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CSR活動定量化における2つの"コツ"

CSR活動のプロセスを細分化し、実施フローを「見える化」することで定量化が可能です。

こんにちは。CSRコンサルタントの安藤光展です。今回は、KPI(重要指標)設定のヒントをご紹介します。CSR活動は定量化・数値化するのが難しい事業活動の一つですが、決して不可能なわけではありません。CSR活動のプロセスを細分化し、実施フローを"見える化"することで定量化することができるのです。

結果だけではなく、プロセスを評価するということ

150324__top.pngCSR活動の効果測定という課題を抱えるCSR担当者の多くは「手段と目的のメタファー」にはまっている可能性が高いです。本来は、何かしらの経営課題(目的)があり、具体的なCSR活動(手段)をするはずなのですが、まずCSR活動をしてからその活動の効果測定(定量化)ができないと言われても、私のようなCSR支援を行なう第三者でも対応が難しくなってしまいます。

本来は目的から考えるべきなのですが、現実的にはそうもいかない場面があるのも事実。では明確な目的がないままにCSR活動を始めてしまった場合は、どう定量化していけばいいのか。実は最終的な目的(アウトカム、インパクト)が曖昧でも、プロセス評価をすることで全体の効果測定ができうる方法論もあります。

例えばSROI(社会的投資収益率)という考え方。ROI(費用対効果)はビジネスパーソンであればよく耳にする単語です。そのソーシャル版といったところでしょうか。SROIは欧米などでは社会活動のインパクト評価として注目されており、CSR活動評価としてこのフレームワークを用いる企業も出てきています。日本の有名な事例としては、マイクロソフト「若者UPプロジェクト」、損保ジャパン日本興亜「SAVE JAPANプロジェクト」などです。とくに「SAVE JAPANプロジェクト」のイメージ図は、わかりやすく非常に参考になると思います。

画像:http://www.sjnk.co.jp/topics/nk/2014/2014070201contents/より引用

評価指標の考え方とフレームワーク

csr_ando02.png他の評価指標のフレームワークとして、統合報告で有名な事業フロー図「オクトパスモデル」があります。この図中央のビジネスフローで「インプット→事業活動→アウトプット→アウトカム」という記述を確認いただけるかと思います。

ごく簡単に説明しますと、「インプット(リソース投下)→事業活動(結果)→アウトプット(ステークホルダーの変化)→アウトカム(社会の変化)」となります。例えば、1,000万円の予算で(インプット)、木を1,000本植えて(事業活動)、生態系が10%改善し(アウトプット)、土壌改善により周辺地域の井戸水の水質が10%改善した(アウトカム)という流れです。

その先も考えるのであれば、インパクト(社会的影響)という指標もあり、今回の例でいえば、水質改善ができた結果(アウトカム)、地域住民の健康が10%改善した(インパクト)となります。全体的にみれば、「1,000万円を投資し、地域住民の健康改善に貢献した」となります。例なので若干極端ではありますが、こういった形でCSR活動のプロセスを見極めて、最終的なアウトカムやインパクトを数値化していき、活動の効果測定ができるのです。

もちろん、第三者や専門家の評価・視点・リサーチが必要になることもあり、予算や時間がかかることも多々ありますが"急がば回れ"です。数字を見ながらCSR活動のPDCAをまわしていくことで、業務効率と成果数値は必ず改善できます。非常に地道な取組みではありますが、根気よくCSR活動を評価し情報開示をしていくことで、ステークホルダーの信頼獲得にも大きく貢献するでしょう。

画像:「IIRC/国際統合報告フレームワーク 日本語版」より引用

執筆者プロフィール

mitsunobu002.png安藤 光展(あんどう みつのぶ)氏
CSRコンサルタント

専門はマーケティング・コミュニケーション。特にCSR最新動向とウェブ・コミュニケーションに詳しい。CSR関連の、研修・コンサルティング・CSR報告書作成アドバイスなどを中心に、執筆活動、社会貢献系メディアの運営支援などの領域で活動中。運営6年目のブログ「CSRのその先へ http://andomitsunobu.net」管理人。著書『この数字で世界経済のことが10倍わかる-経済のモノサシと社会のモノサシ』(技術評論社)ほか。

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