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戦略コンサル解説|脱炭素とサーキュラーエコノミーを同時実現する事業変革

Image by Enrique from Pixabay.

脱炭素やサーキュラーエコノミーといったテーマへの部分的な対処ではビジネスチャンスを掴むのは困難です。企業にとって大切なのは、既存事業をESG品質へ移行する「守り」の戦略と同時に、循環型ビジネス創出といった「攻め」の戦略を同時に推進する、具体的な移行戦略を持つことです。
※本記事は、アミタのコンサルタントによるセミナー講演内容のダイジェストです。 download2.png

脱炭素を軸とした事業変革-炭素を循環させるビジネスモデルへの移行-

今、脱炭素への移行戦略を情報開示する重要性が高まっています。
GFANZ※1の設立により、世界中の機関投資家が企業の「移行戦略」を評価する動きがはじまっています。また、SEC(米国証券取引委員会)やEU委員会によるCSRD(企業サステナビリティ報告指令)など、欧米において脱炭素経営を含む情報開示の法制化が一層強まっています。
重要性を増す脱炭素への移行戦略を策定するには、国際イニシアティブACT※2が有効です。
ACTを活用するメリットとしては、以下の2点が挙げられます。

①ACTは、CDP、TCFDの開示要求事項を網羅し、現在と目標のギャップを埋めるために必要な
 評価基準、移行戦略策定の項目が設定されている。リソース・時間を踏まえたリスク低減と
 先進的な戦略による差別化(機会の獲得)を同時に達成することで脱炭素経営の合理化が可能

②目標に対する実現可能性を、短期・中期・長期の時間軸をもった具体的な戦略とともに
 ステークホルダーに示すことができる。守りのコスト負担を続けてしまうのではなく、
 気候変動対応に機会を見出し攻めの投資へ繋げていく

図: CDP、TCFD、ACTの時間軸と開示要求事項(アミタ作成)
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ACTによる脱炭素への移行戦略の策定手法を以下に簡単にまとめます。

① GHG排出量削減の目標や有形無形の投資など9つの評価・戦略軸でビジネスモデルの変革
  による製品・サービスを通じ低炭素社会の実現を目指す
② 戦略の実践を見据えた取締役などの経営層の参画による全社プロジェクトで推進する
③ 変革意識を伴う検証基準をもって、ビジョン、戦略、アクションの検討、策定を行う

図:脱炭素移行戦略の取り組みフェーズ、主なTODO、視野の範囲(アミタ作成)
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また、脱炭素とはCO2の排出をゼロにすることではありません。求められていることは、「CO2排出量と吸収量を均衡させる」こと、全ての炭素が循環していることです。それには3つのアプローチが考えられます。

①化石燃料を使用しない(省エネ、排出係数の少ない電力への切り替えを含む)
②炭素を貯留する(植物による炭素固定など。ただし必ずしも永久に炭素を固定できるわけ
 ではない)
③炭素が循環するようなサイクルをつくる

3つ目のアプローチは、サーキュラーエコノミー型のビジネスモデルへと事業を変革することを指しています。脱炭素への移行戦略において、重要な視点となります。
脱炭素を事業戦略に統合していくには「脱炭素のため」の投資やコスト負担ではなく、循環型のビジネスモデルへと視野を広げて全体最適の中で脱炭素を捉えていく必要があります。
ここまでの詳細な解説は「脱炭素移行戦略はどのように策定、改善すべきか?本質的な循環型ビジネスモデルとは」の資料でご覧いただけます。

※1 GFANZ(Glasgow Financial Alliance for Net Zero)とは、ネットゼロへの移行を目的とした国際イニシアティブの連合体を指します。日本のメガバンク3行をはじめ26機関が加盟(2022年8月時点)しています。
※2 ACT(Assessing Low Carbon Transition)は、企業の気候変動開示のためのグローバルプラットフォームとして最も影響力があると言われている国際的非営利団体CDPと、フランス環境エネルギー管理庁であるADEMEの2つの機関が共同開発した移行戦略に関するイニシアティブです。日本ではCodo Advisory株式会社が初めてライセンスコンサルタントとしてACTを導入いたしました。

サーキュラーエコノミーを軸とした事業変革

緊急なのはCO2の問題だけではありません。プラネタリーバウンダリーといった地球の危機的な状況から、生物多様性、資源枯渇の課題解決も予断を許しません。だからこそ、サーキュラーエコノミーが必要なのです。

サーキュラーエコノミーは、製品の設計段階から循環することを前提とした製品の製造・販売・ビジネスモデルのことを指します。下図のバタフライダイアグラムのとおり、2つの実施方法があります。

①技術的サイクル...リサイクル、製品の再製造・修理、リユースやシェアリングにより
         環境負荷を下げる
②生物的サイクル...資源そのものを木質や稲など再生可能なものにしてCO2の排出量を減らす

図:サーキュラーエコノミーのバタフライダイアグラム(アミタ作成)
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実践するうえで重要なのは、サプライチェーン全体をサーキュラー型のビジネスへと変革することです。そのためには、自社の事業範囲に囚われず、これまで取り組んでいなかった領域にも挑戦し、収益性と共感性を上げながらCO2や廃棄物の発生量を下げる設計を行うことがポイントです。

サーキュラーエコノミー型のビジネスモデルを「モノ」の循環だけで捉えるのではなく「情報」「動機性」という3つの観点から価値を創出していくことが、統合的なビジネスデザインを設計するポイントであると考えます。

図:サーキュラー型のビジネス変革に必要な3つの視点(アミタ作成)
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また、企業、業界、地域、行政連携など社外との関係性を能動的につくり、自社にできる範囲を越えて、いかに自社の提供価値を最大化していくかが鍵です。
具体的にどのようにサーキュラーエコノミー型のビジネスモデルに変換すればよいか、その3つのステップや取り組み事例、詳細な解説は「カーボンニュートラル時代において、どのように事業をトランスフォームするべきか」の資料にて公開しています。

脱炭素とサーキュラーエコノミーを、重ね合わせて考える

ここまで脱炭素を軸とした事業変革、サーキュラーエコノミーを軸とした事業変革について解説してきましたが、重要なのは、脱炭素とサーキュラーエコノミーはそれぞれ独立してはいない、ということです。2つの領域の重なりをわかりやすく図で示すと以下のようになります。

図:脱炭素とサーキュラーエコノミーの重なり(アミタ作成)
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バージン資源の使用を抑制し、環境配慮型の設計を施し、製品と素材を2次・3次と利用し尽くすことは、関連するCO2排出量の削減にもつながります。さらに、サプライチェーン全体での持続可能な調達や廃棄物削減により、自社の枠を越えてCO2排出量の削減、資源循環を実現できます。

守りと攻めの両方の戦略の必要性を解説してきましたが、攻めの戦略は新事業の創出になるので構想段階からして難易度が高いといえます。
攻めの戦略を思考するフレームワークはいくつもあります。下記からダウンロードいただける資料には、一橋大学大学院の藤川准教授が提唱されている「価値づくりに関する3つの捉え方・レンズ」を踏まえながら、市場における価値観やイノベーションの変化を意識したアミタ独自の思考フレームワークについて、企業事例も用いて解説しています。

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企業に必要なのは「具体的な」移行戦略を持つこと

これまで企業活動の前提となっていた自然環境や社会基盤が大きく変容し、資源や人材の調達にも不安定さが増す時代において、企業本来の目的である企業理念を実現するためには、脱炭素型・サーキュラー型のビジネス創出・変革が欠かせません。
しかしそれらは明日からすぐに切り替えられるようなものではなく、実際には「守り」と「攻め」の両輪を動かしながら進めていくことになります。だからこそ、企業には移行戦略が必要なのであり、その策定と実行をアミタはご支援しています。

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