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コラム

エシカル消費の具体例と企業の対応今さら聞けない、そもそもなぜ今エシカルなの?を徹底解説!

2. Image by Fathromi Ramdlon from Pixabay.jpgエシカル消費とはグローバル化や技術革新によって、見えにくくなってしまった部分を見えるように努め、私たち消費者が、人や地球環境や社会に配慮した商品・サービスを積極的に選ぶ消費活動であると、前回のコラムでご紹介させていただきました。第3回のコラムではエシカル消費の具体例や企業の対応についてご紹介していきます。

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Photo by Fathromi Ramdlon from Pixabay

エシカル消費の具体例

代表的な例3つを簡単に解説します。

  1. 「フェアトレード商品の購入」
    フェアトレードとは「適正な値付けが行われた取引」のことで、今では学校教育で使われる多くの教科書にも出てくる単語となりました。フェアトレードがエシカル消費と言えるのは、フェアトレードが行われることで発展途上国の生産者や労働者が適切な収入を得られるようになり、その結果、その人たちの生活改善につながっていくためです。

  2. 「オーガニック製品の購入」
    オーガニックコットンやオーガニック食品など、オーガニック製品はそれを作る過程で化学肥料や農薬を使っていないため、農地へのダメージや生産者の健康被害も防ぐことができることからエシカル消費になります。

  3. 「エコバッグの利用」
    ここ数年の間に脱プラスチックに向けてレジ袋の規制の動きが広がり「エコバッグの利用」が増えてきました。レジ袋は埋め立て処分により有害物質の排出につながったり、海に流れてしまったりして海の生物に害を与えてしまいます。レジ袋の平均寿命は12分と言われており資源の無駄遣いの代表とも言えるでしょう。ですから、エコバックを利用することは私たちがすぐにでもできるエシカル消費なのです。
エシカル消費の拡大は企業価値向上のチャンス

消費者の間では日に日にエシカル化が進んでいます。しかしながら、私がお会いする企業の方々の中には「消費者がエシカルを求めるようになることは企業にとって負担になるのではないか」といった心配の声をあげる人もいます。これに対しては「負担になるどころかむしろ企業価値を向上させるチャンスになるものです」とお伝えするようにしています。

ビジネスの基本は「顧客のニーズに応える商品やサービスを提供すること」だと考えると、近年のSDGsに対する社会からの要請などを踏まえて、企業がエシカル消費のニーズに応えることは当然です。

さらに、近年、環境(E)・社会(S)・企業統治(G)を重視した経営を行う企業に投資する「ESG投資」が盛んです。ESG投資は、環境(E)においては「地球温暖化対策」「生物多様性の保護」、社会(S)は「人権への対応」「地域貢献活動」などの指標を重視するものなので、エシカル消費に取り組むことは投資の評価対象として大きな意味があります。エシカル消費に積極的に取り組む企業は投資を集め、それによって企業価値の向上が期待できます。

エシカル消費への企業の対応

ethical_03-01.jpegエシカル消費への対応に取り組んでいるのは有名な企業ばかりではありません。

例えば、千葉県新松戸には株式会社かわたが運営するオーガニックに特化した「クランデール」というスーパーがあります。同店はスーパーマーケットとして2001年にオープンしましたが、2011年の東日本大震災をきっかけに「食の安心安全」を提供するために「化学物質を出来るだけ排除した商品を中心に販売する」と宣言し、オーガニックへ業態転換しました。今までに見たことのないオーガニック商品の質量でそのこだわりぶりが強く印象に残りました。昨年訪れた時はあいにくの雨にもかかわらず、多くのお客さんで店内は賑わっていました。(写真は「クランデール」の店内の様子)

ethical_03-02.pngファッション業界のECビジネスを行うダイアモンドヘッド株式会社の札幌本社が「日本初のエシカルオフィス」ということで2018年末〜2019年頭にかけて話題になったのはまだ記憶に新しいです。建物のエントランスには、地産の素材である札幌軟石が使われているほか、北海道産のメジロカバ、ヒノキ、クリなど、建物全体として地産の建材が多く使用されているようです。

会議室には、跳び箱の素材を再利用して作ったテーブルとイスがあるほか、建造物を解体したときに出た古材を使った長いデスクや、テーブルの脚の部分には廃校の勉強机を使用するといったアップサイクル※も取り入れています。身近な仕事場から変えてみるという素晴らしいエシカル消費のアイデアだと思います。(写真はダイアモンドヘッド株式会社のリラックススペース)

※アップサイクル ... 廃棄物や使わなくなったモノを形・質は変えずに素材として利用したり、元のモノの特徴を活かしてより良いものにつくり変えたりすることで付加価値を高めようとする考え方。

また企業が新たにつくるお店・施設に関してもエシカル消費への対応が目立ちます。例えば、昨年京都市内だけでもエシカル消費を意識した施設が新たに3つ登場しました。「オーガニック」「天然由来」「地産地消」をキーワードにしてエシカルなドーナツを提供するドーナツショップや、エシカルなライフスタイルを体験することができるホテル型の複合施設などです。

2020年代はグローバル・ローカル、大小規模に関係なく、それぞれの企業が工夫を凝らした形でエシカル消費への対応がさらに進んで行くと私は考えています。なぜならばエシカル消費は「企業価値を向上させるチャンス」になるからです。

次回は、エシカルな金融について事例などのご紹介をさせていただきます。

執筆者プロフィール

ECEF_photo001.png田中 新吾(たなか しんご)氏
一般社団法人ECEF
代表理事

中央大学理工学部卒業後、マーケティング会社でキャリアを積み、現在はコミュニケーションデザインという領域で活動しているコミュニケーション・ディレクター。ECEFでは埼玉県を拠点にして企業や自治体のエシカルな事業のサポートや企画の立案実装を行なっている。エシカルコンシェルジュ。NPO法人地球のしごと大學の副理事長も務める。

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