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「普通のママ」が最初の一歩を踏み出せる場としくみを作りたいリレーコラム

01_top_image.jpg現在、SDGsの浸透などで、企業も行政も女性活躍を推進しています。働きやすさや子育て支援など様々なものがありますが、子育て主婦が社会で活躍するインフラを作るというのは、案外少ないような印象を持ちます。子育てママの日々は本当に不安定です。そのため、いつでも参加できるような常設の場が必要です。今回は、ママたちが社会とつながれるコミュニティスペースを作ろうとしている団体、good neighborsの代表、佐村さえこ様と丸山なおこ様に、ママの課題、可能性、これからお二人が実現されようとしている事業構想について、お話をうかがいました。

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違う道で進んできた二人に共通の想い「普通のママ」の可能性

もともと佐村様は、ママたちの発表・交流の場でもある「いこママまるしぇ」の実行委員長を、丸山様は奈良に大好きな手作り市を作りたいという想いから「こま市」の発起人を務めておられる生駒でも一目置かれるママさんです。そのお二人がなぜ今回good neighborsを立ち上げたのかというところをお聞きしました。

02_ikomamamarushe.jpgいこママまるしぇの様子 03_kokmaichi_zentai.jpgこま市の様子

佐村氏:「二人とも似た時期に子育てをしていました。当時はママが出会える場や歓迎される場が少なかった。今でこそ多少緩和されていますが、電車やバス、レストランやカフェなどは子連れでなかなか出掛けにくかったんです。私は今のママたちには、そんな育児してほしくないと思って活動をはじめました。」

丸山氏:「私が常々課題に感じていたのは、生駒は引っ越しで転入してくる人が多いのに、ママがコミュニティに入ることが難しい。私はgood neighborsを引っ越ししてきた人が最初に相談しに来るような場、まちのいろいろを教えてあげられる場にしたいと思っています。将来的には、生駒市に引っ越ししてきた人の案内書に、電気、ガス、水道と同じような感じでgood neighborsの案内書が入っていて、私たちが最初にこのまちのいろいろを御案内できるような存在にしたいです。もしその状態が作れたら、子どもの人数や状況も把握できて、周りの支援、関わり方も変わると思うんですよね。」

佐村氏:「今、世間では女性の活躍を推進する施策がとても多いのですが、仕事などをとても頑張る人のようなトップランナーの支援が多いと思うのです。私たちは、主婦でありながらも活躍したい人の支援をしたいと思っています。いわゆる『普通のママ』たちが社会とつながり、活躍できる場としくみを作りたいのです。

そういった想いをもって、私も丸山もそれぞれのイベントで可能性を広げるべく、月1回、2回とイベントを改善、安定、改定していきまいたが、やはり常設の場が必要だと考え、今回の企画が生まれました。」

ママの不安定を支える「常設の場」と「仕事作り」の必要性

04_space_image.jpg佐村氏:「ママたちの毎日はとても不安定なんです。子どもの機嫌、体調、家族の都合などでその日が急に動けなくなる。このイベント行こう!と予定していても急にだめになるんです。でも常設なら、行ける機会も助けを求められる可能性も増やせます。『今日ならいける』・『今日ならできる』を形にする場を作りたいと思ったんです。
(イラストは現在構想中のシェアスペース完成図。クリックすると拡大します。)

あとは、5年間のイベント運営でボランティアの可能性と共に限界も感じました。お金に関係なくやりたいことはもちろんあるけど、対価が発生することによってモチベーションになることもある。すべてを無償では回せないし、関係できる人や投じられる時間に限りがあります。より継続的に、より多くのママたちと続けていこうと思うと、ボランティアではなく仕事としての活動が必要だと思いました。

お金を地域内にまわすことは社会貢献にもつながると思っています。儲けというよりも、生活に必要なこと。だから、有償ボランティアなり、仕事に仕立てあげたい、より多くのママたちが活躍できる場を作りたいと考えるようになりました。それにお金って、ありがとうの表現の1つでもあると思うんです。」

登録開始から100名以上の登録賛同者が集まった

good neighbors_logo.jpg佐村氏:「コミュニティ―スペースを作ろう!と言う前に、ママさんたちがイベントを手伝う気があるのか、活動をやってみたい人がいるのかというリサーチを先にしました。その時に多くの方から聞いた意見は、「やりたいけど、関わり方がわからない」ということでした。

そこでまずは2019年2月にgood neighborsを立ち上げ、関心がある人は情報を送るから取りに来てくださいと投げかけたら、予想を超える反響が集まって、すぐに100名を超えました。その後、関係者と対話を重ねて、現在の構想が固まってきました。二人とも約5年間市内で多くのイベントに関わってきたこともあって、「この動きはまちの人のニーズともずれていないし、だからこそ、やりとげたい」という想いも沸いてきました。

メインターゲットは子育てママ(主婦・主夫)ですが、その他の人の意見やフォローも求めています。まずママたちで話し合って、できること、できないことなどはっきりさせていって、他の方々の知恵を求める。そこに高齢者の方や働いている方々にも関わってもらえるようにしたいと考えています。」

最初の1歩は小さくて構わない 失敗をおそれず踏み出すことでつながりが生まれる

いまでは大きなイベントを動かすお二人ですが、取り組みにつながる原体験をうかがってみました。

05_ms.samura.jpgいこママまるしぇでの佐村氏 06_ms.maruyama.jpgこま市での丸山氏

佐村氏:「家にある生地で自分が作ったバッグを提げていた時に、友達から、かわいいから私にも作ってと5人ほどに言われて、自作のバッグをあげたんです。そのとき、友達はみんな主婦だったのに、制作費を御礼にもらいました。そこから、『あれも作って、これも作って』と言われているうちに、欲しい人も作る人も増えてきて、家のガレージで手作り市をやったのが始まりです。小さいことの1つ1つがとても嬉しかったんです。」

丸山氏:「知人のカフェの定休日にお店を借りて、13年前にワンデイショップを立ち上げました。昔とある家電がとても好きで、自分のコレクションとして置いていたんですが、それを昭和レトロ家電としてワンデイショップで販売したのが最初です。だから私、古物商の免許あるんです(笑)」

佐村氏:「やっぱり個人では限界があります。思いついても形にする力には限界がある。共感してくれても、協働するには乖離がある。でも、私は最初の一歩を踏み出して、やりたいと声にだすことで、行政や大学の先生や地域活性化に関連する人たちとつながれた。最初のいこママまるしぇの形を作ったのは市のワークショップでしたし、その後も、市は広報支援を続けてくれました。皆さんとつながることで、いこママまるしぇは発展してきました。」

丸山氏:「とにかく自分達が欲しいものに貪欲に作る。みんな心の中で思っているけど、言い出す勇気がなかったり、失敗したらどうしようと思っていたりして、一歩を踏み出せない。」

佐村氏:「子育てをしたら私たちのような壁にはみんながぶつかる。全国的にも同じようなことをしようとしている人はたくさんいるはず。それがどこまで共感・協働につなげられるか、時代に合う形で続けられるかが大切です。子育ても、こういった取り組みも、全部を自分でやってしまおうとすると時代錯誤になる。だからこそ若いママと一緒に、彼女たちの悩みや想いに寄り添いながら、続けていけるかが、カギになると思っています。あなたが思っていることをやりたいなと思う人は必ずいるはずです。言葉にすれば共感者は必ず見つかります。そのために小さな一歩を踏み出すことが大切だと思います。」

話し手プロフィール(執筆時点)

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佐村さえこ氏(写真右) good neighbors 代表
ママが活躍できる場を作る、いこママまるしぇ実行委員長現任。その他、2011年より「BabyDance教室おやこじかん」をスタート。2018年からは「親子教室おやこじかん」として生駒市萩原町に「レッスン&キッズスペースおやこじかん」を開設し、活動している。

丸山なおこ氏(写真左) good neighbors 代表
毎年4月に生駒市の往馬大社で開催される「こま市」の代表。出店募集はせず、こだわり抜いて選んだ出店者が並ぶ人気の市。その他、ワンディッシュエイド協会のメンバーとして「もったいない食器市」の活動にも、長年携わってきた経験を持つ。

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