廃棄物処理法はこうやって学ぶ!:その3 具体的な事案の調べ方 | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載

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コラム

廃棄物処理法はこうやって学ぶ!:その3 具体的な事案の調べ方BUNさんの「元・行政担当者が語る 廃棄物管理のイロハ」

20190702_image001.jpgこれまで2回にわたり、廃棄物処理法(以下、法)の勉強の方法について述べてきました。今回はいよいよ、例として「産業廃棄物処理業の変更許可とはどのような時に必要なのか?」を調べてみましょう。

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目次

手順1:三段法令集の見出しであたりをつける

お手元に、三段法令集がある人は実際に調べてみてください。(極論として、三段法令集は法令そのものですから、もしここに事案が出てこないのであれば、それは廃棄物処理法では規定していない、ということになります。)前回ご紹介しましたが、三段法令集には冒頭に「見出し」が付いています。これをもとに「産業廃棄物処理業の変更許可」を探してみます。
見出しには「章」「節」が付いています。第1章が「総則」、第2章「一般廃棄物」、そして第3章が「産業廃棄物」となっていますから、探す「産業廃棄物処理業の変更許可」はこの3章に記載しているだろう、と想像がつきますね。
次に「節」を見ると第1節「産業廃棄物の処理」、第2節「情報処理センター・・・」、第3節「産業廃棄物処理業」と出てきますから、探す「産業廃棄物処理業の変更許可」はここに記載しているだろう、と想像がつきます。
そして「14の2 変更の許可等」244頁(平成31年JW版)とありますから、ついにこの頁をめくります。いよいよ、実際の条文です。

▼法 第14条の2

(変更の許可等)
第十四条の二 産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者は、その産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分の事業の範囲を変更しようとするときは、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、その変更が事業の一部の廃止であるときは、この限りでない。

この文章を日本語として読めば「事業の範囲を変更しようとするとき」が「変更許可」の対象となる行為だ、とわかりますね。ところが、ここで問題が出てきます。「事業の範囲」とは何か?

手順2:法律から、関連する政省令を調べる

そこで、ここからは推理小説のようになるのですが、推理を働かせます。そもそも「変更許可」何だから「何らかの元々の事項があって、それを変更する」ということ何だろう。では「元々の許可申請について見てみなくてはならない」のではないか、と。そこで、改めて許可申請の条項を調べてみることにしましょう。
すると、産業廃棄物処理業の許可の一番に出てくるのは普通の産業廃棄物の収集運搬業の許可であり、これが法律第14条第1項に規定しているとわかります。

▼法 第14条 第1項

(産業廃棄物処理業)
第十四条 産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。以下この条から第十四条の三の三まで、第十五条の四の二、第十五条の四の三第三項及び第十五条の四の四第三項において同じ。)の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、産業廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその産業廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。

そして、この法律第14条第1項を受けた省令が、省令第9条の2だとわかります。(ここが三段法令集のいいところです。この法律第14条第1項が掲載している 下の段に省令第9条の2が掲載されているんですね。)

▼省令 第9条の2

(産業廃棄物収集運搬業の許可の申請)
第九条の二 法第十四条第一項の規定により産業廃棄物収集運搬業の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した様式第六号による申請書を都道府県知事に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 事業の範囲
三 事務所及び事業場の所在地
四 事業の用に供する施設の種類及び数量
五 積替え又は保管を行う場合には、積替え又は保管の場所に関する次に掲げる事項
(以下略)

新規の許可の時に「事業の範囲」を明示して申請していた訳ですね。これを変更する時は「変更許可」になるということですね。

手順3:キーワードによる検索

でも、ちょっと待ってください。これでは新規許可申請の時に「事業の範囲」に記載した事項は全て変更許可の対象になってしまうということになりますよね。
例えば、この事業の範囲に「山形県長岡町5丁目に所在しているBUN酪農から出る牛乳をチーズにします」とか書けるんでしょうか?もし書いたら「C畜産のふん尿を運ぶ」という時は変更許可になってしまうのでしょうか?そう考えると、何でも書けばいいってことじゃないことだけは確かのようです。
そこで、この「事業の範囲」とは何を指すのかを改めて調べてみましょう。もうこうなると、三段法令集を最初から読み直しするしかないでしょう。
昔は、本当に一から読み直したものです。しかし、今は便利になりましたね。キーワードさえわかれば、電子的に検索をすることができます。そこで法律、政令、省令の全部の条文を対象に「事業の範囲」で検索をかけてみます。結果として、今回は残念ながら前述の意味を超える規定は出てこないようです。(これで出てくる時も多いので、この作業は飛ばさない方がいいと思います。)

手順4:通知を調べる

さて、法令で明確な規定が無いとすると、いよいよ「通知」です。「通知」も先に紹介した「廃棄物処理法の解説」にCDが付いていますし、環境省のWebサイトで検索してもいいでしょう。すると結構な数が出てくると思いますが、直近では下記の通知が参考になります。

▼平成30年3月30日環循規発第18033029号「産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)」

第1 産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業の許可について

1 許可の申請
申請に係る事業の範囲は、収集運搬業にあっては積替えの有無及び取り扱う産業廃棄物の種類(石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等が含まれるか否かを含む。以下同じ。)により、処分業にあっては中間処理又は最終処分の区分及び焼却処分、埋立処分等の中間処理又は最終処分の内容並びに取り扱う産業廃棄物の種類により示されるものであることから、許可の申請はその区分に従って行われるものであること。(以下略)

これで初めて「事業の範囲」というものがわかりましたね。「事業の範囲」とは「産業廃棄物の種類」と「処理の方法(収集運搬の場合は、積替保管の有無)」なんですね。
もし手元に産業廃棄物処理業の許可証があれば見てみてください。
だいたい半分位の箇所に「事業の範囲」という欄がありますね。ここに例えば「廃プラスチック類の破砕」とか「木くずの焼却」とか記載していますよね。
だから、今まで「廃プラスチック類の破砕」の許可しか取っていなかった会社が「木くずの破砕」もやりたいとなると、これは処理方法である「破砕」は同じですが、産業廃棄物の種類が追加変更になります。だから「変更許可」が必要となります。
同じように「廃プラスチック類の破砕」の許可しか取っていなかった会社が「廃プラスチック類の焼却」もやりたいとなると、これは産業廃棄物の種類である「廃プラスチック類」は同じですが、処理の方法が追加変更になります。だから「変更許可」が必要となります。

その他:「変更しても変更許可にならない行為」とは?

お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが「変更しても変更許可にならない行為」というものも存在します。法律第14条の2の第3項を見てください。

▼法第14条の2の第3項

3 第七条の二第三項及び第四項の規定は、産業廃棄物収集運搬業者及び産業廃棄物処分業者について準用する。この場合において、同条第三項中「一般廃棄物の」とあるのは「産業廃棄物の」と「市町村長」とあるのは「都道府県知事」と、同条第四項中「前条第五項第四号イからヘまで又はチからヌまで(同号チからヌまでに掲げる者にあつては、同号ト」とあるのは「第十四条第五項第二号イ(前条第五項第四号トに係るものを除く。)又は第十四条第五項第二号ハからホまで(前条第五項第四号ト又は第十四条第五項第二号ロ」と「市町村長」とあるのは「都道府県知事」と読み替えるものとする。

ちなみに、これが廃棄物処理法名物の「準用」「読み替え」です。「第七条の二第三項」の文章の「一般廃棄物」という文言を「産業廃棄物」と入れ替えて「市町村長」という文言を「都道府県知事」に入れ替える訳ですね。
最近の三段法令集は親切で、これを入れ替えた文章を掲載してくれるようになりました。(ただ、時々、間違っていたりするので、最初は自分で入れ替えをやってみましょう。この入れ替え作業をやっていると「あれ?この条文はそのままなのか?この文言は入れ替えるのに、こちらは入れ替えないのか?」といったことで、一般廃棄物と産業廃棄物の規定の違いなどもわかってきますので。)

さらに詳しく調べます。三段法令集では、この法律第14条の2第3項の下の段、すなわち省令を見ると次の条文が見つかります。

▼省令 第10条の10

省令(産業廃棄物処理業に係る変更の届出等)
第十条の十 法第十四条の二第三項において準用する法第七条の二第三項の規定による環境省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 氏名又は名称
二 法第十四条第一項又は第六項の許可を受けた者に係る次に掲げる者
イ 法第十四条第五項第二号ハに規定する法定代理人
ロ 役員
ハ 発行済株式総数の百分の五以上の株式を有する株主又は出資の額の百分の五以上の額に相当する出資をしている者
ニ 令第六条の十に規定する使用人
三 事務所及び事業場の所在地(住所を除く。)
四 事業の用に供する施設(運搬容器その他これに類するものを除く。)並びにその設置場所及び構造又は規模
(以下略)

だいたい想像付くと思いますが、ここに具体的に掲げている「一 氏名又は名称」「三 事務所及び事業場の所在地」「四 事業の用に供する施設」などを変更した時は「届出(変更許可ではない)」になるんですね。これで「変更しても許可の対象にならない行為」がわかりました。

まとめ

もし、ここまでのことをレポートとして報告書にするとすれば、次のようになりますね。

<報告書例>

  • 産業廃棄物処理業の変更許可に関しては、法律第14条の2第1項に「事業の範囲」を変更しようとする時は許可を受けなければならない旨を規定している。
  • 「事業の範囲」とは新規許可申請する時に申請しなければならない事項として省令第9条の2第1項第2号で定められているものである。
  • 具体的には、直近では平成30年3月30日付けで環境省から「許可事務について」という通知が発出されていて、その通知の中に「事業の範囲」とは「産業廃棄物の種類とその処理方法である」旨を記載している。
  • よって、取り扱う産業廃棄物の種類や処理方法を変更するときは、あらかじめ「変更許可申請」を行い許可証が交付されてから実際の行為を行うことが必要である。

どうでしょう。今回は「産業廃棄物処理業の変更許可」を題材に、どのような手順で調査、勉強していくかを述べてみました。もちろん、各自各様な方法はあるでしょうし、結論さえ聞けばいい、という方もいらっしゃるでしょう。でも、ある程度長く廃棄物処理法と付き合わなければならない人や理屈が通ったお仕事をやりたいという方は、こんな方法をお試しになるのもいいかなぁと思います。

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執筆者プロフィール(執筆時点)

長岡 文明 (ながおか ふみあき)
アミタ株式会社 特別顧問

山形県にて廃棄物処理法、廃棄物行政、処理業者への指導に長年携わり、行政内での研修講師も務める。2009年3月末で山形県を早期退職し、廃棄物処理法の啓蒙活動を行う。廃棄物行政の世界ではBUNさんの愛称で親しまれ、著書多数。元・文化環境部循環型社会推進課課長補佐(廃棄物対策担当)。

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