インドネシアのB3廃棄物管理に関する法律(政府規制第22号/2021)とは? 後編 | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載

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コラム

インドネシアのB3廃棄物管理に関する法律
(政府規制第22号/2021)とは? 後編
インドネシアのB3廃棄物管理について

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インドネシアには、廃棄物の保管および処理について規定している「2021年 第22号 環境保護及び管理の実施に関する規則」があります(前編)。
後編では、インドネシアで排出事業者が安定した廃棄物管理を実践するために把握しておくべき、本法律で規定されている、保管および処理についての12規則を簡単にご紹介します。

※なお、本コラムは、排出事業者が取得するべき許認可や課されている義務を優先して取り上げており、法律全文を解説するものではありません。

(ブカシ市 バンタル・グバン最終処分場、執筆者撮影/2025.2)

      本法律(2021/No.22)項目4の各規則について

      前回の記事の最後でも紹介しましたが、政府規制第22/2021には8項目の規定が設けられており、その中の項目4B3廃棄物の管理」はさらに、12の項目で構成されています。そしてこれらの構成要素は、おおまかに「保管・収集・輸送」「処分」「その他」に分類できます。以下、その分類ごとその中身を詳しく見ていきましょう。

        <保管・収集・輸送について>

      1. 保管規則(第285-297条)
      廃棄物を保管するうえで適切な場所や施設、指定の保管期間等についての規定。

      2. 収集規則 (第298-309条)
      B3廃棄物収集業者が満たすべき条件(AMDAL※1, UKL-UPL※2の認証獲得、営業許可の取得、技術承認の取得)と禁止行為についての規定。

      3. 輸送規則(第310-314条)
      B3廃棄物の輸送業者が取得すべき営業許可と推薦状についての規定。

      <処分について>


      4. 利用規則(第315-341条)
      B3廃棄物の再利用に関する、主な利用目的、利用にあたり排出事業者が取得すべき許認可、利用上の義務についての規定。

      5. 処理規則(第342-365条)
      廃棄物の主な処理方法および各処理方法に関する具体的な数値基準の規定。

      6. 埋め立て規則(第366-389条)
      許認可の取得、試験の実施、環境省への報告等についての規定

      7. 投棄(処分)規則(第390-402条)
      処分時の処理方法、モニタリング、報告書の提出など、投棄(処分)するにあたり守るべき条件の規定。

      <その他の留意事項>


      8. B3廃棄物の例外(第403-407条)
      本法律の例外にあたる廃棄物の排出に関しての規定。

      9. B3廃棄物の国境を越えた移動(第408-409条)
      B3廃棄物を輸出する場合に排出者または輸出者が行うべき申請についての規定。

      10. 環境の劣化・破壊防止および環境機能の回復に関する対策(第410-427条)
      排出、収集、運搬、利用、処理、及び/または廃棄する者、投棄する者で、環境汚染及び/または環境破壊を引き起こす者の義務や具体的な措置内容の規定。

      11. 緊急対応システム(第428-447条)
      B3廃棄物管理緊急対応システムの訓練及び演習の実施についての規定。

      12. B3廃棄物管理にかかる費用負担(第448-449条)
      B3廃棄物管理の技術承認申請費用についての規定。

      特筆すべきポイント

      ▼インドネシアの廃棄物運搬業者/弊社社員撮影

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      撮影:アミタ株式会社

      ここでは、本法律において特に排出事業者が注目すべき①許認可の取得と罰則、罰則を回避するための②重要規則2点をご紹介します。

      ①許認可の取得と罰則

      前回のコラムでも触れましたが、インドネシアにも日本と同様に「排出事業者責任」があります。違反した場合は罰則が課されることもあり、特に、収集・運搬等を委託している業者の許認可取得状況は、インドネシア環境局からの視察でされやすいポイントでもあります。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 

      過去に、委託先の収集業者が営業許可を取得していなかったことが発覚し、排出事業者に罰金が課せられた事例もあります。

      以下は、本法律で収集業者に定められている許認可です(p.200, 300条、 p.203, 304条、 p.205 306条など)

      <B3廃棄物収集業者の条件>
      1:AMDALやUKL-UPLの環境影響評価制度による認証取得
      2:B3廃棄物分野の事業活動に関する営業許可の取得
      3:B3廃棄物管理に関する技術承認の取得

      これらの許認可を委託先が取得しているか、排出事業者の責任としてしっかりと把握しておきましょう。

      ②重要規則

      A:報告義務

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      出典:インドネシア政府環境省SIMPELホームぺージ

      インドネシアでは、2020年8月1日から、すべてのB3廃棄物の管理関係者に対して電子マニフェスト(Festronik)の使用が義務付けられています[2]。
      Festronikとは、B3廃棄物の取り扱いに関して透明性や説明責任を示す法的文書であり、引き渡しの申告とB3廃棄物の処理に関する情報を含みます。Festronikはその使用により、廃棄物の排出から輸送、最終処理までの一連の動きを記録・管理することを目的としています。なお、Festronikは、環境報告や許認可取得などを行う公的なオンラインプラットフォーム「SIMPEL」の報告対象の1つとなっています。

      関連情報

      B:B3廃棄物の例外

      一般的にB3廃棄物はその危険度が高いほど扱いも難しくなるため、処理費用が高くなります。そのため、その処理費が大きな負担となっている企業もあります。しかし特定の発生源から生じるB3廃棄物は処理費が発生しない例外があります。

      この例外となるB3廃棄物として認定されるには、指定の試験場で特性試験を実施する必要があります。以下、主な2種類の試験です。

      LD50毒性試験
      ②TCLPによる毒性判定 など

      試験終了後、試験結果と除外申請書(書面)を環境保護および管理分野を担当する大臣 に提出し、大臣の指示を受けたB3廃棄物専門家チームによって試験結果の評価が行われます。 評価の結果を受けて最終的に大臣が、B3廃棄物管理の対象の有無を決定します。

      ※注意ポイント まとめ

      以上より、本法律から排出事業者が特に注意すべきポイントは主に3点あります。

      ポイント1:委託先業者の許認可取得状況を確認する
      ポイント2:廃棄物管理に関する報告義務を徹底する
      ポイント3:例外に当たる廃棄物の取り扱いを確認する

      インドネシアでの廃棄物処理にご関心のある企業様は、ぜひ一度本法律で規定されている内容を確認されることをおすすめします。

      用語集

      環境許可制度関連
      インドネシアには、企業の事業全体が環境に与える影響を事前に評価し、影響に対する予防措置を定める環境許可(Persetujuan Lingkungan)制度があります。中小企業以上にあてはまる許可制度は主に2つあります。

      ※1 AMDAL(Analisis Mengenai Dampak Lingkungan)
      大規模かつ高リスク事業者を対象としています。環境管理・環境モニタリング措置に加え、詳細な環境影響評価を行います。

      ※2 UKL-UPL(Upaya Pengeloaan Lingkungan dan Upaya Pemantauan Lingkungan)
      中小規模事業者を対象としています。主に環境管理・環境モニタリング措置を実施します。

      まとめ

      本コラムでは、インドネシアで有害・有毒物質を含む廃棄物(B3廃棄物)を取り扱う際に排出事業者が注目すべきポイントについて、インドネシアの法律をもとにご紹介しました。

      インドネシアにも排出事業者責任があり、違反した場合の罰則についても法律で明記されています。外部に処理を委託している場合は、委託先が規則に違反していないか排出事業者が責任をもって把握していなければなりません。
      環境負荷を抑え、より効率的に廃棄物処理を行ううえで、アミタには専門知識と国内外での多くの実績があります。すでにインドネシアで事業展開をされている、または今後インドネシア進出を考えている企業の皆さまの持続可能な事業運営をサポートいたします。ぜひお気軽に弊社へお問合せください。

      なお、以前のコラムでは、インドネシアの廃棄物管理状況や規制強化の取り組みに関してもご紹介しております。ご興味のある方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。


      「循環への航海 ~インドネシア廃棄物管理の現状と未来~」 に関するコラム一覧

      参考資料

      [1] インドネシア政府、「2021年 第22号 環境保護及び管理の実施に関する規則(NOMOR 22 TAHUN 2021 TENTANG PENYELENGGARAAN PERLINDUNGAN DAN PENGELOAAN LINGKUNGAN HIDUP)」
      PP-Nomor-22-Tahun-2021.pdf

      [2] 関連法律:インドネシア政府、「2020 4号 有害および有毒廃棄物の輸送に関する規則(NOMOR 4 TAHUN 2020 TENTANG PENGANGKUTAN LIMABAH BERBAHAYA DAN BERACUN)」
      K E P U T U S A N
      P.16 24条)

      参考記事

      インドネシア政府、Satu Akun untuk Pantau Pergerakan Limbah B3、(20259月最終閲覧) https://indonesia.go.id/kategori/kependudukan/1992/satu-akun-untuk-pantau-pergerakan-limbah-b3

      関連情報

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      執筆、編集

      アミタホールディングス株式会社
      海外事業統括グループ
      萩中 万結

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