枚であっても、「Aの廃プラスチック類はXに委託する」「Bの汚泥はYに委託する」のように記載していれば、ということです。
ただ、現実的には契約書の保存期限の関係や、印紙税の関係もありますから、やはり、当事者は「甲と乙」程度にとどめて、わかりやすい契約書にしておくことをお薦めいたします。

最後に

書面での契約や契約書への法定記載事項の記載は排出事業者の法的義務です。処理を受託する処理業者の義務ではありません。仮に処理業者が用意した契約書案に法定記載事項の不備があった場合でも、廃棄物処理法違反となるのはあくまで排出事業者です。
ただし、「契約」である限り、廃棄物処理法の委託契約も他の「契約」と同様に民事上の責務は契約当事者双方に存在します。公序良俗に反しないように、甲乙双方とも誠実に履行することが求められます。
法定記載事項をしっかりと記載した上で、契約者双方はもちろん、コンプライアンス面を考えると、第三者視点でも誤解や過不足のない契約書作成を目指す必要があります。
下記の記事も参考にしてみてください。

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執筆者プロフィール(執筆時点)

長岡 文明 (ながおか ふみあき)
アミタ株式会社 特別顧問

山形県にて廃棄物処理法、廃棄物行政、処理業者への指導に長年携わり、行政内での研修講師も務める。2009年3月末で山形県を早期退職し、廃棄物処理法の啓蒙活動を行う。廃棄物行政の世界ではBUNさんの愛称で親しまれ、著書多数。元・文化環境部循環型社会推進課課長補佐(廃棄物対策担当)。

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