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地域共生社会とは何ですか?

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地域共生社会とは、厚生労働省が掲げるビジョンで、2016年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」 の内容に盛り込まれました。地域住民や地域の多様な主体が分野や属性の壁を越えた協働を実践し、誰もが支え合う地域を創っていくことを目指します。

後編「地域共生社会に関する新たな事業「重層的支援体制整備事業」とは何ですか?」記事はこちら

地域共生社会のコンセプト

これまでの日本の社会保障制度では、疾病や障害・介護、出産・子育てといった人生において典型的なリスクや課題を想定して現金給付や福祉サービスを行うことで、公的な補償を拡充してきました。その結果、生活保障やセーフティネットの機能は大きく進展し、社会福祉の分野では、生活保護、高齢者介護、障害福祉、児童福祉など、属性別・対象者のリスク別の制度が発展し、専門的支援が提供されるようになりました。

一方で、個人が抱える生きづらさや、リスクが複雑化・複合化してきた中で、従来の縦割りの公的支援の仕組みではケアしきれないケースが発生してきました。

<従来の公的支援制度の課題>

  • 介護と育児に同時に直面する世帯や、障害を持つ子の親が要介護状態になった世帯など、複数分野にまたがる問題を抱える家庭への支援。
  • 専門人材の確保ができず、対象者ごとの公的支援機関を安定的に運営することも困難に。
  • 「社会的孤立」の問題や、制度が対象としないような身近な生活課題(ごみ出し、買い物、通院など)への支援の必要性の高まり。
  • 軽度の認知症や精神障害等が疑われるものの公的支援制度の受給要件を満たさない「制度の狭間」に落ちてしまうケース 。

こうした課題の多くは、かつては地域や家族などの繋がりの中で対応していきましたが、今はそれが困難になってきています。その背景には、①社会の変化に伴う血縁・地縁・社縁による共同体の機能の脆弱化、②人口減少による地域社会を維持する担い手の不足、③高齢者や障害者、生活困窮者などのいわゆる社会的弱者が社会参加の機会が十分でない等の状況があると考えられます。しかし、ひとたび地域の実践に目を向けると、多様な繋がりによる第4の縁(血縁、地縁、社縁以外の縁)の形成や、地域にある様々な資源をつなげることで地域社会の維持や人々の社会参加を実現しようとする試みなど、新しい兆しも生まれています。公的支援が「支え手」・「受け手」という固定化した関係の下で提供されるのに対し、人と人とのつながりや支え合いにおいては、支援の必要な人を含め誰もが役割を持っているはずです。

そこで「支える側」「支えられる側」という一方向の関係ではなく、「地域に生きて暮らしている以上、誰もが支え・支えられるものである」という考え方のもと、地域の資源や人の多様性を活かしながら、人と人、人と社会がつながり合う取り組みが生まれやすいような環境を整えることを目指し、「地域共生社会」というコンセプトが掲げられました。 つまり、社会の変化に伴い『縦割り』の分野ごとの課題解決に取り組んでいた従来の方針から、個人や世帯が抱える課題に包括的に『丸ごと』支援する地域社会を作っていくことが、地域共生社会において重要なポイントであると言えます。

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図:厚生労働省「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会
最終とりまとめ

地域共生社会の実現に向けた実践例

「地域共生社会」のモデル事業を見ていきましょう。

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  図:厚生労働省「地域共生社会に向けた包括的支援と
  多様な参加・協働の推進に関する検討会」最終とりまとめ

三重県名張市では、小学校圏域ごとに設置された住民自治組織「地域づくり組織」ごとにビジョンを策定し、地域ごとに理念・目標を設定し、基本方針、将来像等を定めました。さらに、それらをまとめたものを市の総合計画地域版としました。「地域づくり組織」が様々な生活支援介護予防の活動を展開するとともに、地域での分野を問わないまちの保健室の相談支援体制も整備しました。さらに、複雑・複合化した事例に対応する連携担当職員(「エリアディレクター」)を複数部署(※)に配置し、多機関が協働して課題解決にあたる体制を構築しました。こうした取り組みによって、身近な相談窓口で包括的な相談支援が受けられる環境が整います。このような地域の資源を最大限生かしながら『縦割り』から『丸ごと』へと分野を越えた支援を推進する取り組み(地域共生社会の実現に向けた包括的支援体制構築事業)が、令和元年度には、全国およそ200の自治体で実施されました。

今後の展望:包括的支援の実現に向けた法改正

このように、包括的支援を目指し、体制を構築するモデル事業が生まれた一方で、課題も顕在化してきました。会計監査の際の「各事業に適切にお金が使われているのか?」という指摘を受けて、またその指摘を恐れて、窓口や体制を解体してしまう自治体が出てきたのです。つまり、現行の制度では事業ごと(疾病や障害・介護、出産・子育てなど)に補助金が割り当てられているため、複合的な事業を実施するには、それらの補助金を案分し、組み合わせて運用しなければならず、適法に事業を実行するために多大な事務コストがかかってしまうのです 。

それらの課題を乗り越えるため、2020年3月に、社会福祉法等の改正法案が閣議決定され国会に提出 されました。2021年4月には、社会福祉法に基づく新たな事業「重層的支援体制整備事業」 が実施されます。地域住民の複雑化・複合化した福祉ニーズに対する円滑な支援サービス提供の体制構築を目指しており、事業への補助金についても、分野ごとに按分がなされ別々に交付されてきた従来の交付形式ではなく、総額を新たな「重層的支援体制整備事業交付金」として交付することで、分野間の区分経理を求めないかたちで行われます。つまり、市町村全体をとらえた体制構築が可能となり、この体制に対して、これまでより柔軟な補助金の使い方が可能となるのです。

次回、後編では、「重層的支援体制整備事業」が実施されることによって何が変わるのか、ポイントを解説します。

3_IMG_1548.JPGアミタでは「ごみの分別・持ち込み」という日常行為をきっかけとして多様な市民が集い、コミュニティ活動へ参画しやすい拠点を設置し、地域の課題を統合的に解決する資源回収ステーション事業の開発を行っています。地域共生社会で目指す、支え・支えられる社会の構築に寄与することを目指し、2020年12月より、
奈良県生駒市の「こみすて」事業 に参画しています。

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参考情報
執筆者プロフィール

宍倉 惠
アミタ株式会社
地域デザイン事業グループ デザインチーム 社会デザイン事業プロジェクト

大学時代に緑のふるさと協力隊として、1年間農村地域に住み込み地域の暮らし・産業に係るボランティア活動に取り組む。地域コミュニティや自然との共生、循環型の暮らしの大切さを実感し、ビジネスを通して持続可能な地域づくりに貢献したいという思いでアミタに合流。合流後は企業向けの環境戦略支援を経て、現在は、小規模自立分散型の地域づくりに関する新規事業構想・構築に携わる。

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