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SDGsウォッシュとは?事例や企業にもたらす影響、リスク回避に向けた対策方法について解説

Image by AbsolutVision from Unsplash

SDGsに取り組んでいるように見せかけて実態が伴っていないことを、SDGsウォッシュといいます。SDGsウォッシュと指摘されると企業のイメージダウンにつながりかねません。本記事ではSDGsウォッシュと指摘されないための対策方法を解説します。

目次

SDGsウォッシュとは?意味を解説

SDGsウォッシュとは「実態以上にSDGsに取り組んでいるように見せかけること」を指します。SDGsウォッシュは、英語で「ごまかし」「粉飾」を表す「ホワイトウォッシュ(whitewash)」と「SDGs」を組み合わせた造語で「グリーンウォッシュ(green wash)」という言葉が由来であると言われています。グリーンウォッシュとは、1980年代に企業の見せかけの環境配慮を批判する中で生まれた言葉です。グリーンウォッシュが、環境への取り組みの実態にイメージが伴っていないことを指すのに対して、SDGsウォッシュは環境だけでなく、貧困・教育・ジェンダーなども含め、SDGsの17ゴールを対象としたものです。

sdgswash.png

出典:株式会社電通「SDGsコミュニケーションガイド

SDGsウォッシュの事例

SDGsウォッシュに該当するかどうか明確な基準はありませんが、該当する例として下記が挙げられます。

  • 自社HPなどでSDGsに取り組んでいるとアピールするものの、取り組み実績を証明することができない
    (例 SDGsのロゴだけをWebサイト等で掲げている。自社の事業とSDGsの17のゴールを関連付けさせただけで終わっている)
  • 企業にとってマイナスとなる情報を伝えず、都合の良い情報のみを開示している
    (例 リサイクル原料の使用をPRする一方で、サプライチェーン上で人権問題・労働問題を指摘されている)
  • CO2排出量削減を公言しながら、火力や石炭発電関係企業に投資をするなど矛盾した行動を行っている
SDGsウォッシュが企業にもたらす影響

SDGsウォッシュが企業にもたらす影響の一つに、ステークホルダーからの信頼の低下が挙げられます。SDGsウォッシュは、言い換えれば「実態と広告等やWebサイトでアピールしている内容が異なる」ということで、企業のイメージダウンにつながりかねません。消費者や投融資先からの印象を悪くしてしまいます。
世界的に話題となったニュースとしては「中国新疆ウイグル自治区の綿の生産における強制労働問題」が挙げられます。日経新聞の2021年7月15日の報道によれば「多くの企業が人権侵害との関連を否定しているものの、欧米当局は日本国内のアパレルメーカーも含め厳しい態度をとっている」とされており、当時のバイデン米政権が自治区に関わる供給網を持つ企業に対し、法的な問題が生じるリスクがあるなどと警告する文書を発表したことや、フランス当局が日米欧の4社に対して、人道に対する罪の隠匿の疑いで捜査を始めたと伝えています。

さらに2024年4月、経団連と万博協会によって開催された"未来まちづくりフォーラム"の中でも「企業の取り組みは一般化してきたものの、市民社会の一部からはグリーンウォッシュやSDGsウォッシュだという批判なども根強い」とし、改めてステークホルダーとの関係性についても言及されています。

このようなサプライチェーン上の課題を見逃し、良い影響を与えている取り組みだけを大いに伝えると、SDGsウォッシュであると批判される可能性があります。

SDGsウォッシュに陥ってしまう理由

SDGsウォッシュに陥る原因は様々なものが考えられます。大まかに分けると以下の2点になります。

  • 広告が誇大であるといったコミュニケーション方法が原因
  • そもそものSDGsに対する取り組みが不足していることが原因

前者のコミュニケーション方法の注意点については、電通が発行する「SDGsコミュニケーションガイド」で下記の4点が紹介されていますので、見直してみましょう。

▼コミュニケーション上でSDGsウォッシュを回避するためのチェックポイント

1.根拠がない、情報源が不明な情報を避ける

  • 根拠となる情報の信頼性が希薄な場合、あるいは検証材料がない場合

2.事実よりも誇張した表現を避ける

  • それほどでもないSDGsへの取り組みを大きく強調して訴求したり、小さな取り組みを大げさに取り上げたりするケース
  • 法律で規制されている事項を、自主的に配慮しているように表現するケース

3.言葉の意味が規定しにくいあいまいな表現を避ける

  • 言葉の意味が規定しにくく、SDGsへの対応の具体性に欠けるコピーワークなど

4.事実と関係性の低いビジュアルを用いない

  • SDGsへの配慮の事実がないにもかかわらず「貧困」「教育」等の写真でSDGsイメージの付与・増幅を狙うことなど

出典:株式会社電通「SDGsコミュニケーションガイド

後者の「そもそものSDGsに対する取り組みが不足している」という点については多くの企業が思うような取り組みを進められていないのではないでしょうか。株式会社帝国データバンクが2021年7月に発表した「SDGsに関する企業の意識調査」によれば、SDGsに積極的な企業が39.7%とされる一方で、SDGsに取り組んでいない企業は50.5%と言われています。大企業では取り組みが進んでいますが、中小企業では取り組みの遅れが見られます。調査の中では、下記の意見も寄せられています。

  • 「目標が壮大過ぎて、取り組みようがないというところが正直なところ」(食料品加工機械製造、大阪府)
  • 「自社業務の延長線上の事には取り組めるが、コスト人的資源等から新たな取り組みへのハードルが高い」(はつり・解体工事、千葉県)
SDGsウォッシュリスク回避に向けた対策

そもそも「SDGsウォッシュ」という言葉が登場した背景には、消費者や投資家のSDGsに関する関心の高まりがあります。「SDGsウォッシュ」を回避するための一番の対策は「いかに自社の取り組みを表面的ではない本質的な取り組みに変えることができるか」「事業と紐づけて取り組むことができるか」であると考えられます。以降は、企業のための行動指針である「SDGコンパス」※を基に、SDGs取り組みのポイントを紹介します。

※SDGコンパス...企業のためのSDGs達成に向けた行動指針。GRI(グローバル・レポーティング・イニシアチブ)、国連グローバル・コンパクト、WBCSD(持続可能な発展のための世界経済人会議)の3つの団体が共同で作成している。

SDGコンパスでは、SDGsと事業を紐づけて取り組むための方法として下記の5つのステップが紹介されています。

▼SDG コンパスの5つのステップ

1.(企業が)SDGsを理解する
2.優先課題を決定する
3.目標を設定する
4.経営へ統合する
5.報告とコミュニケーションを行う

出典:「SDGコンパス 」p.3より

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ステップ1:企業がSDGsを理解する

目標内容の理解だけではなく、SDGコンパスでは「なぜSDGsの取り組みを行うべきか」という意義やメリットについて記載されています。改めて確認しましょう。

▼SDGsに積極的に貢献する企業のメリット

  • ステークホルダーとの信頼関係の強化
  • 操業についての社会的容認の拡大
  • 法的リスク、レピュテーションリスク、その他のリスクの軽減
  • 今後の法整備により発生し得るコストの高騰や制約に対する対応力(レジリエンス)の構築

出典:「SDGコンパス」p.9より

SDGs対応はコスト面から難しいという意見もありますが、長期的に考えると今後の法整備に備えて先回りしておくことで、コストアップの回避につながるという見方もあります。

ステップ2:優先課題を決定する

SDGsには17のゴールがありますが、すべてが各企業にとって等しく重要であるとは限りません。戦略的にSDGsの取り組みを進めるために、SDGコンパスでは、自社のバリューチェーンにおけるSDGsの正の影響・負の影響(優先課題)を明らかにすることを推奨しています。

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図:実例 バリューチェーンにおけるSDGsのマッピング
出典:「SDGコンパス」p.12より

SDGsウォッシュの事例で挙げた「環境に配慮した原料の使用をPRする一方で、サプライチェーン上で人権問題・労働問題が問題視されている」というケースも、どのバリューチェーンの分野で負の影響を与えているのか把握すれば、防ぐことができたかもしれません。各企業がSDGsに対して及ぼす最大の社会的・環境的な影響は、企業が所有または管理する資産の範囲を超える可能性があり、バリューチェーン全体を通じた見直しは欠かせません。

ステップ3:目標を設定する

SDGコンパスで有効とされている目標設定方法は「アウトサイド・イン・アプローチ」です。このアプローチは、企業の内部視点から目標を設定するのではなく、世界的・社会的ニーズを考え、何が必要かについて外部から検討する方法です。

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図:実例 目標設定アプローチの採用
出典:「SDGコンパス」p.19より

内部の視点から目標を設定するのでは、どうしても小さな取り組みに収まってしまい「取り組みが十分ではない」と指摘されるきっかけになります。できる限り世界的・社会的ニーズを理解した上で自社の目標を見直すことが必要です。
ただし、前述で「目標が壮大過ぎて、取り組みようがないというところが正直なところ」という企業からの声を紹介しましたが、SDGsの取り組みは「1社では難しい」との意見は多数挙げられています。SDGコンパスでも「2014年に実施されたある調査によれば、調査対象となった3万8,000人の企業の役員・管理職およびオピニオンリーダーのうち、90%が持続可能性の課題は企業単独では効果的に対処することはできないと回答した。」と紹介されています。この点については、複数の関係者の連携で目標達成に取り組むことも必要です。アミタでは、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、各社と連携した資源回収プロジェクトに取り組んでいます。(詳細はこちら

ステップ4: 経営へ統合する

各優先課題に対して具体的なKPIと目標設定を終えたら、持続可能な目標を企業に定着させ、すべての部門に持続可能性を組み込むことが大切です。自社のCSR担当のみが目標を推進するのではなく、研究開発部、事業展開部、人事部等の各部門のフォローと当事者意識が重要です。持続可能な戦略の策定・目標の実施を強化するために、部署横断で持続可能性に関するプロジェクトチームを設立している企業例もあります。

ステップ5:報告とコミュニケーションを行う

損害保険ジャパン株式会社の「SDGs・社会課題に関する意識調査」によれば、消費者が「SDGsの達成」や「社会的課題」に取り組んでいる企業と判断するのはどのような点か」という質問に対して、多くが「企業ホームページや広告での取り組みの開示と公表」を挙げていることが分かります。このことからも、Webページ等を通じた適切なコミュニケーションは重要です。SDGコンパスでは「GRIなどのガイドラインを利用し、マテリアル(重要)な事項に焦点を当てた報告書等を作成すること」や「SDGsの達成状況を公表すること」などが推奨されています。

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出典:損害保険ジャパン株式会社「SDGs・社会的課題に関する意識調査p.6より

最後に

いかがでしたでしょうか。「今後は情報を開示できていない・実態と異なる」という批判だけでなく「いかに企業がSDGsに本質的にアプローチできているか」が、問われる時代になります。現在、SDGsに関する世界的な基準「SDGsインパクト認証」の策定が進められており、今後ますます、企業のSDGsに関する要請は強化されていく見通しです。社内での取り組みを進めていきましょう。

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執筆者プロフィール(執筆時点)

田中 千智(たなか ちさと)
アミタホールディングス株式会社 
カンパニーデザイングループ ヒューマンリソースチーム


石田 みずき(いしだ みずき)
アミタ株式会社
インテグレートグループ カスタマーリレーションチーム

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